Page 2 / 3 1ページ目から読む

心が赴くままに創作活動を続けてきたアヴリルのディスコグラフィー

AVRIL LAVIGNE Let Go Arista(2002)

カナダのカントリー・シーンをザワつかせていた天才少女がLAでマトリックスと出会い、一気に世界的スターの仲間入り。〈パワー・ポップ/パンク化したアラニス・モリセット〉みたいな雰囲気で感情剥き出しに弾けつつ、品行方正ポップスとしての機能もしっかり保っているところがお見事。この処女作の成功を受けて、特にCCM界隈ではクリスタル・マイヤーズのようなフォロワーが続々と誕生しました。

 

AVRIL LAVIGNE Under My Skin RCA(2004)

AFIやマイ・ケミカル・ロマンスがメジャー・デビューした頃、アヴリルもアイラインを太くしてダークに変身。ドン・ギルモア、ブッチ・ウォーカー、アワ・レディ・ピースのレイン・メイダをプロデューサーに据えたこの2作目では、オルタナ・メタル/ポスト・グランジな音を志向し、マイナー調のメロディーで泣き叫ぶような歌唱を披露しています。〈アヴリル=ロック〉というイメージを完全に定着させた一枚。

 

AVRIL LAVIGNE The Best Damn Thing RCA(2007)

前作で影のある女を演じすぎた反動か、ブリンク182やサム41の助けを借りてド派手なパーティーを開催。音の感じは初作に近いですが、青臭い不平不満を撒き散らすのではなく、ノリノリの掛け声で聴き手との一体感を煽っていくあたりは、アリーナ会場を埋めてきたキャリアの賜物でしょう。Drルーク製の“Girlfriend”や60sポップス調の表題曲など、新作中の“Dumb Blonde”にも通じるチアフルな楽曲だらけ。

 

AVRIL LAVIGNE Goodbye Lullaby RCA(2011)

サム41のデリックとの結婚~離婚を経て登場したこの4作目は、寂しげなピアノの単音で始まる傷心盤に。時折パンキッシュに強がってみせるも、総じてアコギを貴重とした内省的なナンバーが目立ち、あまり声を張らない歌い方やドロドロ路線の歌詞にテイラー・スウィフト『Speak Now』と似たものを感じます。それにしたって、こういうタイプの作品を別れた旦那にプロデュースさせるとは……。

 

AVRIL LAVIGNE Avril Lavigne Epic(2013)

パンク、ハード・ロック、アコースティック・ポップ……と、過去4作をギュッと凝縮したようなラインナップに、ダブステップなキティちゃん讃歌やマリリン・マンソンとのインダストリアル・チューンのような新味も加え、改めて自己紹介した初のセルフ・タイトル・アルバム。プロダクションよりヴォーカルを重視したという『Head Above Water』とは、ある意味で対極に位置する内容です。