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【ケンドリック・スコット・オラクル】
日時/会場
11月10日(火)~11月11日(水) BLUE NOTE TOKYO (公演詳細はこちら

 

グラスパーやビヨンセジェイソン・モランクリス・デイヴなどを輩出したヒューストンの名門校〈High School For The Performing And Visual Arts〉出身、テレンス・ブランチャードからカート・ローゼンウィンケルカート・エリングなどの大物と共演してきた新世代のトップ・ドラマーも再来日。しかも今回は、名門ブルー・ノートに移籍後第1弾となる新作『We Are The Drum』(※9月30日発売)を引っ提げての登場だ。

「ドラマーとしての特徴は、オールドスクールなスウィングから、現代的なグルーヴまでジャズのリズムの歴史を完璧に体得してみせるオールマイティーさ。ダイナミックかつ繊細で、新しい世代のドラマーでも最もバランスが取れており、既にヴェテランのような風格を漂わせています」

そんなケンドリック・スコットが率いる、自身のグループがオラクルだ。

「〈JTNC〉でも現在進行形ジャズの最重要アルバムのひとつとして挙げた『Daylight At Midnight』(2010年)を創り上げたピアニストのテイラー・アイグスティに、ギターのマイク・モレノ、サックスのウォルター・スミス3世、ベースのジョー・サンダースという、この世代のトップを揃えたオールスターの名にふさわしいバンドです。様々なジャンルを自在に取り入れ、若手屈指のインプロヴィゼーションを組み込んだサウンドの完成度は、現代ジャズの中でも特筆すべきものでしょう」

さらにケンドリックはカヴァー曲のセレクトも先鋭的であり、ジャズに根差しながら果敢に音楽性を広げている。

「2013年の前作『Conviction』でもスフィアン・スティーヴンスブロードキャストの曲を取り上げ、『We Are The Drum』ではフライング・ロータス“Never Catch Me”のカヴァーを収録している。〈ドラム・セットでオーケストラのような多彩な音を奏でたい〉と語るケンドリックが、この曲ではケンドリック・ラマ―のラップ部分をドラムに置き換えて、まるでメロディーを歌うような圧倒的プレイを披露しているんですよ。それに新作では、ミナスの巨人ミルトン・ナシメントを意識したサウンドを取り入れるなど、音楽性のレンジも一気に広がっている。作曲と即興、アンサンブルのバランスがさらに進化し、バンドとして成熟の域にまで到達。ケンドリックのドラムスもこれまで以上に活き活きとしていて、これを生で体感したらどれほどすごいのか。ちょっと想像できないかも(笑)」