かつてくるりでギターとチェロを担当していた京都在住のシンガー・ソングライター。彼の新たなソロ作は、細野晴臣や柳原陽一郎らが参加した前作『黄金の館』と比べても、USルーツ音楽のエッセンスと持ち前のナチュラルなポップセンスをいっそう有機的に融合させた部分が多々見て取れる充実作となった。瑞々しいフォーキー・サウンドに彩られた“桃源郷”などナイーヴそうな歌声が軽やかに躍るメロディアスなナンバーと、ファンキーでダンサブルな“Stupid Dancer”や美しく先鋭的なインスト“Fountain”などがさほど違和感なく並んでいる様子も何やら痛快。ドリーミーな感触が強くて、同時に伸びやかで気持ちのいい風を感じさせるポップソングたち。この不思議な感覚はかなりクセになる。