遂にこの邂逅が実現した。かねてより膨大なリリース量についてサン・ラー超えを目標に掲げていた世界が憧れるジャパノイズの帝王メルツバウがラーの60年代半ばの作品『マジック・シティ』と『ストレンジ・ストリングス』を素材に音を加え新たな音源として作り上げた。全編メルツバウ色の濃いノイズに覆われているのだが、所々でしっかりと素材も活かされており、ふとした瞬間に演奏者としての秋田昌美の姿が浮かび上がる。すると不思議、前衛的なラーの音源と狂暴なノイズの間に調和を感じ、それはもしかすると敬意や憧れなのかもしれないと想像が膨らみ、時空を超えたセッションに胸が熱くなる。