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〈素晴らしい世界線〉に広がる音楽性をより深く知るためのサブテキスト

FLEET TRANSIT ポニーキャニオン(2011)

佐藤がヴォーカルを取るユニットの最新作にして、池田雄一仲井朋子との3人体制での最終作。仄かなノイズを忍ばせたアンビエントをインタールードに挿みつつも、ポスト・ロック~エレクトロニカ然とした趣はやや後退し、〈歌〉と〈バンド・アンサンブル〉が前に出た印象だ。クリアで奥行きのある音のテクスチャーには、ここでも益子樹が尽力。

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Leggysalad Verda Planedeto Day Tripper(2012)

bio tolvaIdiot Popのリミックスも手掛けるkevinのソロ・プロジェクトの初作。ボカロを起用した細切れヴォーカルと力強い生ドラムが印象に残る“sleeping beauty”をはじめ、fhánaでも時折見られる音のエディット/コラージュ感覚とオーガニックな質感が重ねられたエレクトロニカ作品だ。初期のDE DE MOUSE宮内優里に通じる雰囲気も。

 

fhana ソナタとインターリュード ランティス(2014)

今回の〈WWWL〉にも収められている“ホシノカケラ”を含む「天体のメソッド」のイメージ・アルバム。fhána作品ではお馴染みの川本新のアレンジ参加曲やアニメのスコアを担当した加藤達也の編曲による〈Accappella with Strings〉ヴァージョンなどストリングスが静謐な叙情性を担うナンバーも多く、トータルとしてとても優美な仕上がり。

 

fhana Outside of Melancholy ランティス(2015)

デビューから重ねてきたアニメ・タイアップ曲の持つ個別の世界観を、メタ的な視点で〈fhánaの物語〉へと還元したファースト・アルバム。既発のナンバーも多いが、サウンドがリンクする2曲を冒頭とラストに置くことでコンセプチュアルな聴き心地に。表題曲では過去の楽曲のフレーズを一曲に収束させるなど、林英樹による歌詞も技アリの一枚だ。

 

 ここでは、fhánaの面々による外部参加作品を紹介! まず、ユニットのデビュー前に作詞/林英樹、作曲/佐藤、編曲/fhánaという布陣で関与したのは、声優の相沢舞の初アルバム『moi』に収録の“その刹那”。軽快なグルーヴのなかにポエトリーも交えたナンバーで、主役の爽やかな声の魅力が引き出されている。続いて、アニメ「長門有希ちゃんの消失」の主人公が歌うキャラソン集には佐藤が“探していた風景”を書き下ろし。ジェントルなメロディーと清純なアイドル・ポップ風のアレンジとの相乗効果でなんとも甘酸っぱい。そして、声優の寺島拓篤の“INNER STAR”には、yuxukiとkevinがエントリー。疾走感を支えるギターと要所で飛び出す電子音は、聴けば二人の音だとすぐにわかる! なお、寺島作品に関しては、ニュー・シングル“0+1”のカップリング“ソラニ×メロディ”にも佐藤(作曲)とfhána(編曲)のクレジットが。

寺島拓篤の2015年のシングル“INNER STAR”
 

 また、yuxukiは「THE IDOLM@STER」に登場するエミリー スチュアートと水瀬伊織のデュエット・ソング“little trip around the world”に作曲とアレンジで参加。〈カラフルなワクワク〉をまんま音にしたような、リズム・オリエンテッドな作りが楽しい一曲に。ラストは、2012年から重ねて楽曲提供しているChouChoの最新シングル“空想トライアングル”のカップリングに収められた“Tomorrow is another day”。跳ね感のあるメロディーと呼応するようなリズムがゆったりとしたグルーヴを紡ぐ、透明感あるミディアムとなっている。