COLUMN

ライアン・ケバリー&カタルシス 『Find The Common, Shine A Light』 混迷するアメリカに音楽から光を照らす、ケバリーのメッセージ

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  • 2017.10.20
Ryan Keberle & Catharsis @ Jazz Standard NYC.

混迷するアメリカに音楽から光を照らす、ライアン・ケバリーのメッセージ

 ライアン・ケバリー(tb)は、ニューヨークのビッグバンド・シーンで、マリア・シュナイダー・オーケストラ、ダーシー・ジェイムス・アーギュー&シークレット・ソサエティの中枢メンバーとして活躍し、不動の地位を築いてきた。そのケバリーが6年前に立ち上げた、クァルテットがカタルシスだ。多くのツアーを廻り、今まで4枚のアルバムをリリースしてきた。4作目の本作では、トランプ政権下、混迷するアメリカに音楽から光を当てた、初の政治的なコンセプトを持つ作品だ。タイトルの 『Find The Common, Shine A Light』には“Become The Water, Put Out The Fire”という語句が繋がり、オープニング・チューンとなっている。複雑な世界情勢の中、相互を思いやる気持ちが大切というケバリーのメッセージを込められた。

RYAN KEBERLE & CATHARSIS Find The Common, Shine A Light Greenleaf Music(2017)

 2管のコードレス・ユニットで始まったカタルシスだが、本作ではケバリーがフェンダーローズを弾き、カミーラ・メザがヴォーカル、ギターを担い、またコーラスもフィーチャーして、ハーモニー面でも新たな進化を遂げている。ケバリーは、ボブ・ディラン、ビートルズのカヴァーも採り上げ、およそ50年前の曲に現代にも通じる普遍的なメッセージを見出した。

 オーネット・コールマンにインスパイアされたオリジナル 《Ancient Theory》も、現代こそオーネットのように多角的な視点を持つ人物が必要という思いを込める。アルバムは、ウェルカム・ワゴンのカヴァー《I Am A Stranger》で幕を閉じる。ケバリーの作品群では異色のヴォーカルとカヴァー曲を多くフィーチャーした作品で、彼のキャリアの転換点となる重要作である。

 ライアン・ケバリーは、カタルシスのメンバーからカミーラ・メザ、ホルヘ・ローダー(b)のトリオで、10月20日から10月29日まで、東京、静岡、名古屋、京都を巡るツアーに乗り出す。ミニマリズムで描く壮大な音楽観に期待が高まる。

 


LIVE INFORMATION

『Ryan Keberle & Catharsis trio』
出演:Ryan Keberle(tb), Jorge Roeder(b), Camila Meza(vo,g)
○10/20(金)ライフタイム(静岡)
○22(日)ピットイン(新宿)
○23(月)ル・クラブジャズ(京都)
○24(火)ル・クラブジャズ(京都)
○26(木)スターアイズ(名古屋)
○27(金)ボディ&ソウル(南青山)ワークショップ(14:00~16:00) J(新宿) (ライアン・ケバリーのみ参加/慶應義塾大学ライトミュージックソサイェティのゲスト)
○28(土) スイングホール(武蔵野)
○29(日)ボディ&ソウル(南青山)
zoojazz.music.coocan.jp/

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