CUBISMO GRAFICO FIVERiddim Saunterなど、10年以上に渡り良質なアーティストを輩出している名門レーベル、Niw!がいまこの瞬間フレッシュに活躍中のアーティスト15組を集結させたコンピレーションCD『NOW NIW NEXT』をリリース。このコンピと同時にNiw!からデビュー・ミニ・アルバムをドロップしたYOUR ROMANCECURTISS、ここ1年で着実に活動規模を大きくしているLUCKY TAPESDATSCAR10ら、さらにアナログ盤やSoundCloudでの音源が話題となっているPAELLASSUPER VHSSeussまで、いま注目すべき計15組が参加している。おまけにお値段はなんと1,000円! 2015年のインディー・ポップの潮流を掴めることができ、必ずや未知なるお気に入りバンドまで見つけらけれるであろう必携の一枚だ。ちなみに、2015年11月3日(火・祝)には、渋谷TSUTAYA O-nestと渋谷7th Floorの2会場で、本作のリリース・パーティーも控えている。(詳細はこちら

Mikikiでは、このコンピが提示している、現在の東京を中心としたインディー・バンドのモード、世代観をさらに深く掘り下げるべく、参加アーティストによる座談会を企画。LUCKY TAPESの高橋海、DATSの杉本亘、YOUR ROMANCEのShinji、PAELLASのMasaharu Kanabishiに集まってもらい、ダンサブルな音楽性やシンセサイザーの活用といったサウンドの共通項を透過したところにあるバンド各々の個性、期待せずにはいられない今後の方向性、さらには現在の活動の先にある大きな野心についてまで語ってもらった。

VARIOUS ARTISTS NOW NIW NEXT Niw!(2015)

 

いかにして格好良いビートを作れるか、ヒップホップ的な考えでやってる

――『NOW NIW NEXT』に参加してるバンドで、まったく面識のないバンドっていますか?

高橋海(LUCKY TAPES)「yahyelって知らないな」

杉本亘(DATS)「それ、俺がやってるんですよ」

yahyelの2015年の楽曲“Midnight Run”
『NOW NIW NEXT』にも収録!

 

Shinji(YOUR ROMANCE)「むしろ、いまここにいる人たち以外はそんなに知らないですね。Seussはこないだ初めて一緒になって仲良くなったけど」

高橋「僕も仮谷せいらさんくらい。彼女の楽曲アレンジを担当させてもらったことがあって」

――じゃあ、ここにいる4組の共通点を挙げるとすれば?

杉本「英詞じゃないかな」

一同「あぁー」

Masaharu Kanabishi(PAELLAS)「まあ、みんな海外の音楽が好きなんだと思う」

――サウンド面ではどうです?

Shinji「シンセを使ってるってところ?」

YOUR ROMANCEの2015年作『BUSINESS』収録曲“The Way”のパフォーマンス映像

 

Kanabishi「俺らはそうだね。なかったらバンドとして成立しないってくらいにシンセは大事」

杉本「もし違ってたら申し訳ないけど、〈踊らせたい〉ってところは?」

Shinji「それはある」

高橋「あるかも」

Shinji(YOUR ROMANCE)、杉本亘(DATS)

 

――それぞれ、いまはダンサブルな方向性にフォーカスしている理由はなんなのでしょう?

Kanabishi「俺らは完全に聴いてる音楽がそうだから。CD、というかいまはストリーミングでしか聴かないけど」

Shinji「PAELLASはSpotifyのアカウント持ってんだよね」

Kanabishi「うん。めちゃくちゃお金がないからレコードとか買えなくて。Spotifyで流れてくるいまの新しい音楽ってだいたいダンサブルなんだよね。ジャスティン・ビーバーとかも最近良いなって思ったんだけど」

Shinji「えー!」

Kanabishi「いまUSでめちゃめちゃ売れてる音楽って、もう基本4つ打ちなんだよね。メジャー・レイザーとかは厳密には4つ打ちじゃないけど。そういうのを聴いてたら自然とダンサブルになった」

PAELLASの2015年の楽曲“Hold On Tight”

 

杉本「ダンス・ビートって〈ドン!〉ってこられたら、〈わ!〉ってなるじゃん。つい踊っちゃうみたいな。俺らはそのフィジカル感が好きで使ってるかな」

高橋「LUCKY TAPESが最近作ってる新曲に関しては、ダンサブルな方向からちょっと抜け出してきてはいる。だから、そこに固執してるわけじゃないけど、ダンサブルなものは自分がやってて楽しいし、お客さんも入ってきやすいというのは感じていて。ほかの御三方とは違うかもだけど、4つ打ちというよりグルーヴで踊らせるというか、ブラック・ミュージックっぽさが強い傾向になってきてる。シンセ・ポップっていうよりは、いかにして格好良いビートを作れるかっていうヒップホップ的な考え方で作っているので。誤解を呼ぶかもしれないけど、4つ打ちは少しチャラいイメージがあって。自分たちは取っ付きやすさより気持ち良さを狙ってる」

LUCKY TAPESの2014年のEP『Peace and Magic』収録曲“Sunday Night”
『NOW NIW NEXT』にも収録!

 

――では、フロアの雰囲気やお客さんのレスポンス含めて、いままでで一番良かったライヴっは?

高橋「僕らは4月にやったシングル“Touch!”のリリパかな。お客さんたちから楽しい雰囲気、多幸感が直に伝わってきて。そのライヴを通してバンドのコンセプトや理想像がより明確になったのをいまでも覚えてる」

Shinji「1回のライヴでバンドが成長するってあるよね」

杉本「あるね。俺らはこの間出た〈UKFC on the Road 2015〉でその感じがあって。 お客さんがめちゃくちゃ多いなかで、パフォーマンス中に徐々に受け入れられてるって感覚が出てきた。最初は〈このバンド誰だろう〉って思ってた人たちが、じわじわ入り込んできてるってのがわかった」

――ひと口にダンサブルと言っても、EDM的にバッキバキなものからブリストル・サウンドみたいにダブを使ったものまでいろいろあると思います。そのなかでも、この4組は、比較的BPM遅めですし、気持ち良く身体を揺らせるような踊らせ方をめざしているんじゃないかって思ったんですけど。

Shinji「でも、DATSはこっち(腕を突き上げる)じゃない?」

杉本「俺らはそっちのほうが多いね」

DATSの2015年作『DIVE』収録曲“Candy Girl”
『NOW NIW NEXT』にも収録!

 

高橋「一番(BPM)速いのでいくつ?」

杉本「160かな」

高橋「へー! うちは120越えないよ」

Kanabishi「俺らは140はあるかな」

Shinji「俺ら180が一個だけある」

Kanabishi「速すぎ!」

Shinji「俺らは90から180まで広くあるよ。でも、DATSは拳突き上げ系で突き進んでよ」

一同「(笑)」

杉本「でも最近思ったのは、〈この界隈のバンドで拳を突き上げさせられるのって、俺らだけじゃない?〉って」

Shinji「いいね!」

杉本「みんなお洒落だしカッコイイから、同じイヴェント出たときは俺らのノリってちょっと恥ずかしいなと思ってたんだけど、最近はもう振り切っちゃおうかなって。拳突き上げ代表になろうかなって(笑)」

 

ハイスタみたいな存在になりたい

――頼もしいですね。では、それぞれ今後探っていきたいと考えている音楽的方向性を教えてください。

Shinji「世の中の人がいま俺らに持ってるイメージよりも、これから俺たちが作るものが自分にとってはリアルなわけじゃん」

高橋「そうだね」

Shinji「だから、この話はさ、みんなちゃんとしたほうがいいよ」

Masaharu Kanabishi(PAELLAS)、高橋海(LUCKY TAPES)

 

Kanabishi「(PAELLASの)メンバーそれぞれ違うと思うから、あくまで俺がって話だけど、これまでギター・ロックだったり、シンセを使うようになったりと揺らいできたなかで、よりドープなほうにいくんじゃないかっていまは思ってる。4つ打ちって形式をある程度定めながら、ヴォーカルのエロさや、ちょっと80年代の古臭い感じとか俺らならではの味を出していけたらなと。PAELLASはあんまりポップにはならないと思う」

Shinji「YOUR ROMANCEは、実際80sシンセとかダンサブルな要素とかには飽きてて、もうちょっとバンドで生々しさを出したいなと思ってる。これまでの路線って俺のルーツとはちょっと違うんですよね。もともとジャズ・ヴォーカルから入って、ソウルやヒップホップに行った人間だから。自分のルーツに沿った音楽を生々しくやりたいのがいまのモード。シンセ・ポップとかニュー・ロマンティックな要素はだんだんなくなるんじゃないかって気はする」

高橋「いままではメンバーの4人が主体となって曲を作ることが多かったんですけど、ライヴ・サポートに管楽器隊を入れていくなかで、彼らに曲作りやアレンジの段階から参加してもらって、バンドというよりは音楽集団みたいな見せ方をしていきたいと考えてる。例えばトクマルシューゴさんや蓮沼執太さんみたいに。バンドの形態でやってるからってそこに囚われる必要はないかなって。もっと音楽っていう大きい括りで表現していきたいです」

蓮沼執太フィルの2014年作『時が奏でる』収録曲“Hello Everything”のライヴ映像

 

杉本「〈これ〉っていうふうには決めないバンドなのであんまりイメージしてないんですけど、個人的には日本語詞をやってみたいですね。音楽的には、ヒップホップ的なもの、J・ディラみたいにスネアのヒットポイントをずらすようなビートをDATSでやってみてもおもしろいんじゃないかなって思ってますね」

J・ディラの2006年作『Donuts』収録曲“Last Donut of the Night”

 

――どの方向性もとても興味深いですね。楽しみに待ってます! では、最後の質問です。いまバンドの活動をしていくうえで、ロール・モデルとなっている存在はいますか?

一同「うーん」

高橋「やっぱりceroかな。音楽性はもちろんですけど、インディーズにいながらの支持のされ方とかは憧れがありますね」

ceroの2015年作『Obscure Ride』収録曲“Summer Soul”

 

杉本「活動休止しちゃいますけど、the telephonesですかね。好きな音楽を反映しながら、日本のシーンも意識しつつ、自分らも楽しくやっていけてるって点で。俺らもそういうやり方でもっとやっていきたいんです。その先に海外も視野に入れてますけど」

the telephonesの2015年作『Bye Bye Hello』収録曲“Something Good”

 

Shinji「もんじょ(杉本)の話を聞きながら、いろいろ考えてたんだけど、俺らはPAELLASみたいにコアなことをやってるわけじゃないし、DATSみたいに広いシーンに出ていくぞって感じでもない。だから、まだ自分だけの美学を持ってないような人、与えられてるものだけで満足してる人たちに〈それだけじゃないんだな〉って気付きを与えられるようなバンドになりたいなと。目標としてはそこですね」 

YOUR ROMANCEの2015年作『BUSINESS』収録曲“Kids”

 

Kanabishi「自分たちみたいなことをやって売れたバンドってまだないと思う。ほんとの意味で売れたバンドは。あ! でもハイスタ(Hi-STANDARD)かな。ハイスタは同時代のアメリカの音とシンクロしながら英語でやって、でも日本でがっつり売れてシーンを作って。やってることは全然違うけど、そういう存在になりたいです」

Hi-STANDARDの99年作『MAKING THE ROAD』収録曲“Brand New Sunset” 

 

〈"NOW NIW NEXT" Release Party〉
日時/会場:2015年11月3日(火・祝) 東京・渋谷TSUTAYA O-nest
開場/開演:16:00/16:30
料金:2,800円(1ドリンク別)
LIVE: CURTISS、DATS、LUCKY TAPES、PAELLAS、Seuss、SUPER VHS、YOUR ROMANCE

※チケットキャッシュオフ※
・『NOW NIW NEXT』を当日会場に持参→500円 OFF
・『NOW NIW NEXT』、YOUR ROMANCE『BUSINESS』、CURTISS 『Four Doves』の3タイトル購入→1,000円 OFF

■チケット発売中!
チケットぴあ:http://t.pia.jp//0570-02-9999(Pコード: 277−306
ローソンチケット:http://l-tike.com//0570-084-003(Lコード: 73788
イープラス:http://eplus.jp
問い合せ:TSUTAYA O-nest(03-3462-4420)

 

さらに、『NOW NIW NEXT』のリリース・パーティー番外編の開催が急遽決定! リリパと同日、渋谷の7th Floorにて行われる。出演者は、コンピに参加したPunPunCircleLUCKY TAPESKai Takahashi。さらに、ゲストとしてCapeson内村イタルnever young beach安部勇磨が出演決定。弾き語りや、2人編成でのステージなど、ゆっくりと音楽を楽しめるラインナップになっている。

"NOW NIW NEXT ~HOUSE vol.3~"
日時/会場:2015年11月3日(火・祝) 東京・渋谷7th Floor
開場/開演:16:30/17:00
料金:2,000円(1ドリンク別)
出演:Capeson、Kai Takahashi(LUCKY TAPES)、PunPunCircle、安部勇磨(never young beach)、内村イタル

■チケット発売中!
チケットぴあ:http://t.pia.jp//(Pコード:280-117
ローソンチケット http://l-tike.com//0570-084-003(Lコード:78199
イープラス http://eplus.jp
問い合せ:7th Floor(03-3462-4466)

すでに告知されているO-nest会場のチケットを持っている方は、7th Floorにはチケット半券を見せると1,000円(ドリンク代込)で入場ができる。なお、7th Floorのチケットを購入した場合は別にO-nestの会場のチケットも必要なのでご注意を。