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ディラに敬愛を捧ぐコレクティヴ・ピース

 ディラをきっかけにした大所帯バンドの演奏ということでは、LAのカルロス・ニーニョミゲル・アトウッド・ファーガソンを中心としたセッション『Suite For Ma Dukes』が思い出される。そちらは彼の遺した楽曲を20名以上のアーティストでカヴァーしたトリビュート・セッションの音盤化だったが、ここで紹介するコレクティヴ・ピースはカヴァーとはまた違う形でディラと繋がるデトロイトのネオ・ソウル系バンド。もともとディラの功績を讃えてデトロイトで行われている祝賀イヴェント〈Dilla Day Detroit〉で演奏するために集まったところから、パーマネントな活動に発展したという経緯があるそう。核となるのはグラミー賞ノミネートの経験もあるサックス奏者のラダレル“サックスアピール”ジョンソンで、セオ・パリッシュのアルバムなどで歌っているイディヤーら、各人が独自に活動しているミュージシャンたちの集まったプロジェクトというわけだ。

COLLECTIVE PEACE Introducing Collective Peace Collective Peace/SWEET SOUL(2016)

 2014年に最初の音源“Let The Music Play”を配信し、アンプ・フィドラーを迎えたハウシーな“SoulBounce”も続けて発表。そしてこのたび完成を見たのがアルバム『Introducing Collective Peace』である。ノッツブッチャー・ブラウンとの縁で知られるリッチモンドのジョン・ビブスが歌うシルキーな“Love's In Waiting”があれば、ゾー!の鍵盤などを交えたフュージョン“Sun Chaser”もあり、“Let It Shine”にはジェシカ・ケア・ムーアポエトリー・リーディングで参加、“Pillow Talk”ではドウェレ節が滑らかに披露されるなど、ディラと人脈の繋がる著名アクトも交えつつ香しいグッド・ヴァイブの流れる空間の美を創出している。デトロイトが生んだ最新の結晶としても注目すべき一作だ。

 

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