〈TOWER PLUSアーカイブ〉は、これまでMikikiに転載されていなかった過去のTOWER PLUS+(tower+)の記事を転載するシリーズです。情報は掲載当時のものです。オリジナル記事:tower+ 2015年12月号

 

全世界アルバム総セールス7,000万枚以上! 2000年代以降、もっとも成功したロック・バンドと言えるコールドプレイ。前作から一年半という、これまでで最も短いタームで完成させた新作『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』が到着! 快活でアッパー&ハッピーな新たなコールドプレイ・サウンドがここに!!

前作『ゴースト・ストーリーズ』と対を成す、色彩豊かな新作

2000年に発表したデビュー・アルバム『パラシューツ』の世界的ヒットから15年……今や21世紀を代表するバンドのひとつとなったコールドプレイ。2002年のセカンド・アルバム『静寂の世界』、2005年のサード・アルバム『X&Y』までの三部作で盤石な基盤を築き、ブライアン・イーノをプロデューサーに迎えた4作目『美しき生命』で大きな飛躍を遂げた彼らは、セールス、評価ともに現代最高峰の位置に昇り詰める。

2014年5月には通算5枚目となるアルバム『ゴースト・ストーリーズ』を発表。このアルバムのリリース後、バンドはライブ・ツアーは行わず、新作のレコーディングの為にすぐスタジオ入りをした。2015年5月、新たにオープンしたオンライン・サイト〈The Coldplay Timeline〉で、レコーディング中のニュー・アルバムのタイトルが『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』になることを発表。それから約半年、前作からわずか一年半というこれまでで最も短いタームで、通算7枚目となるスタジオ・アルバムがリリースされた。

COLDPLAY 『A Head Full Of Dreams』 Parlophone/ワーナー(2015)

 アルバムは全11曲(※日本盤は更にボーナス・トラック1曲収録)で、先行トラックとして公開されたファースト・シングル“アドベンチャー・オブ・ア・ライフタイム”や、クリス・マーティンがキュレーションをしている〈Global Citizen Festival 2015〉で披露された“アメイジング・デイ”といった楽曲が収録されている。

クリス曰く、今作『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』は前作『ゴースト・ストーリーズ』に続く作品となっているとのこと。また今作はコールドプレイにとって未だ曾てないほど楽しんで制作されたアルバムであり、こうして完成した作品に、今までで最も満足しているという。

繊細で叶わぬ恋をテーマとして扱い、静謐でミニマムなサウンドが際立っていた内省的な前作を〈陰〉とすれば、今作は〈陽〉の部分が前面に出た作品となっており、言うなれば前作とは裏表、対を成すアルバムとなっている。煌めくようなサウンドとダンサンブルなリズムが心地良いファースト・シングル“アドベンチャー・オブ・ア・ライフタイム”をはじめ、幸福感や喜びに溢れ、カラフルでアッパー、ポジティヴな作品に仕上がっている。

今作では、ビヨンセやリアーナ、ニーヨらを手掛け、R&B、エレクトロ・ポップワークの側面が強いノルウェーのサウンド・チーム、スターゲイトを初めてプロデューサーに迎え、作品に新たな息吹を吹き込む一方、バンドの長年のコラボレーターであるリック・シンプソンやデヴィッド・ロッシも参加し、ファンの求めるコールドプレイ・サウンドを作り上げている。

前作ではアヴィーチーとのコラボによって生まれた“ア・スカイ・フル・オヴ・スターズ”が話題となったが、今作にはこれまでのコールドプレイのどの作品よりも多くのゲストが参加している。“ヒム・フォー・ザ・ウィークエンド”に参加したビヨンセをはじめ、トーヴ・ロー、ノエル・ギャラガー、コールマン・バークス、メリー・クレイトンなど、ジャンルの垣根を越えた錚々たるメンバーによってヴァラエティー豊かな楽曲が揃い、アルバムをカラフルに彩っている。さらにはクリスの元妻であるグウィネス・パルトローと彼らの子供たち、そしてビヨンセとジェイ・Zの娘ブルー・アイビー、さらには現ガールフレンドで女優のアナベル・ウォーリスまでがゲストに名を連ねている。 

前作ではツアーを行わなかった彼らだが、今回このアルバムを引っ提げて、世界を周りたいと考えているようだ。2016年の6月23日から27日まで英国で開催されるグラストンベリー・フェスティバルについて、英紙The Sunが日曜日のピラミッド・ステージを締めくくるのは、すでにコールドプレイと報じられているなど、本格的に世界ツア―をする可能性が高まってきている。日本でもこれまでに〈フジロック〉や〈サマーソニック〉といったフェスに何度も出演している彼ら。2011年のフジでは、ちょうど“ウォーターフォール~一粒の涙は滝のごとく”の演奏中に降った大粒の雨がライティングに照らされて輝き、オーディエンスに鮮烈な記憶を残したが、今度日本に来る時には、果たしてどんな奇跡を見せてくれるのか。本作に収録されている楽曲が、ライヴではどんな色彩を放つのか。その日を楽しみに待ちたい。