INTERVIEW

なかの綾とCENTRAL『リバース』 念願のコラボが生んだコク深い令和歌謡の世界を語る

なかの綾とCENTRAL『リバース』 念願のコラボが生んだコク深い令和歌謡の世界を語る

念願のコラボが生んだ最高にフレッシュな一体感――粋な歌謡性と路上の薫るガレージ・ラテン・サウンドが綾なす、リズミックでコク深い令和歌謡(?)の世界へようこそ!

 夜の不死蝶――なかの綾が、念願だった本格的なラテン仕様のアルバム『リバース』を完成させた。お相手を務めたのは、今年で結成20周年となるサルサ・バンド、CENTRALの面々。なかのが2016年にCrystal Kayの“KISS”をカヴァーした際のバックは彼らだったが、ガチンコでコラボするのは今回が初。まずは制作の経緯から。

なかの綾とCENTRAL リバース HIGH CONTRAST/ヴィヴィド(2019)

 「去年の6月にゲスト・ヴォーカルで呼んでもらったTHE ROOMでのライヴで、テンションが上がっちゃって〈次はCENTRALとアルバムを作ります! それから横山剣さんに曲を書いてもらいます!〉ってステージ上で宣言しちゃったんです。もちろんオファーもしてないし、私が勝手に走りはじめただけなんだけど……」(なかの綾)。

 「あの時はかなり酔っぱらっていたね。その宣言を聞いて僕らも〈やろうやろう!〉って感じでしたよ」(西岡“ヒデロー”英朗、ティンバレス)。

 アルバム作りにあたって彼らがまず念頭に置いたのは、一発録りで一気にレコーディングすることで、その目的を遂行するために、なかのも含めて念入りなプリプロを実施。コンセプトらしきものは一切なかったそう。

 「ウチのバンドは昔からコンセプトとか必要ないんですよ。誰かが音を出したら誰かがそれに乗って、っていう流れで動くスタイルが自然にできているから」(及川浩志、ボンゴ)。

 「こだわったのは〈なるべく作り込まない〉ってこと。長年やっているので、やってみれば良くなる感がわかるから」(宮内岳太郎、トロンボーン)。

 「俺たちがやれば絶対にカッコいいものができるって確信があるから、あえて何かにこだわる必要がない。曲作りの段階でもみんなの顔を思い浮かべながらやっていると、絶対にハマるもん。それに綾ちゃんなら絶対に大丈夫だと思った」(西岡)。

 西岡の予想通り、長年同じ釜の飯を食ってきた感を醸しているここでの綾嬢。バンドとの呼吸はバッチリだし、ラテン音楽をこよなく愛してきた彼女らしくリズム面での咀嚼力もバツグンだ。

 「リズム感良いし、ピッチも良いし、何よりも性格が良い。バンドのテンションを上げてくれるんですよ」(西岡)。

 「綾ちゃんは根がラテンだから。歌が上手いことよりもそっちのほうが大事。僕らは何年もやってきているからすべての決断が早いし、急転回してもすぐ対応できるけど、彼女じゃなかったら戸惑いがあったと思う。“砂の女”(鈴木茂のカヴァー)も最初と全然違うベースを弾いていたところ、〈カッコイイじゃん!〉って採用されたり。そうやって変化したものを、綾ちゃんは後追いで知るんだけど」(南條レオ、ベース)。

 「誰かが思いついたものに即反応して、決断できる環境が新しかった。リーダーがいないという不思議なバンドだから、それぞれが〈いいね!〉って反応していける。そこがおもしろかった」(なかの)。

 魅惑のバンド・マジックを存分に堪能した彼女は、メンバーに混じってサックスまで吹くという大胆な行動にも出てしまっているのだが、それはさておきCENTRAL的環境に思いっきりダイヴしたことで、いままでにないタイプの哀愁を醸し出すことや、ザラッとしたストリート感覚を身に纏うことに成功している点は見逃せない。

 「何も考えていないようだけど、綾ちゃんの最高傑作を作ろう、とは考えてましたよ。綾ちゃんがいてくれたからこそ、僕らも冒険ができたし」(及川)。

 「名義は〈& CENTRAL〉とか〈with CENTRAL〉という案もあったんだけど、この関係性はやっぱり〈と〉が相応しい。だってそういうテンションで作ったから」(西岡)。

 「〈なかの綾はCENTRAL〉でもいいかもしれない(笑)。で、次にアルバム作るなら、名義は〈結局なかの綾はCENTRAL〉で(笑)」(及川)。

 昭和歌謡とガレージ・ラテン・サウンドの融合という点では、以前にCENTRALがライヴでバックを務めたラテン・ソウルのレジェンド、ジョー・バターン的なスタイルを散りばめた横山剣の提供曲“トロピカルダンディ”がハイライトだが、でも本作の真のユニークさは、〈昭和〉などとあえて時代を特定する必要のないタイムレスな世界観を生み出していることだ。そこは声高に訴えておこう。

 「サルサだけでなく、ブーガルーやサンバとかいろんなアプローチを実践して、ラテン諸国を巡るような作りになっているかも」(南條)。

 「ギターもドラムスもいないサルサの編成で日本語のラテン歌謡をやっているけどフィット感がすごいし、冷静に考えたらすごいものができたんじゃない? そうだ、〈令和歌謡〉って名付けようか。これぞ令和歌謡の金字塔(笑)!」(西岡)。

 「金字塔が生まれるの、めっちゃ早かったね(笑)」(なかの)。

 

左から、“KISS”を収録したなかの綾の2016年作『エメラルド・イン・パラダイス』、同2018年作『ダブルゲーム』(共にHIGH CONTRAST/ヴィヴィド)、CENTRALの2008年作『Kind of LOVE』(Kind of LOVE)、クレイジーケンバンドの2018年作『GOING TO A GO-GO』、楽曲提供した杉真理の2019年作『MUSIC LIFE』(共にユニバーサル)、“砂の女”のオリジナルを収めた鈴木茂の75年作『BAND WAGON』(PANAM/クラウン)

 


【なかの綾とCENTRAL『リバース』リリース・パーティー】

8/1(木)神奈川・モーション・ブルー・ヨコハマ
9/2(月)東京・duo MUSIC EXCHANGE
詳細は〈www.nakanoaya.com〉にて!

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