COLUMN

キティ・デイジー&ルイス『Superscope』 ふたたびセルフ・プロデュースに戻したことで浮き彫りなる3人の絆と確固たるヴィジョン

【特集:BLOOD IS THICKER THAN WATER】Pt.2

BLOOD IS THICKER THAN WATER
[ 緊急ワイド ] 血は水よりも濃し
どうしてこんなに息がピッタリなのかって? それは同じ屋根の下で、同じ物を食べ、同じ音楽を聴いて育ったから。お互いを知り尽くした兄弟姉妹グループならではの、調和の取れたアンサンブルが悪いわけないよ!

★Pt.1 IBEYI『Ash』
★Pt.3 THE LEMON TWIGS『Do Hollywood +6』
★Pt.4 SPARKS『Hippopotamus』
★Pt.5 THE CRIBS『24-7 Rockstar Shit』
★Pt.6 いま巷を騒がせる血縁グループはこれだ!

 


KITTY,DAISY & LEWIS
外部クリエイターの入り込む余地もないほど、確固たる3人の絆とヴィジョンを見せつけた4作目!

 メンバー全員がマルチ・プレイヤーで、曲ごとに楽器を持ち替え、リード・ヴォーカルもコロコロ変わっていくというスタイルは、個性派グループ揃いな本特集の中でもかなり異色なのでは? 長女キティと次女デイジー、その2人に挟まれた長男ルイスから成るキティ・デイジー&ルイス(以下KD&L)。マスタリング・エンジニアのグレアム・ダーラムを父に、レインコーツの元メンバーであるイングリッド・ウェイスを母に持つ彼女たちは、きっと幼い頃から自然と音楽に親しみ、楽器をオモチャ代わりにして育ったに違いない。時には両親もステージをサポートしながら、地元ロンドンのパブでライヴ活動を始めた3人は、2008年にセルフ・タイトルを掲げた『Kitty, Daisy & Lewis』でアルバム・デビュー。徹底してアナログ機材にこだわり、ロックンロールやジャンプ・ブルース、ロカビリーなど40~50年代のテイストを追求したサウンドそのものの魅力と、それをティーン・バンドが演奏するという物珍しさで、たちまち脚光を浴びたものだ。

KITTY,DAISY & LEWIS Superscope Sunday Best/BEAT(2017)

 その後、コールドプレイのツアー・サポートを務めたり、〈グラストンベリー〉や〈フジロック〉といった大型フェスに参戦しつつ、KD&Lは順調にリリースを重ねてきた。そしてこの秋、3年ぶり4枚目のニュー・アルバム『Superscope』が到着! 2014年の前作『Kitty, Daisy & Lewis The Third』はクラッシュのミック・ジョーンズに初めて外部プロデュースを委ねたことでも話題になったが、ここではふたたびセルフ・プロデュースに戻している。何せ、インド料理店を自分たちの手だけでスタジオに改装してしまうほどの、DIY精神の持ち主だ。〈自分たちが何をやりたいかはっきりとわかっているなら、他人の手なんて借りる必要はない〉ということらしく、もしかすると指揮官としても名を馳せたミック・ジョーンズすら入り込む余地がないほど、3人の絆とヴィジョンは強固なのかもしれない。

 結果、ニュー・アルバムは非常にライヴ感の溢れる仕上がりに。前作を特徴付けていたホーンやストリングスも、今回はごく控えめ。場数を踏んで骨太になった3人の演奏を、ゴリッと際立たせようとする狙いが感じ取れる。レコーディングではそれぞれの音のバランスを意識するより、直感的なアイデアを活かして使用する楽器/機材を選んでいったのだとか。うねるようなベースラインが格好良いオープニングの“You're So Fine”は、ローリング・ストーンズら60年代のUKビート・バンドを彷彿とさせるブルース・ロック・ナンバー。中盤にも“Black Van”という同じタイプの楽曲が登場し、そのほかカントリー風味の漂うサザン・ソウル調“Team Strong”や、メロウなエレピにルイスの色っぽい歌唱が絡むロマンティック・バラード“Love Me So”など、アルバムに緩急を付けつつ、いままで以上に熱くエネルギッシュで、グルーヴ感を強調しているのが印象的だ。

 例えばブッカー・T&ザ・MG's“Green Onions”へのオマージュを込めたオルガン・インスト“Broccoli Tempura”に顕著な通り、アイデアの元となったサウンドにとことん近付けようとしたところで、単なる焼き直しに終わったり、古臭くなったりしない点は、流石ロンドンっ子。ヴィンテージな音を愛し、偉大な先輩アーティストが残したレガシーを自由に呑み込み、それを洒脱なセンスで吐き出すスキルは、この『Superscope』でもますます冴え渡っている。

キティ・デイジー&ルイスのアルバム。

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