DISC GUIDE

不可思議/wonderboyやCOASARU、JinmenusagiらLOW HIGH WHO?の最高にユニークな作品たち(前編)

【LOW HIGH WHOの新たな旅立ち】 Pt.3

不可思議/wonderboy ラブリー・ラビリンス LOW HIGH WHO?(2011)

レーベルとしてのLOW HIGH WHO?が送り出した全国流通作の第1弾は、スポークン・ワーズ系のバトルで支持を広げてきたポエトリー・ラッパーの初作。温かく切ない“銀河鉄道の夜”を手掛けたYuji Otaniらレーベル仲間が童話的なループで伴奏し、なかでも観音クリエイションとの“Pellicule”は言葉も失うほどのハイライトだ。リリースの1月後に24歳で夭逝。 *出嶌

 

 

EeMu Nothings LOW HIGH WHO?(2011)

LHW?設立前、NEL HATEにもトラックを提供していた北海道出身のビートメイカー、EeMu(イィム)。HAIIRO DE ROSSI環ROYらラッパーとのコラボもある人だが、この初作はすべてインスト。ブレイクコアっぽい“Idiot Dance Music”を導入に、〈諸行無常〉を謳う“Impermanence of all things”などダンス・トラック寄りの曲がかっこいい。  *出嶌 

 

 

Jinmenusagi Self Ghost LOW HIGH WHO?(2012)

いわゆるネット・ラップ界隈を起点にフリー音源やMINTとのバニーボーイズCOASARU曲への参加などで注目を集めてきた東京出身のラッパーが、20歳で送り出した初の流通作品。Ghost Cheekとしてみずからトラックメイクも行いつつ、前年に発表していた代表曲“ぐちぐち”に代表される言語感覚の新しさをスキルフルに提示した快作だ。 *出嶌

COASARU 分裂 LOW HIGH WHO?(2012)

レーベル主宰のParanelがビートメイカーとしてのソロ作を発表する際に生み出した別名義。術ノ穴からの初作『別人格コアサル』(2011年)に続く本作には、あえてアブストラクト・ヒップホップと呼びたくなる長尺のインストからギターのフィードバック・ノイズにまみれたノンビート曲まであって、表題通りの分裂具合を味わえる。 *北野 

 

 

雨風食堂 花と弁 LOW HIGH WHO?(2012)

Ctrl Alt Delに『かさ』(2008年)を残し、CD-R作品の『MOTHEAR』(2009年)が高い評価を得た彼らは、ParanelがMadogarasuと結成したポエトリーなラップ&フォーク・デュオ。ノスタルジアへと誘うような歌唱は忌野清志郎佐藤伸治を連想させるもので、後のdaokoにも通じるポピュラリティーが感じられる。KuroyagiYAMANEも参加。 *出嶌 

 

 

不可思議/wonderboy さよなら、 LOW HIGH WHO?(2012)

Yuji Otani、観音クリエイション、EeMuといった縁ある面々が、自主制作時代からの楽曲も含めて再構築した忘れ形見の2作目。既発曲はほぼトラックが差し替えられ、相対性理論をモロ使いして話題を呼んだ“世界征服やめた”もdaokoの儚い歌声が胸に迫るヴァージョンに。谷川俊太郎の詩を本人の許諾を得てラップした“生きる”も収録。 *北野 

 

 

SUNNOVA Flip Stoner LOW HIGH WHO?(2012)

〈D.I.Y.〉コンピで脚光を浴びたビートメイカーが、SATELLITEへのトラック提供や術ノ穴コンピ参加を経て届けた初作。MCの参加もあるが、基本は後の〈Low End Theory Japan〉出演も頷けるダブトロニックなビート・アルバム。ここに参加したUSOWASIMI LAB)との連名作もLWH?から登場予定だったが……そちらも楽しみに待ちたい。 *出嶌

 

 

daoko HYPER GIRL-向こう側の女の子- LOW HIGH WHO?(2012)

先にコンピ盤『D.I.Y. -CAMP AND SUMMER-』でお披露目されていた女子ラッパーによる初作。当時15歳ということで声音にはまだ青い部分も残るが、その不安定さが逆に魅力となっているし、愛と憎悪を併せ抱く妖艶な〈女〉を演じた“L&H”でのラップの切れ味は見事。〈向こう側〉の自分と対話するコンセプトもおもしろい。 *北野

 

 

Jinmenusagi ME2! LOW HIGH WHO?(2013)

COASARUやEeMu、SUNNOVAらにビートメイクを任せ、自身はラップに専念したこともあってか、変幻自在に跳ねまわるフロウの柔軟化がさらに進んだ2作目。〈パンチラ見て元気出して〉というパンチラインも強烈な“Nothin But A Fuckin Fuck”をはじめ、牙を剥く際にもファニーな表情を忘れないのがウサギの流儀なのかも。 *北野

 

 

Buddha Slave Quarter Men LOW HIGH WHO?(2013)

EeMuがMCのfake?8th wonder)と結成したユニットでの初作。不敵な語り口から放たれる言葉の抽象性と、タブラやシタールも用いた簡素なループの絶妙な隙間が奇妙な音響空間を作り出し、聴き心地は極めてアブストラクトだ。Madogarasu雨風食堂)による不思議なビート小品もスピリチュアルな風情を掻き立ててくる。*出嶌

 

 

COASARU 変身 LOW HIGH WHO?(2013)

前作から一転、フィジカルに働きかけるダンサブルな意匠を中心とし、逆の意味で実験的とも取れる意欲作。灯汰を迎えた80sエレクトロ風の“3D WARP”やジュリアナ系のシンセを多用した“JULIA”、Momoseがいわゆる小室サウンドに乗る“BREAKERS”などが妙にユニークだ。“ABC, HATE ME”にはそのMomoseと共にGOMESSが初登場! *出嶌

 

 

waniwave ワニウエイブのCDは呪われた! LOW HIGH WHO?(2013)

日常と非日常を一つに織り込み、シュールな視覚的イメージも呼び込む歌詞が独特なラッパーのファースト・アルバム。そうした歌詞も歌詞なら、ホームメイドでこじらせたような自作のトラックもまた独特。シャレにならん現実の絶望を裏返す“俺たちに明日はない!!!”の叫びも切実な、LOW HIGH WHO?の隠れた逸品(か?)。 *一ノ木

 

★LOW HIGH WHO? 特集記事一覧はこちら

タワーアカデミー
pagetop