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ペンギン・カフェ『The Imperfect Sea』 ポスト・クラシカルの源流として位置づけられるべき新作

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  • 2017.07.14
ペンギン・カフェ『The Imperfect Sea』 ポスト・クラシカルの源流として位置づけられるべき新作

ポスト・クラシカルの源流として位置づけられるべき新作

 ペンギン・カフェの新作が〈Erased Tapes〉からリリースされた。このレーベルの軌跡を追っているリスナーは驚きと共に、或る種の腑に落ちる感覚を持つのではないだろうか? 思えばペンギン・カフェ・オーケストラは現在に至るまで、その音楽性が時代のコンテクストに沿って変換されながら受容されてきた。イーノの〈Obscure〉からデビューした時は、サティの家具の音楽を全く違う方法論で具現化したものとして、80年代にはペンギン人間という覆面性も相俟ってサブカルチャーの旗手として。ゼロ年代には坂本龍一、高橋幸宏らがトリビュートに参加し、時代を越えた普遍的な存在として、受け入れられて来た。そして、今回はポスト・クラシカルの源流としてのペンギン・カフェを位置付けられる様な作品に仕上がっている。〈Erased Tapes〉はオーラヴル・アルナルズやニルス・フラームらが所属する、ポスト・クラシカルの最も重要なレーベルの1つだ。ポスト・クラシカルは人により捉え方の幅はあろうが、エレクトロニカ以降の感性でアコースティックの響きを再定義するという共通項があり、ペンギン・カフェはポスト・クラシカルの意匠を大幅に先取りしていたと言える。

PENGUIN CAFE The Imperfect Sea PLANKTON(2017)

 父の言葉を引用した新作『The Imperfect Sea』はこれまでとは違う注目すべきアプローチが見られる。何とクラフト・ワーク、ペンギン・カフェ・オーケストラ、シミアン・モバイル・ディスコといったカバーが収録されているのだ。これは正にアコースティックによる再定義の試みと言えるだろう。アンサンブルと音響への視点もより探究心を増し、斬新かつ心地良いという絶妙な塩梅で奏でられており、やはりこれまでのアルバムで最も攻めたアプローチを見せる作品という印象だ。国内盤にはコーネリアスとペンギン・カフェのコラボ4曲が収録。こちらも素晴らしい楽曲に仕上がっている。7月には来日も決まっており、どんな幻想世界を繰り広げてくれるのか楽しみだ。


LIVE INFORMATION

『ペンギン・カフェ来日公演 2017』
○10/5(木)19:30開演  会場:渋谷クラブクアトロ
○10/7(土)17:15開演  会場:すみだトリフォニーホール 大ホール
スペシャル・ゲスト:やくしまるえつこ/永井聖一/山口元輝
○10/9(月・祝)15:00開演  会場:まつもと市民芸術館 主ホール
スペシャル・ゲスト:大貫妙子
○10/10(火)19:30開演  会場:梅田クラブクアトロ
plankton.co.jp/penguin/

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