ソロと100sを合わせて通算10作目のアルバムは、すべての楽器をみずから演奏した『十』。デビュー時に比べて太くなった歌声を聴かせる“叶しみの道”、〈もういいかい?〉と呼びかける2020年版の“犬と猫”とも言うべき“それでいいのだ”などは彼の20年以上に及ぶ歴史が感じられてグッと来る。ボブ・ディランへのオマージュがあったりと、ブルースやフォークで現代の悲しみと向き合い、〈自由〉を希求する作品でもあると言えよう。