INTERVIEW

DYGL『Say Goodbye to Memory Den』 アルバート・ハモンドJr.がプロデュースした初フル作「シンプルだからこそ歌が際立つ」

DYGL『Say Goodbye to Memory Den』 アルバート・ハモンドJr.がプロデュースした初フル作「シンプルだからこそ歌が際立つ」

 「完成させてから3か月経つんですけど、まだ出てないのかって(笑)」(Nobuyuki Akiyama)。

 日本とアメリカを軽やかなフットワークで行き来しながら活動している4人組バンド、DYGL。彼らが結成から5年を経て、ついに初のフル・アルバム『Say Goodbye to Memory Den』をリリースした。念願のアルバムを完成させた心情を尋ねたところ、開口一番で返ってきたのは冒頭の発言。取材を行ったのはリリースの3週間前だが、逸る気持ちの表れた言葉からは、同時に作品への確かな手応えも窺える。

DYGL Say Goodbye to Memory Den Hard Enough(2017)

 「自分たちのやりたい感覚で作った曲を、良い音で録れて、歌詞も怒っているものから何の皮肉も混じっていないラヴソングまで、納得できるものが書けた。しかも今回は、これまで自分たちの工夫だけでやってきた僕らが、初めてエンジニア/プロデューサーときちんとしたスタジオでレコーディングする、という新たなチャレンジでもあって。それを満足できる作品として完成させたられたことは、自分たちのなかで大きな自信になっています」(Akiyama)。

 自身がバンドを始めるきっかけになったストロークスからヴェルヴェット・アンダーグラウンド、さらにはキンクスへ遡ったようにも聴こえるロック・サウンドがリスナーに歓迎され、頭角を現してきた彼ら。今回の新作は、ストロークスのギタリスト、アルバート・ハモンドJr.によるプロデュースという話題も追い風となって、さらなる注目を集めていきそうだ。

 「本当はドラウナーズとかヴューとか、僕らに近いテイストのバンドを手掛けていたガス・オバーグにエンジニアをやってもらって、セルフ・プロデュースでやりたかったんですが、アルバートとガスが最近は2人で一緒にプロデュースしていることが多いという話を聞いて。あと、そのタイミングで、たまたま知り合いから〈アルバートが日本人のバンドのプロデュースに興味を持っている〉という話も聞いたんです。もともとセルフ・プロデュースで考えていた経緯もあったので悩みましたが、〈2人はチーム〉だと言われて、コミュニケーションさえしっかり取れれば2人にプロデュースを任せても大丈夫、と賭けてみることにしたんです」(Akiyama)。

 「アルバートもはっきりと自分のカラーを持った人なので、彼の作品みたいになりすぎないかという心配はありました」(Yotaro Kachi)。

 日本からNYに持って行ったさまざまなタイプの楽曲を、アルバートと共にアレンジを磨き上げながら、ベストと言える形に仕上げていった4人。お互いに意見を交換し合うなかで、アルバートからの必然性のあるアイデアは採り入れる一方で、元からの自分たちのアイデアを譲らずに、押し通す場面もあったという。

 「アルバートも僕らも、曲を大事にしているからこそ同じ方向を見られたと思います」(Akiyama)。

 「〈いちばん大事なのは、フレーズと曲の構成〉という考え方でした。もっとシンプルにしていいんだっていう、新しい……というか、〈原点回帰的なやり方がいちばんカッコイイ〉と思えたことが今回は大きかったですね。無駄なフレーズはひとつも入っていないから、良いメロディーが随所で聴こえる。リズムがシンプルだから歌が際立つんです」(Yosuke Shimonaka)。

 結果、『Say Goodbye to Memory Den』には2000年代の響きを湛えたギター・ロックを中心に、60s風のビート・ロックやフォーク・ロックも収められ、そこにポスト・パンク調の“Come Together”、クラッシュを意識したレゲエ・ナンバー“Boys On TV”、初期パンクな“Feel The Way”といった、さらなる新境地も思わせる曲が加えられることに。これまでの集大成であると同時に、〈新たな出発〉を印象付ける作品となった。

 「アルバム・タイトルは〈別れ〉ではなく〈過去への決別〉と受け止めてほしかったから、〈出発〉という表現は嬉しいです」(Akiyama)。

 「ここが新たなスタート。今後どういうライヴをしていくのか、どういう曲を作っていくのか楽しみです」(Kohei Kamoto)。

 


DYGL
Nobuki Akiyama(ヴォーカル/ギター)、Yosuke Shimonaka(ギター)、Yotaro Kachi(ベース)、Kohei Kamoto(ドラムス)から成る4人組バンド。2012年に結成。2015年に『EP #1』をカセットと配信でリリースし、同年秋に渡米。滞在中にLAのレーベル、ロリポップのスタジオでレコーディングを行い、2016年5月に初の全国流通盤となるEP『Don't Know Where It Is』を発表。その夏には全国ツアーを開催する。12月に7インチ・シングル『Waste Of Time/Sightless』を送り出すと、年明けの2月には初来日を果たしたオンリー・リアルとツーマン・ライヴで共演。このたび、ファースト・アルバム『Say Goodbye to Memory Den』(HardEnough)をリリースしたばかり。

関連アーティスト
募集