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LABRINTH——ヴォーカリストとしての才能を開花させたUKのヒットメイカー

 89年生まれでLSDにおいては最年少となるラブリンスはもともとグライム~ラップ畑の裏方として名を上げてきたUK出身のクリエイターだ。タイニー・テンパーの大ヒット“Frisky”を手掛けた後にあのサイモン・コーウェル主宰のサイコと契約。メジャー・デビュー曲“Earthquake”(2011年)が全英2位、エミリー・サンデーをフィーチャーした“Beneath Your Beautiful”(2012年)で全英No.1を獲得し、ヴォーカリストとしての自身を前面に押し出していく。

 自身のアルバムは大ヒットした初作『Electronic Earth』(2012年)以来出ておらず、外部での露出もそこまで頻繁ではないが、これまでにリアーナやウィークエンド、シグマ、カイゴ、ノア・サイラス、マイク・ポスナー、ニッキー・ミナージュ、ギグスら幅広い顔ぶれと仕事をしている。2017年にはCM曲“Misbehaving”がヒットし、昨年はステフロン・ドンを迎えた“Same Team”をリリース。今年はCMソングとしてスタンダードの“Don't Fence Me In”を発表しているが、そろそろ本腰を入れて自作に取り組んでほしい気がしなくもない。

ラブリンスの参加作品を一部紹介。

 

SIA——顔なき天才ヒットメイカー

 別格のヒット・スケールと4度のグラミー賞ノミネート歴を誇り、リアーナやビヨンセ、ケイティ・ペリー、ブリトニー・スピアーズ、クリスティーナ・アギレラら超大物アーティストたちに楽曲を提供するSクラスのソングライターとしても、唯一無二の歌声を聴かせるヴォーカリストとしても圧倒的に支持されているオーストラリア出身のシーア。メディアに顔を見せないことで知られているが、それも利用して自身のヴィジュアル・イメージをカラフルに創造しているのも大きな特徴だ。自身名義では“Chandelier”(2014年)や“Cheap Thrills”(2016年)が破格のヒットを記録し、アルバム単位ではアトランティック移籍作でもあったクリスマス盤『Everyday Is Christmas』(2017年)以来途絶えているものの、コラボ名義や客演での露出はゼイン“Dusk Till Dawn”(2017年)やデヴィッド・ゲッタ“Flames”(2018年)などコンスタントに続いている。ソングライターとしても近年はブロンディやパロマ・フェイス、フォール・アウト・ボーイ、TQXなど幅を広げているのが興味深い。

シーアの参加作品を一部紹介。

 

DIPLO——現行ミュージック・シーンの最重要プロデューサー

 ディプロがダンス・ミュージック・シーンにおける最重要プロデューサーであることはこの15年以上変わっていないが、彼の取り組んできたようなクラブ・ミュージックの流行がメインストリーム化して一般化し、結果的に双方に差違がなくなってきたことを思えば、遊び心のあるトレンドセッターとしてのコアな影響力という意味でも、この数年のメインストリームにおけるヒット・スケールという意味でも、その両方を併せ持つ者はやはりなかなかいないと言えるだろう。メジャー・レイザーの“Lean On”(2015年)やスクリレックスと組んだジャックUの“Where Are U Now”(2015年)が破格のヒットとなって以降は自身を触媒にした大がかりなプロジェクトで多彩なアーティストと絡む機会がさらに増えていて、LSDと並行してマーク・ロンソンとのシルク・シティが話題になったのも記憶に新しいところだ。プロデューサーとしてもリル・ヨッティやXXXテンタシオン、リル・ザン、トリッピー・レッド、ポピーら新鋭との絡みを好みつつマルーン5やショーン・ポールらとの大物仕事も順調に継続中。

ディプロの参加作品を一部紹介。