INTERVIEW

川口レイジ『Departure』 世界水準をめざしてヒットメイカーたちと作り上げた、旅立ちのデビュー作を語る

川口レイジ『Departure』 世界水準をめざしてヒットメイカーたちと作り上げた、旅立ちのデビュー作を語る

 2017年の世界的ヒット・チューン“Despacito”(ルイス・フォンシ&ダディ・ヤンキー)などを共作してきたマーティ・ジェイムズとのコライトによる“R.O.C.K.M.E.”と“Like I do”で注目を集めているシンガー・ソングライター、川口レイジがデビューEP『Departure』をリリースした。マーティをはじめとする国内外のトップライナーとセッションを繰り返しながら制作された楽曲集は、海外の音楽シーンの潮流を色濃く感じさせながら、主役である川口レイジ自身の経験、感情に裏打ちされた歌の魅力を強くアピールする作品となっている。

川口レイジ Departure ARIOLA JAPAN(2019)

 「一人で曲を作ることもあるし、制作の方法はいろいろなんですが、今回は結果的にコライトがコンセプトになりましたね。一人だけで曲を書いて、それを長く続けられている方もすごいと思いますが、僕はまず〈いい曲を作る〉ということがいちばん。そのために必要だったのが海外のトップライナーとのコライトだったんですよね。最初はトライでしたが、理にかなった手法だし、自分自身のパワーアップにも繋がったと思っています」。

 幼少期から剣道や野球に打ち込んできたという川口が音楽に目覚めたのは、高校生のとき。16歳で父親を亡くし、遺品の中からネックの反ったクラシック・ギターを見つけたのがきっかけだったという。

 「ちょうどその時期に音楽の授業でクラシック・ギターを習う機会があって、その後スピッツの“チェリー”やレミオロメンの“粉雪”を弾き語りするようになったんです。その頃いちばん好きになったのは、玉置浩二さん。当時好きだった女の子が椿屋四重奏のファンで、(そのヴォーカルの)中田裕二さんが玉置さんの“しあわせのランプ”を歌っているのを聴いて、すごくいい曲だなと思って。ケガで野球をやめて、父親を亡くして、家族もバラバラになりかけていた頃だったんですけど、玉置さんの曲で〈こういう気持ちで進んでいけばいいのかも〉という気持ちになれた。そのときですね、〈自分もこういう仕事をやれたらいいな〉とおぼろげに思ったのは」。

 その後、路上ライヴやツイキャスでのライヴ配信を中心に音楽活動をスタート。やがて豊かな表現力を備えたパフォーマンスが現レーベルのスタッフの目に止まり、東京で本格的な制作を始めた。ブルーノ・マーズやチャーリー・プースらの楽曲に触れながら自身の音楽性を模索していた彼に大きな刺激を与えたのは、LAでのライティング・セッションでの経験だった。

 「リファレンスを聴きながら、〈こういう感じはどう?〉とプロデューサーがトラックを打ち込んで、各々が身体を揺らしながら歌いはじめるんです。ラフな雰囲気で〈いまのいいね〉って話しながら曲がどんどん出来上がっていくんですけど、その間も全然迷わないし、感じるままにやっているんですよね。制作の過程を見られたことも含めて、アーティストとしての階段を一気に上がった感覚がありました」。

 今回のEPでリード・トラックとなるラテン・アーバン調の“Summers Still Buring”は、まさにLAで得たスキルとセンスが端的に示された楽曲と言えるだろう。

 「この曲のテーマは夏なんですけど、もともと僕はテンションが高い人間ではないので、一人でやっていたら〈夏に合う曲を作ろう〉という発想がそもそも出てこなかったですね(笑)。マーティとのセッションは経験済みだったので、これまでに比べて自分のアイデアが採用されることも増えて。初めて対等にセッションできたかなと思います」。

 一方ではCarlos K.、starRoら海外でも活躍する日本人クリエイターとの共作による楽曲も収録。「自分の経験や友達から聞いた話をもとにして、〈こうすれば良い結果になったかも〉とか〈もっと悲しい物語にしてみよう〉と想像しながら書いています」という歌詞も彼の大きな魅力だ。

 「いまの自分の立ち位置みたいなものを、まずはこのEPで示せたと思います。〈Depature〉というタイトルには、初めてLAに向かうときに感じていた気持ちに、〈ここから自分が旅立つ〉〈曲が自分から巣立ってリスナーのところまで届いてほしい〉という意味も重ねていて。大きい会場でライヴしたいという昔からの気持ちは変わっていないですし、やり方にこだわらず、とにかくいい曲を届けていきたいですね」。

 


川口レイジ
94年生まれ、香川出身のシンガー・ソングライター。学生時代はスポーツに没頭し、怪我で挫折するまで野球に打ち込む。16歳の頃に父親の遺品からクラシック・ギターを見つけたことをきっかけに、歌や演奏を始めるようになる。路上ライヴや動画配信を通じてパフォーマンスを披露し、徐々に名前を広げていくなかで現在のスタッフに見い出されて上京。LAでのセッションを経て、2018年にマーティ・ジェイムズと共作/共演した“R.O.C.K.M.E.”でデビュー。デイヴ・オーデのリミックスした同曲のMVも話題を集め、今年に入って“Like I do”を配信。話題を集めるなか、このたび初のフィジカル作品となるファーストEP『Departure』(ARIOLA JAPAN)をリリースしたばかり。

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