ウーゴ・ファトルーソのプロデュースによるウルグアイの宝物のような歌曲集

 2005年の衝撃のデビュー作『アトランティカ』以来、時空を超えて地球上の様々な歌を歌い続けてきた松田美緒。のちにTVのドキュメンタリー番組にもなった『クレオール・ニッポン うたの記憶を旅する』を始め、近年の『おおいたのうた』『月の夜のコロニア~ブラジル移民のうた』などその活動は止まるところを知らない。

 その松田が今回タッグを組んだのは、2019年度ラテングラミーの〈生涯功労賞〉を受賞したウルグアイの巨匠ウーゴ・ファトルーソ。二人は2007年ごろから音楽制作を共にし、ウーゴは「美緒はこれまで共演した中で間違いなく世界一の歌手」と松田の歌声を絶賛する。

松田美緒 『La Selva』 SEIRAN(2021)

 この作品が出来るきっかけとなったのは昨年の配信ライヴのためにウーゴが松田に新曲を送ってきた事だった。「いつかウーゴの歌ばかり歌うCDを作りたいなぁ」という松田にウーゴは次々と素晴らしいレパートリーを送り「こうなったらもう彼の宇宙船に乗ったつもりですべておまかせ! 気がつけばウーゴらしい音の密林(ラ・セルヴァ)に遊んでいた」と松田は語る。

 新作の先行シングル“Hurry!”のプロモーションビデオは、そんなウーゴの音楽への返答として徳島の密林で撮影された。彼のオリジナル曲に加え、ウルグアイ、アルゼンチンのタンゴなど魅力あふれる曲で構成された新作『ラ・セルヴァ』はこみあげる躍動感、そして多幸感溢れる作品に仕上がった。

 「あと戻りではなく、新たな次元を生きるために、湧き上がるものを養分にしながら人間が音楽をすることが、この時代を乗り越える希望となるよう願いを込めて」と松田は制作意欲を熱く語る。

 なお本CDは日本の誇る技術が詰まった、メモリーテック社のUltimate High Quality CD(UHQCD)でプレス。ハイレゾのような鮮やかな中高域、立体感のある音像で、配信では得られない音質を実現している。