COLUMN

クラシック音楽を基軸に、一流アーティストの演奏を奇跡の音響で味わうコンサート〈プラチナ・シリーズ〉の見どころを紹介

第1回 アルディッティ弦楽四重奏団(C)Astrid Karger

世界的アーティストを優れた音響の小ホールで聴く醍醐味

 クラシック音楽を基軸に、東京から世界へ向けて文化を発信する「Music Program TOKYO」は、東京文化会館(上野)を拠点として「創造性」と「参加性」を柱とした様々な音楽イヴェントを都内各地で開催するもの。その中のひとつ 「プラチナ・シリーズ」は“奇跡の音響”とも呼ばれる東京文化会館小ホールの舞台に、一流アーティストを迎え、彼らの素晴らしい演奏を独自のプログラムで展開していくシリーズ企画。2017~18シーズンも豪華なアーティストが集まった。

 第1回(6月24日)はアーヴィン・アルディッティ率いるアルディッティ弦楽四重奏団が登場する。同時代の音楽、本当に昨日書き上げられたようなパリパリの新作ばかりを取り上げて来たスーパー・カルテットであり、その活動なくしては多くの現代曲は世の中に出なかったであろうと想像されるほど。今回の公演でも日本を代表する作曲家である西村朗の《弦楽四重奏曲第6番》が世界初演(!)される。細川俊夫の《沈黙の花》をはさみ、ラヴェルの弦楽四重奏曲とバルトークの《弦楽四重奏曲第6番》というラインナップは、アルディッティQにしては割と古典よりのプログラム、とさえ言えるほど、最前衛に存在している弦楽四重奏団である。彼らの凄腕の冴えに期待したい。

第2回 御喜美江(C)Marco Borggreve

第2回 大田智美(C)Ryoichi Aratani

 第2回(10月6日)は、クラシカル・アコーディオンの第一人者である御喜美江と大田智美によるアコーディオン・デュオのコンサート。J.S.バッハの《幻想曲とフーガ ト短調 BWV542》やグリーグの《ホルベルク組曲》が取り上げられる。彼女たちも現代の音楽の演奏に積極的で、シュトックハウゼン(ドイツ)の《黄道十二宮》やクシャノフスキー(ポーランド、グレツキ門下)の《エコー》などが演奏される。もちろんアコーディオン奏者にとっても大事なレパートリーであるアストル・ピアソラの作品《オブリヴィオン(忘却)》《エクスアロ(鮫)》も演奏されるが、御喜によれば北欧から南米までをともに旅するようなプログラミングということ。アコーディオン2台によるポリフォニックな世界が楽しみだ。

第3回 アントニオ・メネセス(C)Clive Barda

 第3回(11月21日)はブラジル出身の世界的チェリスト、アントニオ・メネセスと田村響(ピアノ)によるリサイタル。カラヤン指揮でムターと共演したブラームスの《二重協奏曲》などの演奏で知られるメネセスも今年60歳を迎えるそうだ。まさに円熟の世代に入って来たメネセスの演奏を、この小ホールの空間で聴けるとは贅沢である。ベートーヴェンの《ヘンデルの『ユダ・マカベウス』の『見よ、勇者は帰る』の主題による12の変奏曲》、ショパン、ドビュッシーのチェロ・ソナタに加え、ヴィラ=ロボス、ヒナステラという南米の作品の演奏にも注目したい。

第4回 北村英治

 第4回(12月22日)は日本のジャズ界の巨人、クラリネットの北村英治によるクリスマス・コンサート。クリスマス・シーズンにふさわしい楽曲の他、北村が得意とするスウィング・ジャズの名曲《シング・シング・シング》など、懐かしい楽曲が並んでいる。心温まるコンサートになりそうだ。

第5回 イザベル・ファウスト(C)Detlev Schneider

 そして今シーズン最後の第5回(2018年1月22日)は、現代を代表するヴァイオリニストであるイザベル・ファウストによる無伴奏ヴァイオリン曲のコンサート。ファウストと言えば、メルニコフ、ケラスとのトリオ活動でも有名だし、またメルニコフとのベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏なども記憶に新しい。常に作品と正面から向き合い、格闘し、そこに新しい表現をみつけようとするファウストの姿勢には、毎回、こちらも新鮮な感動を与えられて来た。今回は無伴奏。J.S.バッハの《無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番》、同じく《ソナタ第3番》《パルティータ第2番》《ソナタ第1番》という4曲のバッハの傑作が演奏される。いわゆるピリオド奏法にも通じ、また現代的な奏法も駆使するファウストの無伴奏。そこにどんな世界が広がるか、聴き逃せないコンサートである。

 


LIVE INFORMATION

Music Program TOKYO プラチナ・シリーズ
会場:東京文化会館 小ホール

第1回 アルディッティ弦楽四重奏団 ~現代音楽のスーパー・カルテット~
○6/24(土) 17:30開場/18:00 開演 
出演:アルディッティ弦楽四重奏団/アーヴィン・アルディッティ(vn)/アショット・サルキシャン(vn) /ラルフ・エーラース(va)/ルーカス・フェルス(vc)
曲目:ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調/西村朗:弦楽四重奏曲第6番(2017/世界初演)/細川俊夫:沈黙の花/バルトーク:弦楽四重奏曲第6番 Sz.114

第2回 御喜美江 & 大田智美 ~クラシック・アコーディオン 知られざる深遠な世界~
○10/6(金) 18:30開場/19:00 開演 
出演:御喜美江/大田智美(accordion) 
曲目:林光(野田雅巳編曲):裸の島/J.S.バッハ(御喜美江編曲):幻想曲とフーガ ト短調 BWV542/ E.グリーグ(内田祥子編曲):ホルベルク組曲 op.40/A.クシャノフスキー:エコー/A.ドヴォルザーク:スラヴ舞曲 op.72-2/スラヴ舞曲 op.46-8/K.H.シュトックハウゼン:TIERKREIS(黄道十二宮)より/A.ピアソラ:オブリヴィオン(忘却)/エスクアロ(鮫)

第3回 アントニオ・メネセス ~ブラジルの誇り、チェロ界の巨匠~
○11/21(火) 18:30開場/19:00 開演 
出演:アントニオ・メネセス(vc)/田村響( p)
曲目:ベートーヴェン:ヘンデルの「ユダス・マカベウス」の「見よ、勇者は帰る」の主題による12の変奏曲 ト長調 WoO 45/ショパン:チェロ・ソナタ/J.S.バッハ:トッカータ ハ長調 BWV564より アダージョ/ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第2番より「カイピラの小さな汽車」/ヒナステラ:パンペアーナ第2番 op.21/ドビュッシー:チェロ・ソナタ 他

第4回 北村英治カルテット 〜クリスマス・ジャズナイト〜
○12/22(金) 18:30開場/ 19:00 開演 
出演:北村英治(cl)/高浜和英(p, vo)/山口雄三(b)/八城邦義(ds) 
曲目:りんごの木の下で/ウィンター・ワンダーランド/ザ・クリスマス・ソング/メモリーズ・オブ・ユー/シング・シング・シング 他

第5回 イザベル・ファウスト 〜現代最高峰の無伴奏ヴァイオリン〜
○2018年1/22(月) 18:30開場/ 19:00 開演 
出演:イザベル・ファウスト(vn) 
曲目:J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番 ホ長調 BWV1006/無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番 ハ長調 BWV1005/無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ短調 BWV1004/無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番 ト短調 BWV1001
www.t-bunka.jp/

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