INTERVIEW

J・バルヴィン『Vibras』 サマソニ出演を控える世界的なラテン・ムーヴメントの真打ちが新作に込めたヴァイブスとは?

J・バルヴィン『Vibras』 サマソニ出演を控える世界的なラテン・ムーヴメントの真打ちが新作に込めたヴァイブスとは?

世界的なラテン・ムーヴメントの真打ちがいよいよ日本上陸!

 夏だからラテンって、ちょっと安易すぎ? とはいえ今年の夏はホントにラテン・ブームが到来しそうだ。そもそも世界規模ではすでに昨年あたりからブームが爆裂中。ジャスティン・ビーバーやビヨンセをはじめ、デミ・ロヴァート、セレーナ・ゴメス、ベッキー・Gらがスペイン語で歌ったり、ラテン界からもマルーマやオズマ、バッド・バニーら若手が続々と世界に進出している。ダディ・ヤンキーやニッキー・ジャムらヴェテランのレゲトン・シンガーたちもバキバキ復活劇を繰り広げ、ピットブルらの活躍ぶりに到っては言うまでもないだろう。

 そんななか、世界を上げてのメガ級ラテン・ヒットといえば、やはり“Despacito”と“Mi Gente”の2曲。前者はルイス・フォンシ&ダディ・ヤンキー名義でヒットしていたのに、リミックスでジャスティン・ビーバーが参加してさらに拡大。後者も同様、J・バルヴィン&ウィリー・ウィリアムのオリジナルが中南米を中心にヒットしていたところに、ビヨンセがリミックスで参戦。地球規模へと拡大した。本稿の主役J・バルヴィンはビヨンセ参加の経緯をこんなふうに説明する。

 「すごく自然な流れで参加してくれたんだ。もともと“Mi Gente”のオリジナルが世界中で大ヒットしていて、それをビヨンセの娘さんが気に入ってくれたようなんだよね。全然ビジネスとかじゃなく、音楽で繋がった感じだよ。そこがビューティフルだと思うんだ。完成した瞬間からあの曲は絶対ヒットすると信じていたよ。とはいえ俺たちの生み出したサウンドが、こんなふうに世界中で受け入られられるとは感激だよ。これまでやってきたことが認められたわけで、〈やっぱり正しかった〉〈夢は大きく描くべき〉って思うんだ」

 J・バルヴィンことホセ・バルヴィンは、シャキーラやマルーマらと同じ南米コロンビアの出身。17歳で一時期アメリカに留学したものの、19歳で母国へ戻り、シンガーとして身を立てると決心。地元メデジンのクラブで歌ったり、オリジナル曲を発表しながら次第に人気を獲得。2010年に『Real』でアルバム・デビューを飾って以来、コンスタントにヒットを放っている。中南米やUSラテンのチャートではもはや常連、ラテン音楽ファンにはすっかりお馴染みなのだが、いわゆる欧米ポップスのファンの間でも名が通っているのは、数々の大物アーティストたちのヒット曲で客演、多数のスペイン語ヴァージョンやリミックスを発表したきたからだろう。ジャスティン・ビーバーの“Sorry”、アリアナ・グランデの“The Way”や“Problem”、メジャー・レイザー&DJスネイクの“Lean On”、ロビン・シック“Blurred Lines”などなどを、英語ではなく常にスペイン語で歌っている。

 「スペイン語で育ったからには、そこへのこだわりは大切にしたいんだ。“Mi Gente”にしても、スペイン語で歌って世界各国でNo.1を獲得することができた。スペイン語の歌で世界に認められたいんだ。カーディBやバッド・バニーとコラボした“I Like It”もスペイン語で歌ったよ」。

J. BALVIN Vibras Capitol Latin/ユニバーサル(2018)

 前作『Energia』から約2年ぶり、通算5作目となるアルバム『Vibras』も、もちろん全曲がスペイン語で歌われている。タイトルの〈ヴィブラス〉とは、英語や日本語で言うところの〈ヴァイブス〉。アルバムは、同名のムーディーなイントロダクションで幕を開ける。

 「アルバム全体からフィール・グッドなヴァイブスを感じてほしいからなんだ。たとえスペイン語を理解できなくても、サウンドで感じてもらえるはず。そこが音楽の凄いところさ。アルバムにはみんなが踊りたくなるような曲もあれば、フロウで聴かせる曲もある。クールな曲がいっぱい入っていて、とにかくヴァイブスが最高だよ。全体を聴いてもらえば、絶対気に入ってもらえると思うんだ」。

 レゲトン・シンガーと括られることも多い彼だが、“Mi Gente”“Machika”といったアグレッシヴなお祭りチューンもあれば、ゆったり南国ムードで聴かせる曲も光っている。むしろユルいテンポのほうが彼のソフトな歌声とマッチ。それこそがJ・バルヴィンの魅力ではないかと思われる。

 ゲストには、レゲトン界の先輩ウィシン&ヤンデル、ザイオン&レノックスら大御所をはじめ、大躍進中のブラジル人シンガーであるアニータ、インディー・ポップ系メキシコ人シンガーのカーラ・モリソン、スペインのフラメンコ歌手のロザリアまで、多様なジャンルの人々を起用。多国籍という点も意識したそうだ。

 一方、プロデューサーに関しては、アルバム全体の〈ヴァイブス〉の統一感に留意して最小限の人員だ。レゲトン界の若きヒットメイカーであるタイニーことマルコ・マシスと、Jの同郷の本有であるスカイことアレハンドロ・ラミレスの2人が、大半のトラックを手掛けている。

 このたび登場した日本盤には、前作からヒットした“Ginza”や“Bobo”、ファレル・ウィリアムズ参加の“Safari”、ハイチ人DJのマイケル・ブランとのコラボ曲であり、米国のスペイン語TV局・テレヌンドのW杯テーマソングにも選ばれた“Positivo”なども収録。その他、さまざまな方面からも引っ張りだこの彼は、ニッキー・ジャムとのコラボ“X”やリアム・ペインの“Familiar”など、あちこちに出没して、スペイン語ソングの魅力を世界に伝えている。

 「リアムとは以前にNYで会ったことがあったんだけど、すごくいいヴァイブスを持っているんだ。人間的にもいいヤツだし、何か一緒にやろうって言われたら、〈うん〉って即答しようと思っていたよ。彼のことを心から愛おしく思ってるんだ」。

 前述のカーディB×バッド・バニーとのコラボ“I Like It”に到っては、ついに全米シングル・チャートを制覇。そんな絶好調の彼が、8月の〈サマソニ〉で初来日を果たしてくれる。一体どんな〈ヴィブラス〉を感じさせてくれるのか。これはホットな夏になりそうだ。

『Vibras』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

pagetop