Photo:Maiko Miyagawa

アーティスト熊谷和徳の、新たな旅立ちの幕開け

 ニューヨークを拠点に世界各地で活躍するタップ・ダンサーの熊谷和徳は、今年デビュ-20周年を迎える。熊谷は1996年から7年間、2012年からは家族を伴いニューヨークで活動してきた。2014年にタップ・ダンス界でもっとも権威のある賞、フロ・バート・アワードをアジア人で初受賞、昨年10月には、あらゆるジャンルのダンスの最高峰の賞であるベッシー・アワードで、最優秀パフォーマー賞に選ばれた。そしてデビュ-20年、40歳という節目の今年、熊谷和徳は新たなクリエイションのスタートを切る。8月26日にめぐろパーシモンホールに集結する仲間には、2012年の渡米前に日本で活動を共にしたタップ・ダンスを中心としたバンドK.K. Quintetのメンバーのリユニオンに、ストリングス・カルテット、アフリカン・パーカッションでヴォーカルも執るラティール・シーが加わる。熊谷は、ニューヨークでもジャズ系アーティストとのユニットを、ミュージシャン/リーダーとして率いている。「タップをリズム楽器としてだけでなく、自らの歌を歌うような感覚でメロディを強く意識して演奏している」と語る熊谷だが、ベッシー・アワードもその演奏活動が高く評価されて顕彰された。

 このコンサートでは、熊谷の過去5年のニューヨークでの活動の到達点が、旧友と新たな仲間と共に、日本のオーディエンスへ披露される。「K.K.Quintetに弦楽器が加わることにより、ジャズを中心としたジャム・セッション的な要素だけでなく、自分自身のエモーショナルなストーリーを描くことができます」と言う。「さらにパーカッションだけでなくメロディを歌うラティール・シーによって、タップの文化の源流であるアフリカのリズムのルーツを辿りながら、タップ・ダンスにしかできないサウンドを創造し、より大きなメッセージを感じてもらいたい」と、熊谷は熱く語る。「デビュー以来、自分自身の『現在』を、その時しかできないこの瞬間に全てをぶつけることを、20年やり続けてきました。このコンサートも、新たな、自分自身もまだ見たことのない次の1ページをめくる、チャレンジになると思います。タップ・ダンスが奏でる音楽を存分に楽しんでほしいです。ここまで20年の活動してきたことへの感謝とともに、新たな旅の始まりを皆さまと共有できることを、楽しみにしています」と意気込みを述べた。タイトルの"NEW BEGINNING"は、熊谷の決意を雄弁に表している。12月には、長年競演を重ね刺激を与えあっている親友の上原ひろみ(p)との全国ツアーも予定している。激しいリズムと、叙情的なメロディが交錯するパフォーマンスとなるだろう。熊谷和徳の新たな旅立ちが、夏の終わりに幕を開ける。

 


LIVE INFORMATION

熊谷和徳 Journey in the Rhythm - NEW BEGINNING
〈ジャーニー・イン・ザ・リズム―ニュー・ビギニング〉

○8/26(土) 16:30開場/17:00開演
会場:めぐろパーシモンホール 大ホール
出演:熊谷和徳/K.K.QUINTET & Strings/類家心平(tp)/中嶋錠二(p)/池田 潔(b)/吉岡大輔(ds)/ラティール・シー(perc)/高橋 暁 (vn)/丸山明子 (vn)/田中景子(va)/橋本歩(vc)/谷口翔有子(Tap dancer) /米澤一輝(Tap dancer)
www.persimmon.or.jp

Tap into The Light
○9/2(土) 15:00開演
会場:富山能楽堂
www.aubade.or.jp