インスタ女子を眺める様子をリル・ヨッティと歌った呑気なビッグ・ヒット“iSpy”を引っ提げ、25歳のカリフォルニア男子が初作を発表。力の抜けたラップと歌は今風で心地良いが、ふとメロウに足元を見つめるような内省も纏う聴き心地は、乱暴に例えたら〈野心のないドレイク〉、または〈毒気のないキッド・カディ〉か。実際にカディからは多大な影響を受けたそうで、オマージュと思しき“To The Moon”などでは酩酊感ある世界観も表しつつ、どこか根が明るいのがカイルらしさだろう。他にもソフィア・ブラックの日本語フックが違和感なく溶け込む“Ikuyo”、ケラーニとの仲良さげな共演“Playinwitme”、カリードを迎えたシンセ・ファンク“iMissMe”など、全編を通じてポップでチルでメロディアスな好盤。