君たちの歌はみんなの歌――エルトン・ジョン&バーニー・トーピンに乾杯!

 70歳を迎えた2017年のエルトン・ジョンは、活動50周年、及びバーニー・トーピンとの共同ソングライティング50周年というアニヴァーサリーにあたって、新装ベスト盤『Diamonds』をリリースした。それから明けて2018年は、シングル“I've Been Loving You”でのデビューから50周年という節目でもあり、何より最後のツアーとなる〈Farewell Yellow Brick Road〉がスタートする年でもある(ツアー自体は3年かけて世界を回るそうだが)。年頭に行われた第60回グラミー賞の授賞式ではマイリー・サイラスと共演し、また同賞の一環でトリビュート・コンサートも開催されるなど、ポップ音楽の歴史上もっとも偉大なシンガー・ソングライターの一人を祝福する機会はこの先もしばらく増えていきそうだ。そうした流れの中でこのたび登場したのが、豪華アーティストの参加したエルトン・ジョン&バーニー・トーピンのトリビュート・アルバム『Revamp: Reimagining The Songs Of Elton John & Bernie Taupin』である。

VARIOUS ARTISTS Revamp: Reimagining The Songs Of Elton John & Bernie Taupin Island(2018)

 エルトン&バーニーのトリビュート盤といえば、91年に『Two Rooms: Celebrating The Songs Of Elton John & Bernie Taupin』が制作されたこともあった。27年前の時点ですでに彼らがレジェンドだったこともよくわかると思うが、そこに参加していたメンツもまたホール&オーツ、ザ・フー、スティング、フィル・コリンズ、ティナ・ターナー、エリック・クラプトン、ビーチ・ボーイズ、ジョン・ボン・ジョヴィ……と、逆にそれぞれトリビュート盤が作れそうなレジェンドたちである。一方、2014年には文句なしの名盤『Goodbye Yellow Brick Road』(73年)に40周年記念エディションが出され、その追加ディスクとして用意された〈Goodbye Yellow Brick Road: Revisited & Beyond〉には、エド・シーランやミゲル、バンド・ペリー、エミリー・サンデー、イメルダ・メイ、フォール・アウト・ボーイらによるカヴァーが収録されてもいて、より若い世代のアーティストによる多様な解釈で伝説の歌を新鮮に楽しませてくれた。このたびの『Revamp』はジャンル的にも世代的にももう少し幅を設けた形で各界の大物を招集している。

 詳細は右ページの全曲紹介に譲るとして、主にUSとUKのアーティストをバランス良く配し、スタイルも活動フィールドもそれぞれながら、現代のトップたるレディ・ガガやピンク、コールドプレイ、エド・シーランを筆頭に、どこか御大に通じる部分があるメンツばかり。いわゆる豪華さを優先した感じでもないのが素晴らしいところで(ラッパーを迎えているのもヒップホップ好きのエルトンらしい)、最終的に残るのはやはりシンプルに楽曲の良さという部分でもある。デビュー50周年でも生誕71年のお祝いでも構わないが、この機会にその別格の素晴らしさを味わおう。

エルトン・ジョンの作品を一部紹介。

 

エルトン・ジョンが客演した近年の作品を一部紹介。