INTERVIEW

寺井尚子『寺井尚子ベスト』『The STANDARD II』 デビュー30周年 ~2作同時リリースした寺井尚子が見つめる未来

寺井尚子『寺井尚子ベスト』『The STANDARD II』 デビュー30周年 ~2作同時リリースした寺井尚子が見つめる未来

デビュー30周年 ~2作同時リリースした寺井尚子が見つめる未来

 昨年、自己初となるスタンダード集『ザ・スタンダード』を発表し、好評を博した世界的ジャズ・ヴァイオリニスト寺井尚子。今年デビュー30周年&CDデビュー20周年というダブル・アニヴァーサリー・イヤーとなる彼女が、その第2弾となる『ザ・スタンダードⅡ』とベスト・アルバム『寺井尚子ベスト』の2作品を同時リリース。その思いを語ってくれた。

寺井尚子 The STANDARD II ユニバーサル(2018)

寺井尚子 寺井尚子ベスト ユニバーサル(2018)

 「前作の『ザ・スタンダード』は、ジャズの歴史を築き上げてきた偉大なジャズメンに敬意を表するとともに、全曲ジャズ・スタンダードというアルバムにチャレンジしたいという思いで制作しました。今回発表した『ザ・スタンダードⅡ』は、節目を迎えるに当たって、ポップスや映画音楽へも視野を広げ、未来のジャズにつなげたいという願いで作った作品。同時発売された『寺井尚子ベスト』は、ファンの皆様への感謝の気持ちを表したいと思ったのがきっかけです」

 確かに、この2作品を聴いていると、30年に亘って第一線で活躍を続けている彼女の無尽蔵のパワーと、音楽への深い愛情がひしひしと伝わってくる。

 「コンサートを行なうたびに、会場に来てくださったお客様のエネルギーに支えられて今の自分があるということを強く感じています。立ち止まることも何度かありましたけど、いつもそのことを思い返して、自分の気持ちをニュートラルにして、また奮い立たせて歩いてきました。そのことには本当に感謝しています。そして、そのようなお客様からいただくパワーと同様に、私を前に押し進めてくれたのが、自分の心の中に湧き上がるワクワク感。16歳の時に初めてビル・エヴァンスを聴いた時に芽生えた気持ち。それが私をジャズへの道に駆り立てました。それは、デビューから30年経った今でも少しも変わっていません。未知の方向へと進むとき、色々な心配事ができても、ワクワク感の方が勝ってしまうんです。その気持ちが生み出してくれるエネルギーを大切にしています」

 彼女を前進させる膨大なエネルギーを秘めたワクワク感。それはどのようにして生み出されるのだろう。

 「食事や運動には気を使っていますが、最近では9年前に飼い始めた犬の存在が大きいですね。一緒に暮らしていると生活に制約も生まれてきますが、最近はそのことがとても心地よく感じています。不自由さが私の中にエネルギーを蓄えさせ、演奏の際に爆発的なパワーとなって出てくるような感覚です。そんな暮らし方をするようになってから、演奏中に、いい音がビシッと決まった時など、“ああ、音楽ってなんて素晴らしいんだろう!”という思いをより強く感じるようになりました。その感覚に毎回トライしています」

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