アウス・ミュージックやホットフラッシュ、ハイパーカラーなどからハウスの定義を拡張するトラックを次々と放ち、フロアのニーズを満たしてきたジョージ・フィッツジェラルド。10年以上に渡るベルリンでのキャリアに終止符を打ち、故郷ロンドンで完成させたこの新作は、前作同様にフロアから距離を置き、耳触りの良いアンビエンスとポップなテイストを加味したハウス・アルバムとなった。自身が父親になることなど、実際は環境の変化に対する不安もあるようで、トレイシー・ソーンが曲に味わい深さを注いだ“The Echo Forgets”、ボノボを迎えた壮大な展開の“Outgrown”など、どの曲にも彼の心の揺れがメランコリックな音となって反映され、それらがそのまま作品の世界観を形成している。