Mikiki編集部のスタッフが〈トキめいた邦楽ソング〉をレコメンドする週刊連載、〈Mikikiの歌謡日!〉。更新は毎週火曜(歌謡)日、新着楽曲を軸にマイブームな音楽を紹介していきます。紹介した楽曲は下記SpotifyとYouTubeのプレイリストにまとめているので、併せてどうぞ◎ *Mikiki編集部
【田中亮太】
堂島孝平 “亡霊”
新作『BLUE FANTASIA』からのリード楽曲第三弾は、ONIGAWARA斉藤伸也の手になるアレンジ。異なる世代のポップ名手が腕を組んだわけで、それは悪いわけがない。鮮やかなシンセサイザーと派手にエディットされたビートが耳を奪う、いわば堂島流フューチャー・ベース。
BEYONDS『The World Changed into Sunday Afternoon』DVDダイジェスト
90年代の音楽映像が好きで、〈TV PERFORMANCE〉〈FES〉〈LIVE〉などフォルダ分けしたYoutubeのプレイリストをこっそり作っているんですが、これも即刻加えました。伝説的なパンク・バンド、BEYONDSが94年に行った解散ライヴのダイジェスト映像。カメラ固定の単調な映像ながら、会場の熱量と刺々しい爆音は伝わってくる。ロング・ヴァージョンを収録したDVDは、明日11月6日(水)リリースのリイシュー盤LP『The World Changed into Sunday Afternoon』に付けられているようです。
【高見香那】
WHY@DOLL “album”
今月末での活動終了を発表しているふたり組(公開中のラスト・インタヴューはこちら)。北海道から上京して以降6年近く一緒に住んでいたり、カメラが回っていないときにもふと見るとそっと寄り添い手をきゅっとつないでいたりと(私は見た)、本気で仲が良さそうなふたり。その愛らしいキャラクターも大きな魅力ですが、年々スキルアップしていくパフォーマンスと楽曲のクオリティーにもご存じのとおり定評がありました。本日リリースされたラスト・アルバム『@LBUM ~Selection 2014-2019~』はリミックスを含むベスト盤仕様なので、これまでの楽曲をまとめて堪能するのにも最適です。
取り上げた“album”はふたりがみずから作詞を手掛けた(はるかさんは吉田哲人氏と共同で編曲も担当)同作収録の唯一の新曲。ピアノの伴奏に乗せたふたりの豊かな声のハーモニーは卒業式を思わせるような切なさもありつつ、泣き顔でなくふたりの笑顔が見えるような晴れやかなラスト・ナンバーです(アルバムの終曲ではないですよ)。ふたりのネクスト・ステージも楽しみにしています。
【小峯崇嗣】
Lil Soft Tennis “Lucky”
今回はTOWER DOORSのスタッフの中でも話題となり、〈TOWER DOORS POWER PUSH!!!〉に選出された大阪を拠点に活動するKazuki Sasakuraのソロ・プロジェクト、Lil Soft Tennisを紹介。
ガレージ・パンク調のバンド・サウンドが特徴的な一曲ですが、英語と日本語を織り交ぜた独特の言い回しがクセになります。彼はこのようなガレージ・サウンドだけでなく、エレクトロニックやトラップなどのジャンルを自由自在に操り、ハイブリッドな音楽を作り出してしまう才能が素晴らしいです……これから確実に飛躍していく新人です。
【酒井優考】
ラブワンダーランド + テンテンコ “アロエ・ベラ”
マジおすすめのラヴァーズロック・バンド、ラブワンダーランドのライヴに先日お邪魔したら、一曲目の“アロエ・ベラ”という曲に耳を奪われ(いや全曲に耳を奪われたんですけど)、聞けばテンテンコさんのカヴァー(ラブワンの足立大輔さんがやってるEmerald Fourが詞曲提供)とのことで、ラブワン版も早く音源化されないかな~と思っていたら、なんとその二者がコラボしたライヴ映像が先日アップされました。このドロッと溶けて落ちていくようなサビの美しさよ。おもちプロダクション様ありがとうございます。そんなラブワンダーランドも出演、おもちプロダクションが主催するライヴが次は2020年1月12日(月・祝)にあるそうなので、気になった方はSNS等を要チェックです。
椎名林檎と宇多田ヒカル “浪漫と算盤”
椎名林檎は、これまであらゆるところに2020年への布石を打ちまくっていると勝手に想像していたんですが、この曲を聴くとその先すら考えているのかななんて思って、恐ろしくなります(この曲が着想を得たと思われる「論語と算盤」を記した渋沢栄一が新一万円札の肖像になるのが2024年)(テーマはヒカル氏発だったみたいだし、深読みのしすぎかもしれないけれど、この方のことですからね)。あらゆる事柄に当てはまる〈やりたいこととやれること〉の対比を描いた歌詞、超低音が響く無機質でモダンな音から華やかなオーケストラへの移り変わり、白黒の映像美、そして二人の全てがかっこいい。
【天野龍太郎】
嵐 “Turning Up”
嵐のシングル全曲がストリーミング・サーヴィスで聴けるようになりました。〈ありがとうございます!〉という気持ちでいっぱいです。そして、新曲もリリース。もはや嵐になりたい(なれない)。グルーヴィーなダンス・ポップ~R&B路線の新曲“Turning Up”は、“a Day in Our Life”“ナイスな心意気”(2002年)や“ハダシの未来”(2003年)、“きっと大丈夫”(2006年)といった初期のファンキーなシングルと一緒に聴きたくないですか?
ゆnovation “wannasing”
大阪のトラックメイカー/鍵盤ハーモニカ奏者、ゆnovationの新作『朗らかに』から。生活のにおいがする軽やかなポップス。アルバムに寄せられたお母さんのコメントが最高で、なんだか泣ける……。
パブリック娘。“あいつはクールガイ feat. tomodati”
パブリック娘。とtomodati(Have a Nice Day!の中村むつお+hana sadakata+藤井健司)が“今夜悪いことしよう”“あいつはクールガイ feat. tomodati”という2つのシングルをリリース。〈クールは歴史を作る!〉(文園太郎)。まるで1985年、みたいなプリミティヴなビートがかっこいい。
元ちとせ “豊年節 (Dorian Concept Remix)”
坂本慎太郎、ラス・G(RIP)、Chihei Hatakeyama、ティム・ヘッカーと、超エッジーな音楽家たちが参加している元ちとせのリミックス・シリーズ〈元唄 幽玄 〜元ちとせ奄美シマ唄REMIX〜〉。新作はなんと、ドリアン・コンセプト。奄美の唄をぶったぎり、その合間を堂々と暴れる電子音とぶっといビートがなんとも挑発的。ドリコンさん、さすがです。
nagase “Sample 10”
SNJOくんがTwitterで紹介していて知ったnagaseのファースト・シングル“Sample 10”。切り刻まれた歌声から情感が立ち上がるダンス・トラック。
Xinlisupreme “J-Pop”
Xinlisupreme、ひさびさの新曲。アウトサイダーが歌ういびつなJ-Popであり、J-Popに対する鋭い批評。デジタルなノイズまみれ。だけど、切ったら血が噴き出しそうな生々しさ。