INTERVIEW

ピアニストの仲道郁代、ショパン研究深めて2種類のピアノによる演奏に挑んだ新録音盤『ショパン:ワルツ』を語る

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  • 2016.02.26
(C)Kiyotaka Saito

 

プレイエルとスタインウェイ~2種類のピアノによる多彩な音色を聴き比べ!

 実力と人気の両面で日本を代表するピアニスト、仲道郁代が2年ぶりに新譜を発表した。収録曲はショパンのワルツ。仲道はキャリアの初期に彼の主要曲を集中的に録音しており、近年はオリジナル楽器による協奏曲を発表したことでも話題になった。そんな彼女だが、ワルツは意外にも、最近まで身近な存在ではなかったという。

 「若い頃は《華麗なる~》などのタイトルの影響で、作品の華やかな面にばかり目が向いて好きになれませんでした。でも、ここ数年、ショパンの研究を深める中で、これらのワルツは、彼の魂の告白だと思うようになって。そうした考えから、今回は各曲の裏側に潜む陰影や深みを大切にしながら弾きました」

仲道郁代 ショパン:ワルツ RCA Red Seal/ソニー(2016)

※試聴はこちら

 当盤には、ショパンの生前に出版された8曲を中心とした17曲が収録されている。

 「ショパンの新しいナショナル・エディションに忠実に従った選曲です。生前に出版された8曲と、死後に出版された9曲に感じる明確な違いは、"完成度"。前者は細部まで推敲が重ねられていて、その多彩さにも感銘を受けます。その点、後者は作り込みがどうしても甘いのですが、その素朴さゆえにショパンの日常生活を垣間見られるようで面白い。まるで手紙やモノローグのようですね(笑)」

 通常、ショパンのワルツは全曲録音してもCD1枚に収まるが、当盤は何と2枚組。それは、1842年製プレイエルと、2013年製スタインウェイによる2種類の演奏が収録されているからだ。

 「2007年にショパンの足跡を訪ねてヨーロッパを巡った際、1848年製プレイエル(ショパンも当時パリで、このメーカーのピアノを愛用していた)に触れて以来、楽器や演奏様式に興味を抱くようになりました。19世紀のプレイエルは、音の終わりが実に繊細で儚げ。ショパンの緻密なペダル記号に忠実に従いながら、色彩感と間合いの変化を精妙に表現することができました。一方、パワフルで響きの豊かなスタインウェイで同じ作品を弾いたところ、テンポが総じてゆっくり目に。特にゆったりとした作品の演奏時間が、プレイエルに比べると大分長くなっていたので驚きました」

 楽器の特性を活かすため、「プレイエルはなるべく響きをつけないドライなマイク設定で、スタインウェイはホールの中で聴いているような音場感で」と録音方法にもこだわった当盤。3月23日の読売大手町ホール、5月29日のルネこだいらなど、今後の公演ではこれらのワルツを披露するそうなので、併せてお聴き逃しなく!

 


LIVE INFORMATION

仲道郁代が企画構成する【フォーラム&ワークショップ】
*「音楽がヒラク未来~明日のワークショップを考える~」*

○3/25(金)26(土)
会場:東京芸術劇場
www.ikuyo-nakamichi.com/

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