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古楽極めた新世代の星、ジャン・ロンドーがチェンバロを自在に弾きこなして3人のバロック巨匠に挑んだ渾身の2作品が登場

(C)Edouard Bressy

 

古楽を極めた新世代の星、3人のバロック巨匠に挑む

 ジャン・ロンドーは往年の大巨匠ではない。しかし彼のチェンバロは間違いなく"古楽"であり、極めて芸術性の高い音楽だ。

 若干21歳でブルージュ国際古楽コンクールを制し、以降も輝かしいタイトルをいくつも勝ち取り「若き天才」の二つ名を恣にした古楽界の星:ジャン・ロンドー。彼の活動の場は古楽のみならず、ロック・ポップスやジャズにも精通しており幅広い演奏活動をしている。そのためか、チェンバロの本質をとらえながらも様々な音楽のエッセンスを盛り込んだ彼の音楽は、古臭くなることがなく現代でもなおビビッドに輝いている。そんな「若き天才」が挑戦した渾身の2タイトルが同時リリース。デビュー・アルバムとして2014年に録音した『Imagine』と題されたバッハ、そして最新作となるロワイエラモーの『Vertigo』。いずれもバロック音楽の代表格をチョイスしている。

JEAN RONDEAU イマジン~J.S.バッハ:チェンバロ作品集 Erato/ワーナー(2015)

 『Imagine』ではバッハオリジナルの作品だけでなくブラームスW.F.バッハらによる編曲作品も取り上げている。特にブラームスが左手用に編曲した 《シャコンヌ》は装飾音と軽やかな演奏に彩られ、まるでチェンバロのための曲だったかのように再構築されている。彼がチェンバロを自在に弾きこなしているのを強く感じさせられる。

 

JEAN RONDEAU ロワイエ/ラモー:クラヴサン作品集 Erato/ワーナー(2016)

 一方、今回新たにリリースされる新作『Vertigo』のロワイエとラモーでは、二人のクラヴサン曲集より16曲が抜粋されている。現代のピアノと異なり強弱がつけられない楽器であるクラヴサンの可能性を追求した二人の作曲家の作品に、若き天才は見事に応えている。16曲すべての解釈と演奏が劇的に、そして熱狂的に息づいている。若くも幅広い感性と卓越した演奏の魅力が詰まった素晴らしい曲集の完成だ。

 ジャン・ロンドーはまだ若い。それはつまり彼の音楽がこれからも新たに生み出されていくということだ。間違いなく古楽界のスターとなるであろう彼の音楽に注目していただきたい。

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