INTERVIEW

終わりの先へ向かうBiSHの現在とWACKグループの次なる展開を、プロデューサーの渡辺淳之介が語りまくる

終わりの先へ向かうBiSHの現在とWACKグループの次なる展開を、プロデューサーの渡辺淳之介が語りまくる

〈TO THE END〉の先にある地平へ踏み出したBiSH――その映像作品リリースを記念し、今回はプロデューサーの渡辺淳之介を直撃! 何かとお騒がせなWACKの最近と今後についてもあれこれ訊いてみましたよ!

あたりまえにやろうね

——今回はドキュメンタリーの「SHAPE OF LOVE」と横浜アリーナ公演を収めた「BiSH "TO THE END"」というBiSHの映像作品が2タイトル登場します。「SHAPE OF LOVE」はメンバー目線でこの半年ほどの動きを振り返ったものですが、渡辺さん的にこの半年はいかがでしたか?

「まあ、横浜アリーナはもう2年以上前から押さえてはいたんですけど、まさか埋まると思ってなかったですし、チケットが一般発売日当日に即完したり、見えない人たちにちょっとずつ届いてるのは、事象としては見えるんですけど、〈ホントに?〉みたいな。去年の『ミュージックステーション』出演から始まり、まさかのCMタイアップもあって、メンバーも僕もちょっと自分じゃないような、ふわふわした半年間でしたね(笑)。と言いつつ、状況に合わせて人間が上がっていくっていうか、幕張の時のみんなで抱き合って泣くみたいな感じでもなく、当日は〈あたりまえにやろうね〉みたいな感覚のほうが強くて、目標がより高くなったというか。状況とかお客さんの反応とかの後押しも含めて、そういう意識に成長させてもらった気はします」

——渡辺さん個人としては2回目の横アリでやることについてどうでしたか。

「やっぱり特別な感慨っていうか、どうしても僕の横浜アリーナっていうのは旧BiSの解散の場所なので。〈ああ、とうとう来たんだ〉って、やっぱり反芻するわけですよ。BiSHがデビューからちょうど3年ぐらいで、いろいろ怒られながら紆余曲折あった旧BiSの長い3年半とはまた違うな……とか。わざとそう感じないようにしながらも、楽屋入ったりすると内装も変わっててたりして、時の流れも含めて感じるところはやっぱありましたね。でも、BiSHはホントに普通にライヴをやって〈じゃあ、次はもっと大っきい場所で〉みたいな感じだったんで、まあまあ〈BiSHはホントに大物ですね〉と思いながら観てました(笑)」

——“Nothing.”とかBiSに引っ掛けた曲は逆にやらなかったですね。

「そこは悩んだんですけど、4年前のBiSみたいにほぼ全曲やってどんどん客がダレていくっていう状況もアレだし(笑)、やっぱお客さんに完全に満足してもらうよりは、ちょっと消化不良ぐらいで帰ってほしいなっていうのがあって、やりたい曲も全部は入らなかったですね。“Nothing.”も個人的にはけっこう好きなんですけど、“サラバかな”とかも削らざるを得なかった。あと、新しいお客さんも増えてるので、誰を満足させるのか考えると、どうやっても限定的にはなってきちゃいますね。逆にふだんのライヴとかでは、全然やってない昔の曲をいきなりブッ込んだりしてるんですけど」

——今年はフェスも出まくりですよね?

「よく言ってるんですけど、〈フジロック〉以外ほぼ出てるんじゃないかって。もう春くらいからフェス関連の問い合わせが鳴り止まず、全部受けてたらこんなことになったっていう。選んでも良かったんですけど、求められたらすべて応えたいし、やっぱりアイナ・ジ・エンドの存在が凄くデカくて、アイナが〈VIVA LA ROCK〉で椎名林檎さんを歌ったりとか、MONDO GROSSOさんの〈GREEN ROOM〉で歌ったりとか、フェス側からの期待はそういう課外活動も作用してるのかなと思います」

——ドキュメンタリーではアイナさんのコンディションについても描かれています。

「去年のゲリラの時期なんかもそうでしたけど、休みなく動く時が重なっちゃうとストレスも含めてそうなっちゃうので、なるべく何日も連続で歌う機会はなくすようにしてはいます。でも、長く続けたいとは思いつつも〈どこまでなんだろうな〉ってのは本人たちも感じてると思うんで、そこで抑えていいのかどうかは葛藤がありますね」

——それも関係あるのか、今年に入ってからの楽曲は歌割りが均等になってきて。

「そうですね、アイナの件もありますけど、やっぱり個々のレヴェルが上がりましたし。セントチヒロ・チッチはいちばん上手くなったし、歌えなかったモモコグミカンパニーですら〈こんな上手くなるかな〉ってぐらい成長してますからね。あと、BiSHはもう稼げてるんで、本人たちの金で自由にボイトレをやってるんですよ。もちろん僕が用意するレッスンとかもあるけど、やらされるより自分自身でやったほうが身が入るのは勉強と一緒だと思うし(笑)。リンリンはハロプロが大好きなんで〈菅井(秀憲)先生のレッスンをどうしても受けたい〉って言って自主的に受けてるんですけど、それもあって飛び道具から脱却して、自分なりの表現ができるようになってますし。アユニ・Dも上手いわけじゃないけど、凄く人を惹き付ける自分なりの歌い方が見つかってきてる。ハシヤスメアツコも……上手くなってるけど、堂々とハズしてきて気持ちが良いな~というところです(笑)」

——ハシヤスメさんはドキュメンタリー冒頭からなかなかの場面がありますが(笑)。

「可哀想なぐらい全員に詰められるっていう(笑)、あれはおもしろいっすね。僕もオーディションで〈君はちょっと空気が読めないところもあるけど、清水の舞台から飛び降りる覚悟で採用します〉って伝えた通りのことがちょいちょい起こるというか(笑)。でも、その感じが彼女の良さだし、実は凄くストイックで、堂々としてるのは彼女がいちばんですね。ハシヤスメがいなかったらやっぱりBiSHはいないので、良いスパイスというか、彼女はお酢ですね、お酢。味が締まる(笑)」

 

いろんな面を見てほしい

——横アリの後にサプライズで出た“NON TiE-UP”はいつから考えてたんですか?

「今年の1月1日ですね。DISH//がやった武道館公演の一部を僕と松隈ケンタでプロデュースさせてもらって、そのリハーサル後の待ち時間かな? 楽屋でゴハン食べながら松隈と喋ってた時に、その時点で決まってたのがタイアップばっかりだったので、〈逆タイアップとかないのかな?〉って笑いながら話してたんすけど。そこから〈キレイな言葉で〉とかいう制約のない曲を無料でもいいからやろうよってことになり、その日のうちにavexのディレクター陣に連絡したら〈いったん持ち帰らせてくれ〉って言われたんですけど(笑)」

——それでも押し切ったわけですね。

「やっぱりWACKって別に大手の事務所じゃないし、BiSHも別にキレイな子たちを集めて作ったグループではないし、欠点だらけでもいいし……っていうところを伝えたいわけですけど、そこが掻き消されていくとBiSHの寿命も縮まっちゃう気がして。松隈も僕も、もちろん曲自体はどれも自信を持って出してるから、もっといろんな面を見てほしいと思ったし、受け入れられなくてもいいから出してみようと。結果的にゲリラでやらせてもらって、みんな話題にしてくれたから良かったなと思って」

——そうやって人を動かして祭りにするというので言うと、渋谷109の謝罪広告と〈謝罪本〉の配布もありました。

「おもしろかったでしょ(笑)? あれで別に何かが許されるわけじゃないんですけど、もう30人以上メンバーがいて、誰が何を間違えるか、Twitterとかで何を言っちゃうかわかんないんで、先に謝っちゃおうっていう。最初は街頭広告出してあとはウェブでみたいな話だったんですけど、やっぱ手元に残るモノがあったほうがいいなと思って。CDショップで配布してもらいつつ、渋谷ではメンバーがゲリラで配ってたらおもしろいかな~みたいな(笑)。ただ、この規模になると、もともとグレー上等なスタイルだったはずが、それもやりづらい息苦しさはあるというか。だから最近のイケイケなアイドル運営の子たちが羨ましいというか、りな(苺りなはむ。元BiS結成メンバーのヨコヤマリナ)のCY8ERとか、がんばってほしいなって」

——CY8ERは何かコスッてて良いですね。

「そうっすよね、〈俺もこんなことばっかやってたな~〉って(笑)。りながいま僕がBiS始めたぐらいの時と同い年ぐらいなのかな。それを思うと、アイツはちゃんと考えて這い上がってきたな、と。逆にプー・ルイやカミヤサキ(GANG PARADE)には〈そろそろBiS解散した時の俺ぐらいの年齢だぞ〉って話はするんですけど。〈俺、もうちょっとやってたよね?〉って(笑)」

——そのプー・ルイさんですが、国技館のドキュメンタリー観てると、渡辺さんが普通に無念そうでおもしろかったです。

「そうっすね(笑)。お互い様なんですけど、やっぱりあの時のパッションを求めちゃうんで、そこがどうしてもできなくなったのがデカいし、しかもそれをお互い喋りながら納得しちゃうっていうか、〈まあ、あん時には戻れないよね〉みたいな……」

——どこのカップルだよっていう(笑)

「ホントに(笑)。でも、彼女はそれぐらいの存在だし、BiSHに歌わせた“FOR HiM”こそがすべてなので。ずっと色褪せない初恋の人みたいな感覚ですよ。……気持ち悪いっすけど(笑)」

——原稿チェックで削らないですよ(笑)。で、BiSのチーム分けと〈BiS.LEAGUE〉がそこから始まって。最初のBiS1stはライヴが本当に良かったですね。

「僕も何となく分けたんですけど、最初の1stはゴ・ジーラのおかげかな。ライヴもスゲエ良かったっすね。ホントは、ももらんどもいたんですけどね~」

——けっこうな衝撃でした。

「ももらんど、僕はホントに凄い好きだったんで、〈マジか……〉って。もちろん単純にお客さんを置いて帰っちゃうのが許される世界ではないんですけど、本人も相当な覚悟だったんだろうなというか」

——ただ、少なくとも続けた人しか成功できないのは確かでしょうし。「SHAPE OF LOVE」でチッチさんが昔の沖縄の話をされてるのにも繋がりますけど。

「ねえ。あん時は本気で俺も辞めちまえって思ってましたもん(笑)。もしかしたらチッチも逃げようとしたかもしれないんですけど、辞めなくて良かったねというか、あそこで踏み止まったから現在があるっていうのもおもしろいところだし」

BiS1st

——ただ、BiS1stに関しては、4人になったことで謎の良さが生まれた気はします。

「そうっすね。今回〈BiS.LEAGUE〉をやって凄くピリッとはしたし、彼女たちも何をやってるのかわかったと思うんで、ひとまずもう1回は続行してみて。その後はどうするかわかんないですけどね。まあ、いまはBiSがいちばんお客さんを意識できてないっていうか、最終結果発表の時のスピーチとかも〈自分が、自分が〉みたいな感じになってて、投票してくれた人たちが何を聞きたいのか誰も考えられてないんじゃないかな? その意味だと、やっぱゴ・ジーラが1位だったのは順当というか、単純にTwitter追ってるだけでも、彼女の言動と効果はおもしろかったですよね」

——ゴ・ジーラさんがBiS1st、ムロさんが2ndのキャプテンになったのは?

「ムロはスピーチがいちばん良かったのもあるけど、たぶん役割を与えないと成長しないタイプかなって。頭がいいから抜きどころをわかっちゃう奴なんだけど、そういうことじゃないぞっていう。ゴ・ジーラはやっぱプー・ルイがいた頃とは比べものにならないくらい責任感が出てきたので。かなり悩んではいますけどね。彼女は冷めた言い方しながらも人のことを諦めてないんで、そこをどう吹っ切るかなって気はします。まあ、〈BiS.LEAGUE〉は去年の〈WACK総選挙〉より全然楽しかったっすね。あれはあんまり意味もなかったかな(笑)」

——いやいや、その意味は9月にリリースされるじゃないですか(笑)。

「そうでした(笑)。チッチとアイナのソロがようやく出ますね。あとユイ・ガ・ドクソンのソロも楽しかったですね」

 

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