THE BRAND NEW HEAVIES
2人だけど2人じゃない豪華なニュー・アルバムが登場!

 85年にロンドンで結成され、レア・グルーヴ曲を演奏するスタイルが〈アシッド・ジャズ〉のムーヴメントにおいて人気になり、長きに渡って衰えない人気を誇ってきたファンク・バンドのブランニュー・ヘヴィーズ。演奏陣がアンドリュー・レヴィ(ベース)、サイモン・バーソロミュー(ギター)、ヤン・キンケイド(ドラムス)に固定された90年代以降は、USのエンディア・ダヴェンポートをヴォーカルに迎えたブレイク期を経て、作品や楽曲ごとにシンガーを迎えるスタイルに移行。サイーダ・ギャレットやカーリーン・アンダーソン、サイ・スミス、ニコール・ルッソといった実績のある名前がリード・シンガーを歴任し、近年はエンディアと新人のドーン・ジョセフがマイクを分け合った『Forward』(2013年)、そのドーンがほぼ全曲をメインで歌った『Sweet Freaks』(2014年)とコンスタントに作品を重ねてきた。

THE BRAND NEW HEAVIES TBNH Acid Jazz/BIG NOTHING(2019)

 2016年からはアンドリューとサイモンの2人を中心にツアーを続けてきたが(ヤンはドーンと共にMFロボッツを結成して離脱)、ここにきて古巣のアシッド・ジャズに復帰し、実に5年ぶりの新作『TBNH』がリリース。マーク・ロンソンのプロデュースした“These Walls”(ケンドリック・ラマーのカヴァー)というトピックもありつつ、ポイントはやはりヴォーカル陣の多彩な顔ぶれだろう。その“These Walls”など数曲で久々にエンディアが歌ったほか、近年のツアー・メンバーとなるアンジェラ・リッチはもちろん、先述のサイーダとの再会もあり、さらにはビヴァリー・ナイト、アンジー・ストーン、ジャック・ナイトといった大物たち、そしてアシッド・ジャズの新人となるラヴィルも各々の楽曲を盛り上げるという……言うなればヘヴィー・ソウル・エクスペリエンス状態。簡単に言えば必聴だ。

LAVILLE The Wanderer Acid Jazz(2019)

 なお、そのラヴィルも自身の初アルバム『The Wanderer』をリリースしたばかり。こちらは〈風のシルエット〉のド直球なカヴァーもよく似合う、トラディショナルで温かみのあるソウル盤となっている。

ブランニュー・ヘヴィーズの近作を紹介。