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いろいろなところで見かけるこのごろの澤部渡

 本文にもある通り、最近は映画やドラマの音楽を手掛けるなど、活動の場がどんどん広がっているスカートこと澤部渡。ここでは、前作『静かな夜がいい』以降に関与した仕事を辿ってみよう。

 まずは、昨年末に敬愛する先輩アクト、ムーンライダーズのトリビュート盤『BRIGHT YOUNG MOONLIT KNIGHTS -We Can't Live Without a Rose- MOONRIDERS TRIBUTE ALBUM』に参加。自身のバンド・メンバーと共にゴリッとした質感の“いとこ同士”を披露している。続いては、今年1月から放送されたドキュメンタリー・ドラマ「山田孝之のカンヌ映画祭」のエンディング・テーマ“ランプトン”と劇判を担当。さまざまな人物を巻き込みながら、山田が〈カンヌ映画祭〉に出品する映画を制作するべく奔走する様を追った同作に、監督の松江哲明と山下敦弘から招かれた澤部。本作にはドラムスのみ、ギターのみのトラックをはじめ、どこか一筆書きのようなタッチのスコアを当てている。

 そこから打って変わって、3月にはNegiccoのNao☆が作詞を、さよならポニーテールが作曲を受け持った南波志帆“真夜中のヘッドフォン”に登板。軽快な足取りのガール・ポップにコーラスとラップを添えている。そして、ライヴ会場限定盤となったどついたるねんのトリビュート盤『dotsu TRIBUTE SPIRITS』での“街”を挿み、4月には瀬田なつきが監督を、橋本愛/永野芽郁/染谷将太がメイン・キャストを、トクマルシューゴが音楽監修を務めた音楽青春映画「PARKS パークス」に“離れて暮らす二人のために”を提供(先述の“ランプトン”と合わせて新作『20/20』に収録)。舞台となった東京・井の頭恩賜公園で弾き語るフォーク・シンガーとして、劇中でもその姿を確認することができる。

 さらに、秋に入ると藤井隆の最新アルバム『light showers』における“踊りたい”の作詞/作曲にエントリー。〈90年代のCMソングのような楽曲〉というお題のもと、冨田謙によるメトロポリタンなムードのアレンジがよく似合う、年齢を疑いたくなるほどに粋な言葉とメロディーを贈っている。また、同作と数日違いでNegiccoのKaedeのソロ7インチ“あの娘が暮らす街(まであとどれくらい?)”も登場。澤部が作詞/作曲/編曲を手掛けたこのナンバーは、黄昏色のバンド・アンサンブルがじんわりと胸に沁みるミディアムで、いつか自身のヴァージョンも音源として届けてほしい逸曲! なお、カップリングの鈴木亜美 joins キリンジ“それもきっとしあわせ”のカヴァーも含め、演奏は2曲ともスカートが担っている。 *bounce編集部