ブロック・パーティのフロントマンによる3年ぶりのソロ3作目。昨年末に娘を授かったそうで、これはその愛娘と自身の関係を記録したアルバムとのこと。なるほど、全編とてもパーソナルな風合いで、ヴォーカルも目の前にいる我が子へ語り掛けているかのよう。優しさが滲み出ているのだ。フォーキーな“Streets Been Talkin'”などはアコギの繊細な鳴りが歌と共に感情を伝え、そこに少しずついろんな楽器が重なり、曲が膨らんでいく様は、彼と愛娘の人生にいろいろな人が関わってくる状態を表しているふうにも思えてくる。イヤーズ&イヤーズのオリー・アレクサンダーとの共演曲におけるメロディーと鍵盤の軽やかさはベニー・シングスを想起させ、ボサノヴァに通じる郷愁を湛えたコリーヌ・ベイリー・レイ参加曲も大きな聴きどころ。夕日を見ながら聴いたら泣いてしまいそうだ。人生の転機を迎えた時や新しい暮らしを始める時に聴き返したくなるだろう作品。