「外来のオーケストラやオペラ団に新鮮な驚きを感じなくなっている(中略)みんなが聴きに行くのは(中略)彼らが日本の団体よりも上手だからであり、楽しめるという簡単極まる一事につきる」(『‘75回顧』より)。2016年に縁あって柴田作品「萬歳流し」「追分節考」「ゆく河は絶えずして」の実演に接した。上記一文は、日本文化を見直すような重要な作品群の作曲時期の筆者の気持ちが吐露されていると思う。昭和46年から57年の新聞批評で、紹介された演奏会を体験された方も多いだろう。ライヴCDが入手できるものもあり、追体験も可能。自分の感想を持って、柴田さんと「対話」するのはいかがだろうか。