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Hostess Club Weekender予習&復習はこれでOK! ブロック・パーティーなど出演8アクトの見どころ&キャリア徹底解説

2015年秋の〈HCW〉総力特集:第1回

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  • 2015.11.06

 

インディー・ロックの祭典として愛される〈Hostess Club Weekender(以下HCW)〉の第11回が、11月22日(日)、23日(月・祝)に東京・新木場スタジオコーストで開催される。2012年のスタート以来、デビュー前の新人から伝説のビッグネームまで、マニアも唸らせる独自のセレクトで紹介。アーティストのサイン会やグッズの販売、ステージ転換中も大型ヴィジョンで最新MVが流れていたりと、音楽への愛情に満ちたイヴェント作りでも支持を集めている。

ベル・アンド・セバスチャンセイント・ヴィンセントがヘッドライナーを務めた今年2月の第10回、トム・ヨークらが出演して〈サマーソニック〉の深夜を盛り上げた今年8月の〈HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER〉の成功も記憶に新しいところだが、今回の〈HCW〉も、ブロック・パーティーメルヴィンズという大物バンドを両軸に、ヴェテランから若手まで実力派が集結。さらに、従来の〈1日5組出演×2日〉から、〈4組×2日〉にプログラムを改めたりと、新しい試みにも挑んでいる。Mikikiではそんな〈HCW〉を総力特集! この第1回では、予習&復習編ということで出演8アクトを一挙紹介。読み応えある分量のテキストと共に、試聴コンテンツもふんだんに用意している。結構長いのでつまみ食いも大歓迎。初回にして〈HCW〉の見どころがほぼ掴めるはず!

★〈HCW〉イヴェント詳細はこちら
★11月23日(月・祝)出演アクトはこちらで紹介!

 



■11月22日(日)

【メルヴィンズ】

 

カートも愛したへヴィー・ロックの帝王、待望の再来日!

30年を超えるキャリアで数々の伝説を残してきたへヴィー・ロックの重鎮、人呼んで〈グランジのゴッドファーザー〉。メルヴィンズといえば、生前に深い親交を持ったニルヴァーナカート・コバーン、彼らの曲名からバンド名を拝借したBORISを筆頭に信望者は多数。スラッジ/ドゥーム/ストーナーなど、後進への影響力も多岐に渡る。2011年に一度は日本の地を踏みながら、東京公演当日に震災が起きて公演がキャンセルとなっていただけに、そこから4年が経過しての〈HCW〉出演はファンならずとも歓喜だろう。HOSTESS代表のプラグ氏がとにかく招聘したかったバンドの一つとしても知られる。

実はなんと、〈HCW〉特集の第2回&第3回はメルヴィンズを大フィーチャー。そこまでやるか?のヴォリュームで、この猛獣バンドを徹底解析します(来週中に掲載予定!)。というわけで今回は手短に、血液が沸騰しそうな最新ライヴ動画をどうぞ。サムネイルに映ってるバズ・オズボーンのルックスだけでもヤバすぎる! *小熊

メルヴィンズの2015年6月のパフォーマンス映像

 

【ドーター】

 

紅一点エレナの存在感!  4ADが誇る幽玄な3ピース

4AD発の大型新人〉として2013年に鳴り物入りで台頭したドーターは、ファースト・アルバム『If You Leave』を引っ提げて同年7月に〈フジロック〉、翌年2月に〈HCW〉で来日している。個人的に印象深いのは後者でのパフォーマンスで、紅一点エレナ・トンラの妖艶なヴォーカルはもちろん、バンド演奏の表現力とダイナミズムに圧倒されたものだ。起伏に富んだ幽玄なアンサンブルに、オーディエンスが集中して耳を傾ける光景も良かった。その時の記憶が鮮明に焼き付いているだけに、個人的にも今回の〈HCW〉再登場は嬉しい限りだ。

2010年にロンドンで結成されたドーターは、エレナとイゴール・ヒーフェリ(ギター)、レミ・アギレラ(ドラムス)から成る3ピース。当初はエレナのソロ・ユニットで、その頃の面影は自主でリリースしたEP『His Young Heart』(2011年)で確かめることができる。ジェフ・バックリーに影響されたというフォーキーでシンガー・ソングライター然とした佇まいが、このバンドの出発点だったと言えるだろう。

上述した4ADからのデビュー作『If You Leave』は、そこからトータルなバンド・アンサンブルを追求し、大きな飛躍を遂げた一枚だ。XXのアルバムを手掛けた才人、ロディ・マクドナルドジョリヨン・トーマスと共にプロデュースを務め、名作『Agætis Byrjun』などシガー・ロスの諸作にも携わってきたケン・トーマスがミックスを担当。そういったスタッフ各人の経歴からも窺えるように、エレクトリックとアコースティックが巧みに折衷された、クールかつドラマティックな音響を獲得。レーベル・カラーにも通じる耽美なメランコリーも強調されるなど、堂々たる仕上がりを見せている。『If You Leave』と、先にリリースされていたEP『The Wild Youth』(2011年)の両方に収録された“Youth”を聴き比べてみれば、その成長ぶりは一目瞭然だろう。イゴールとレミの確固たる存在感も、作品の充実ぶりに大きく貢献している。

ドーターの2013年作『If You Leave』収録曲“Youth”。『The Wild Youth』のヴァージョンはこちら

 

その後続出したダフト・パンク“Get Lucky”のカヴァーを2013年4月(つまり『Random Access Memories』リリース以前!)にいち早く公開。その再生回数は現時点で1200万回を超えている。さらに、『If You Leave』発表以前からライヴに定評のあった彼らは、シガー・ロスやナショナルのツアー・サポートを務めるなど、着実にステップアップしていく。2014年にもクラシックの管弦楽団と共演したり、音楽的に比較されがちだったウォーペイントの“Feeling Alright”をリミックスするなど、ユニークな動きを見せている。

そして今回の〈HCW〉では、2016年1月にリリースを控える待望のセカンド・アルバム『Not To Disappear』の曲が日本で初披露されることを期待したい。ここでプロデュースを務めるのは、ディアハンターの諸作やアニマル・コレクティヴ『Strawberry Jam』(2007年)、ダーティ・プロジェクターズ『Bitte Orca』(2009年)などの名作にもクレジットされているニコラス・ヴァーネス。先行公開された新曲“Doing The Right Thing”を聴く限り、〈2枚目のジンクス〉に陥ることなく、しっかりスケールアップしているようだ。

2016年1月にリリースされるドーターのニュー・アルバム『Not To Disappear』収録曲“Doing The Right Thing”

 

最後に、現在のドーターの力量を測るのにうってつけな参考動画として、今年10月に出演した〈Austin City Limits〉のステージを紹介しておこう。最近もライヴではサポート・メンバーを含めた4人編成で、ここでは前作収録の“Tomorrow”に続けて新曲もプレイ。さらに人気曲“Still”では、レミによるドラム・パッドを用いた緻密なリズム・アプローチや、イゴールの得意技であるヨンシーばりのボウイング奏法も披露されるなど迫力十分だ。前回の〈HCW〉よりも、ハッキリと大人のオーラを纏っているエレナの姿も感慨深い。より逞しくなって日本へ戻ってくる彼女たちのステージを楽しみに待とう。 *小熊

ドーター、2015年10月の〈Austin City Limits〉でのパフォーマンス映像(演奏は1:10過ぎ~)

 

【クリストファー・オウエンス】

〈元ガールズ〉は卒業!  女性と音楽に一途な稀代のナルシスト

〈普通の男の子に戻ります!〉……という言葉を残したかどうかは定かではないが、2枚の傑作を残し、クリストファー・オウエンスが自身のバンド、ガールズからの脱退を表明したのが3年前。その翌年には早くもソロとして始動し、パリのフェスティヴァルで出会った女性との出会いと別れを綴った私小説的アルバム『Lysandre』をリリース(ついでにバイセクシャルだったことをさらりとカミングアウト)すると、昨年のアルバム『A New Testament』では長年の夢だったというカントリーに挑戦し、ジャケット写真での素肌に革のヴェストという衝撃的なファッションも話題を呼んだ。もっとも、これらの作品の収録曲はほとんどがガールズ在籍中に書かれていたものであり、自分の書いた曲はすべて日付入りでストックしているという、クリストファーのマメな性分が発揮されたものだと言えるだろう。1年に1枚というアルバムのリリース・ペースも崩さない。メールの返信も早そうだ。

クリストファー・オウエンスの2014年作『A New Testament』収録曲“Nothing More Than Everything To Me”

 

しかしモテる男はマメなだけではなく、サプライズも忘れない。今年の5月27日、突如として自身のサイトを更新した彼が新作『Chrissybaby Forever』を全曲フリーで公開し(※編注・現在は有料)、ファンを驚かせたことは記憶に新しい。アルバム・リリースのアナウンスと、リード・トラックやビデオの公開、それに伴うメディアでのインタヴューといったプロモーション稼働――こうした一連のルーティン・ワークでマンネリが叫ばれていた音楽業界に一石を投じることになったわけだが、そんなクリストファーの行動が呼び水になったのか、その後ウィルコやビーチ・ハウスといった人気バンドが立て続けにサプライズで新作をリリースし、心の準備が出来ていないリスナーたちが嬉しい悲鳴を上げている状況だ。入念に下調べしたデート・コースのような前2作も悪くないが、カジュアルなプレゼントとでも言えそうなラフな本作にこそ、クリストファーの魅力が詰まっているのではないだろうか。

クリストファー・オウエンスの2015年作『Chrissybaby Forever』収録曲“To Take Care Of Myself Again”

 

モテ男といえば、ガールズのトレードマークだったのが、一連のシングルのアートワークやビデオにフィーチャーされた美しい女性たち。60年代のオールディーズ風の楽曲が並んだ今回の新作にも、シーズ(The She’s)なる地元サンフランシスコの4人組ガールズ・バンドがフィーチャーされており、さぞかし派手に遊んでいるのだろうと、思っている方も多いかもしれない。しかしそんなクリストファーには、かれこれ5年近く交際している女性がいる。そのガールフレンドというのが、ヴァンパイア・ウィークエンドの曲名になったことでも知られるハンナ・ハントなのだが、『Chrissybaby Forever』のジャケット写真を撮影したのも彼女であり、クレジットにも〈ハンナに捧げる〉という一文があるのが確認できるはずだ。そのハンナも帯同した前回の来日は『Lysandre』の再現コンサートだったので、2年半ぶりとなる今回の来日公演では、幅広いレパートリーからの曲を聴かせてくれるに違いない。イヴ・サンローランの広告モデルも務めた稀代のナルシストにして、女性と音楽には一途な男、クリストファー・オウエンス。ぜひ間近で目撃して、モテる男の秘訣を学びたいものだ。 *清水

クリストファー・オウエンスの2015年の米ラジオ局・KEXPにおけるスタジオ・セッション動画

 

【ドーニク】

 

80s生まれのMJ、アーバンな大型新人が初来日!

ジェシー・ウェアが才能を見い出したロンドン在住のシンガー/プロデューサー、ドーニクが〈HCW〉でついに初来日。今年発表されたファースト・アルバム『Dornik』に収録された、インディー的なセンスとアーバンな煌めきを兼ね備えたソウルフルなポップソングの数々に、ノックアウトされた方も多いのでは。その歌いっぷりとキャラクターから、〈80年代生まれのマイケル・ジャクソン〉〈フランク・オーシャンへのUKからのアンサー〉なんて評判も聞こえる大型新人のステージは、もちろん必見だ。

ドーニクについては、その魅力を語り尽くした特集コラムがアップ済みなので、詳しくはそちらをどうぞ。ここでは、生でもイケることを鮮やかに証明したロンドンでのスタジオ・ライヴ映像をご紹介。〈HCW〉でもバックを務めるバンドの演奏も冴えまくりで、14分過ぎからスタートする“Strong”のキラキラした疾走感がたまらない! *小熊

★「脅威の新人ドーニクを〈Free Soul〉橋本徹が語る! 80s生まれのMJとアーバン・ミュージックの現在地」はこちら 

 

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