マレビト来たり、歌窈曲にて聖夜を導く。

 師走=第九(歓喜の歌)という風物詩もそろそろ卒業したい。そんな心の衣替えを望む方々に耳打ちしたいのが、国内有数のクラシック音楽専用ホール(横浜みなとみらいホール&兵庫県立芸術文化センター)で開催される、〈一青窈 Symphonic Concert 2023 -Christmas Special-〉公演だ。昨年、デビュー20周年を迎えた一青窈が増々果敢な21年目のとどめに、平和を祈念するオーケストラ・バルカン室内管弦楽団(指揮:栁澤寿男)を欧州から招いて豪華な共演に挑む。さらに西宮公演では、国内外の歌劇場で活躍中の柴田真郁指揮のもと、欧州・アジア他から集結した演奏家たちによる兵庫芸術文化センター管弦楽団との華麗な共演を繰り広げる。

 「オケ共演というのはリハの回数も時間もバンド形式と比べると圧倒的に少ないので、ほぼ、ぶっつけ本番のイメージです。〈えいや!〉とバンドのパワーで空気を変えるというよりかは緻密に聴き手の感情に訴えかけるように歌わなくてはいけないので、普段働かせてない繊細な神経も使います」

兵庫芸術文化センター管弦楽団

 オケ共演の場数も踏んできた彼女、その試みの愉しさを、「たくさんの人と共に音を出すので呼吸を合わせるのが大変ですが、そのぶん多彩な音の景色を描く事ができるのはとても楽しみです。私自身は弦楽器の一部になった気持ちで歌っています」と語り、各施設の特性も踏まえつつ歌い手自身、「普段よりも響きの大きい会場ですのでヘッドボイスのようなクラシカルな唱法も意識して取り入れながらやってみたいと思います。海外の方も演奏家が多く参加なさってるので、あえて日本の歌謡曲や演歌にも挑戦してみたいと思っています」という。

 リハ用のセットリストを一瞥して仰天した。数々の代表作や最新作と肩を並べる前・後半の2大メドレー……その選曲がとにかく打っ飛んでいる。が、これぞ最大のサプライズ、その夜限りの歌の贈り物だ。本人も「ヒミツにしたいです」と微笑む。初めてとなる少年少女合唱団(横浜少年少女合唱団、宝塚少年少女合唱団)との共演もある。自身の少女時代を回顧し、「“もろびとこぞりて”を子供の頃に暗唱して歌っていたとき、“主は来ませり”はShoop-wap-kimaseriという造語だと思い、スキャットのように歌っていました」という秘話も明かした。

 歌い続けるモチベーションは「世界平和を願うこと」と明晰な一青窈。紛争地域の各国演奏陣が集い、彼らの平和祈念の音色と自らの歌声を編み込む横浜共演については、「音楽の力で分断されていた人々を繋げる活動を続ける栁澤さんのドキュメンタリービデオを拝見して、非常に感銘を受けました。そして実際に音楽が人の魂を揺さぶり、武器を捨てて楽器をもつことを心に決めた仲間がオケにいるように、たくさんの人の荒ぶる心をこのコンサートで沈めて欲しいと思います」と述べた。

 気候変動で季語が危ぶまれ、9.11や3.11という哀しい数字ばかりが暦替わりとなるような世の中だ。「音楽とは宗教も国境も越えるものと信じていましたが…実際に、隣り合った国でも一緒に演奏することがなかなか叶わないという現実をお聞きして、改めてこのバルカン室内管弦楽団の貴重さを知りました」、談話の締めは「“ハナミズキ”はまた、一味も二味も濃くなると思いますのでお楽しみに!!」とのこと。さて、誰を誘おうか。

 


LIVE INFORMATION
一青窈
Symphonic Concert 2023 -Christmas Special-

■横浜公演
 2023年11月30日(木)横浜みなとみらいホール 大ホール
開演/18:30

■西宮公演
2023年12月23日(土)兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
開演/15:30

出演:一青窈
指揮:栁澤寿男(横浜)/柴田真郁(西宮)
管弦楽:バルカン室内管弦楽団(横浜)/兵庫芸術文化センター管弦楽団(西宮)

■チケット(税込・全席指定)
プラチナ席:8,800円 ★完売
プラチナペアチケット(2枚):16,000円 ★完売
SS席:7,800円
Sペアチケット(2枚):14,000円

https://classics-festival.com/rc/performance/hitotoyo-2023-christmas-special/