INTERVIEW

BRADIOの〈お手上げだけど、いっちょやりますか〉な心意気

3人が語るシングル『O・TE・A・GE・DA!』と47都道府県ツアーへの思い

(左から)酒井亮輔、真行寺貴秋、大山聡一
 

ファンキーな3人組バンド、BRADIO。メンバーは真行寺貴秋(ヴォーカル)、大山聡一(ギター/ヴォーカル)、酒井亮輔(ベース/ヴォーカル)。それぞれのルーツを合わせた音楽性を持ち味に、2010年の活動開始から快進撃を続け、2017年にはインディーズながらも中野サンプラザ公演をソールドアウト、そしてメジャー・デビューと順調なステップ・アップを見せてきた。

しかし2018年はドラマーの脱退でスタート。ずっと活動を共にしたメンバーの離脱――これが大きな節目になったことは想像に難くないが、その後はメジャー・ファースト・アルバム『YES』を発表し、そのリリース・ツアーも成功させている。環境の変化をポジティヴに昇華して、見事にみずからを更新させたと言えるだろう。

そのBRADIOが、メジャー3作目となるシングル『O・TE・A・GE・DA!』をリリースする。本作はシンプルにグルーヴするタイトル曲“O・TE・A・GE・DA!”を含む新曲が3曲と、昨年のツアー・ファイナルのライヴ音源が7曲収録された豪華な内容だ。そして『O・TE・A・GE・DA!』を皮切りに、彼らの活動は5月からの〈47都道府県ツアー “IVVII Funky Tour”〉へと繋がっていく。2019年の指標ともいえる、このシングルに込められた意図とは。制作過程や近況なども含めて、BRADIOの3人に話を訊いた。

BRADIO O・TE・A・GE・DA! ワーナー(2019)

BRADIO、激動の2018年を振り返る

――メンバーの脱退、メジャー・ファースト・アルバム『YES』のリリース、それに伴うツアーなど、激動だった2018年を振り返っていかがですか。

酒井亮輔「2018年は良くも悪くも〈楽しかったな〉という印象が強い感じがしてます。〈やらなきゃいけないな〉という感覚よりも〈よし、やろう!〉みたいな気持ちにすぐ切り替わったというか。それがいまに至るまで続いてます。メンバーそれぞれの気分の浮き沈みはあったかもしれないけど、チームとしては前向きで。

ぶっちゃけ、どんなジャンルの音楽をやっても、BRADIOだったら楽しいだろうなと思えますから。信頼関係も深まったし、より強固な土台ができたんじゃないかなという気がする」

真行寺貴秋「僕は周りのスタッフやメンバー、ファンのみなさんに改めてパワーをもらっているなと思ってます。いい形でアルバムを出せたりもしたので、濃い一年でしたね。アルバムの制作前後でライヴも変わりましたし、自分たちにとっても考える機会になりました」

大山聡一「すべてがうまくいったわけじゃなくて、悩んだこともありました。そういうなかでも、メンバーやチームがポジティヴで雰囲気が明るかったよね。そこは助かったというか、自分も引っ張ってもらえたし、単純に楽しめた部分も多かった。音源や制作、ツアーもやりきって、いまはシングルに向けて活動している充実感があります。

あまり気にしていないんですけど、メンバーも3人になって、サポートのドラムや鍵盤、ホーン隊が入ったりしています。それによってBRADIOが流動的なものになった。

自由にやれるようになった反面、いままでできているようでできていなかった部分も浮き彫りにもなりましたね。それが遅かったのか、早かったのかわかりませんが。例えば、ギターに関してはバンドではあまり考えずに成立していたことが、3人では成立しなくなったりとか。それは技術的なことじゃなくて、考え方の部分だったり、バンドの関係性の部分だったりによると思うんです。

視野が広がったかどうかはもう少し後で考えてみないとわからないですけど、感覚的に違う人と演奏する良さも感じましたね」

酒井「レコ―ディングのときは想定外のことがかなり多かったですね。でも〈すげえいいじゃん〉と思えたんです。それに乗っかっていくのがすごい楽しかったので。やっぱりバンドって予想以上のことが起きる期待と、音源ができあがっていく過程にワクワクしますよね」

 

ダブル・ミーニングの〈お手上げだ〉というキーワード

――そういったことを経ての“O・TE・A・GE・DA!”ですが、この曲の制作についてお聞きしたいです。

真行寺「亮輔が〈ベースは動かないで、その上に歌とギターで着色していくシンプルな曲がやりたい〉と提案してくれて。それからスタジオで作っていったのがスタートだったと思います」

酒井「まず、ベースとドラムのフレーズが漠然とあって、それを弾いてみて〈あ、これずっと弾いていたいな〉みたいな感触があったんですよ。曲ってコードの流れがあったほうがドラマを作りやすいじゃないですか。〈Aメロ、Bメロ、サビ〉みたいな。そのへんはマイケル・ジャクソンなどの洋楽を参考にして、ワン・グルーヴ/ワン・コードで展開が変わっていくことをやりたかった」

大山「制作としてはサウンド先行でした。グルーヴ感だったりとか、そこに付けるコードの雰囲気のイメージは最初にあったと思います。で、メロディーを乗せていくときに〈お手上げだ〉というワードが出てきて、それが〈おもしろいね!〉ってなったんですよ。

いつも歌詞は貴秋が書いてるんですけど、今回のシングルはプリプロの段階からみんなでディベートする時間が多かった。そのなかで〈お手上げなことっていっぱいあるよね〉って話になって。貴秋からは〈参ったという意味のお手上げと、ハンズ・アップするようなお手上げの2つの意味を混ぜるのはどうか?〉っていう意見も挙がってきて。それをバックビートがしっかりあるなかでやるのがおもしろいとまとまっていった感じです」

酒井「こういう楽曲って〈踊り明かそう!〉みたいな内容が多いんですけど、“O・TE・A・GE・DA!”を作った当時、個人的にはいろいろなことにムカついてて(笑)。外に出たら人とぶつかるだけで〈なんだよ!〉って思うくらいイライラしてたんです。

不自然なことがすごく多いなと感じていた頃でしたけど、ただそういうことを歌ったら嫌な感じになるので〈お手上げだ〉という言葉はよかった。ディスるわけでもないし、かといってハッピーでもない。ちょうどいいワードが出たな、と。これで曲作りが前進した気がします」

『O・TE・A・GE・DA!』表題曲
 

――少ない音数で、ファンキーにグルーヴしていく曲調も印象的でした。

大山「この楽曲は建築で言ったら、しっかり基礎から作った楽曲ですよ。曲ってわりと屋根や外側からできるパターンも多い。それが悪いという意味じゃなくて、BRADIOの曲にもいろいろあるんです。なんとなく外壁のイメージが先にあって、〈じゃあ土台どうします?〉ってなることもあるので。

それはそれでおもしろいんですけど、“O・TE・A・GE・DA!”に関しては〈基礎はこれ〉というところからのスタートでした。そういう曲のほうがやっぱり筋が通りやすいので、それが魅力。グルーヴ系の曲って、その作り方のほうが安定したものを出しやすい気がします。

『YES』のときはブラスが入ったり、大編成な曲がわりと多かったんです。でも、今回は47都道府県ツアーに向けた気持ちも無意識的にあったのか、編成の小さいサウンドに制作がシフトした感じがあります。

(カップリング曲の)“バクテリアch.”は、大好きな先輩のSCOOBIE DOがライヴの後半に持ってくる、さっとエンジンがかかる曲がめちゃくちゃカッコイイといつも思ってて、そういう曲を作りたいなというところから着想しています」

 

BRADIOのソウルとは?

――“バクテリアch.”の〈情報ばっか食べてんじゃねえ〉はパンチラインですよね。

真行寺「本当にそのまんまというか、強い感じの歌詞もたまにはいいのかなと。何かを否定したいとかそういうことじゃなくて、〈こういうふうにも思っているよ〉っていう感じで届いたらいいなと思ってます。怒ってるわけではなく、歌詞のとおりで、実際に行って、触れて食べたりしたほうがいいと。僕らは日本人ですし、プロテストな感じではないですね。

周りも大変だけど僕も大変なんだよ、というか。フォーカスした世界のなかで伝えたいことが僕たちのソウルなのかなと思ってて。こういうシンボルめいたことを言うのは、本来の音楽の在り方だとも思うんです。

いままで曲の全体を通してこういう強いフレーズがある曲はなかったので、この曲は一つのシンボルを音に乗せられたと思っています。タイトルは聡一のアイデアですね」

大山「歌詞が最後までできなくて、レコーディング中にみんなで机を囲んでワードを出しながら、ブラッシュアップしてたんです。でも、最後までタイトルが決まらなかった。そうしたら、亮輔がバクテリアについて調べはじめて(笑)」

酒井「(バクテリアは)起源の生物というか、そいつがいろいろなものを食べていろいろなものになっていくみたいな感じなんですよ。〈何者でもない〉という言葉が自分のなかでキーワードで。〈情報ばっか食べてんじゃねぇ〉という強いサビのワードがあったので〈バクテリアとかいいかもな〉とふっと浮かんだんです」

大山「曲の言っていることとリンクするなと思ったんですよ。情報を主体的に調べてるんだけど経験はしていなかったら、それは本当に主体的なことなのか、とか。僕もそういう部分もあるし、そうじゃない部分もある。だからチャンネルの合わせ方を変えれば、見方も変わるなと。とはいえ、〈バクテリア〉だけだと虫の歌みたいになってしまうので〈ch.〉を付け加えました」

 

血が通った音楽としてのライヴ音源

――3曲目の“帰り道のBlues”は、他の2曲とは対照的にしっとりしたバラードになっています。

大山「どういう曲を収録するかは、毎回いろいろと作りながら方向性が見えてきたものをチョイスしていくパターンが多いです。この曲は当初、洋楽でよくある〈どこがサビなのかわからない曲にしよう〉というコンセプトだったんですけど、だんだん〈そうじゃないね〉という話になって、いまの形にまとまりました」

酒井「この曲に関しては、歌がいちばん大事な曲になることはわかっていたので、歌詞とメロディーを大事にしたかったんですね。聴いた人が本当にその道を歩いているかのような内容にしたくて。それは描けたかなと思ってます。あったかい曲になりました」

――シングルには〈YES Release tour 2018~ORE to OMAE de BOOM BOOM BOOM~〉のNHKホール公演のライヴ音源が7曲も収録されていますが、これについても教えてください。

大山「『YES』のツアー・ファイナルで映像撮りや音録りをしてもらっていたんですけど、当時はそれをどう使うかについては決まっていませんでした。でもシングルを出すとなって、チームで話し合ったんです。そこで〈BRADIOのライヴの良さを改めて伝える作品にしてみてもいいんじゃないか?〉という話になって。いままでも初回盤でライヴの音源を付けたり、いろいろやったんですけど、今回はがっつり入れてみようと」

真行寺「ライヴ音源を自分で聴いてみて〈よくしゃべってるな、この人〉と思いました(笑)。自分としてはいつも通りなんですよ。自信満々なわけではないけど、ライヴの様子が伝わればいいなと思ってて。それは上手い下手とかではなく、単純に血が通っている音楽かどうかなんです」

酒井「確かに〈ライヴ感があるな〉という感じですね。良くも悪くも、どうしてもCDとは違いますよね。でも生感を出したほうが絶対いいと思うんです。〈音源どおりじゃない〉というのが一番の魅力。『YES』のツアー中は音源をきちんと再現することが正義、みたいな考えが強かったんですよ。でも、やっぱりそうでもないのかなと。もちろん的は外しちゃいけないと思いますけど。音源より貴秋のテンションが高かったり、ギターが歪んでいたり、温度が高いので、BRADIOのライヴへの入り口として聴いてもらえるんじゃないかな」

 

誰一人取りこぼさずにライヴしたい

――5月から9月まで、初となる〈47都道府県ツアー “IVVII Funky Tour”〉も控えていますね。先ほどお話にも出たSCOOBIE DOやthe band apart、髭、夜の本気ダンス、a flood of circleなど、豪華な対バンのラインナップも魅力的ですが、ツアーはどんな内容になりそうですか?

大山「47都道府県ツアーについては、いろいろ聞くんですよ。〈大変だぞ〉とか〈しんどいときが絶対来るよ〉とか。でも今回の“バクテリアch.”の歌詞じゃないけど、現場で素直に感じる感覚はやってみないとわからない。情報に振り回されないようにしたいですね。いま心配しても仕方がないですから。楽しそうだな、とは思ってますよ。でも途中でもういやだと思うかもしれない(笑)。

それから純粋にいままでまだ行けてないエリアがまだまだいっぱいあったので、そこに初めて行けるのがすごくうれしいです。今回は4人編成で回る予定です」

真行寺「本数は多いですけど、一本一本大事にしていきたいという気持ちがあります。音楽でくたばれるなら、それはそれでいいかなとも思うし。届けたいものが、その心配よりも強いんです。〈会場の大きさとは関係なく、誰一人取りこぼさずにライヴしたい〉という気持ちは常に持ってますから。ライヴハウスは距離が近いし、よりダイレクトな感じがあって相乗効果がすごい。

盛り上がりのあまり、ツアー後半は骨になってそうです(笑)。それだけ密なステージが期待できると思います。来てくれた方々に〈やっぱ音楽っていいな〉と思ってもらいたいんです」

酒井「ひとりひとりのお客さんを大切にしたいです。〈子どもがいて、地元に来てくれないと観に行けない〉というような方が来れるチャンスかもしれないじゃないですか。僕たちにとっては47都道府県49公演ですが、その人にとってはその公演がツアーの千秋楽になるので。そこで残念に思われたくないですね。向こうも大変な思いをして来てくれているだろうし。ひとりひとりが満足する様なライヴができたらいいですね」

 


Live Information

OTAKON
7月26日(金)~28日(日)アメリカ合衆国・ワシントンDC ウォルター・E・ワシントン・コンベンションセンター
※7月26日BRADIO出演
https://www.otakon.com/
https://www.facebook.com/Otakon/
https://twitter.com/Otakon
https://www.instagram.com/otakonpics/

 

47都道府県ツアー “IVVII Funky Tour”
5月1日(水)千葉 LOOK 共演:Rei
5月9日(木)滋賀 U-STONE 共演:ET-KING
5月10日(金)兵庫 太陽と虎 共演:Sunrise In My Attache Case
5月12日(日)広島 SECOND CRUTCH 共演:MOSHIMO
5月14日(火)愛媛・松山 WstudioRED 共演:フレンズ
5月15日(水)高知 X-pt. 共演:フレンズ
5月17日(金)徳島 club GRINDHOUSE 共演:SCOOBIE DO
5月18日(土)香川・高松 MONSTER 共演:SCOOBIE DO
5月24日(金)茨城・水戸 LIGHT HOUSE 共演:髭
5月30日(木)北海道・札幌 cube garden 共演:a flood of circle
5月31日(金)北海道・帯広 MEGA STONE 共演:a flood of circle
6月2日(日)北海道・旭川 CASINO DRIVE 共演:a flood of circles
6月9日(日)岡山 CRAZY MAMA 2nd Room 共演:LOCAL CONNECT
6月10日(月)山口・周南 LIVE rise SHUNAN 共演:DEAR KISS
6月13日(木)佐賀 GEILS 共演:I Don’t Like Mondays.
6月15日(土)長崎 DRUM Be-7 共演:I Don’t Like Mondays.
6月16日(日)福岡 DRUM Be-1 共演:I Don’t Like Mondays.
6月19日(水)宮崎 SR BOX 共演:LAMP IN TERREN
6月20日(木)鹿児島 SR HALL 共演:LAMP IN TERREN
6月22日(土)熊本 B.9 V1 共演:THEイナズマ戦隊
6月23日(日)大分 DRUM Be-0 共演:THEイナズマ戦隊
6月27日(木)愛知・名古屋 CLUB QUATTRO 共演:フィロソフィーのダンス
6月28日(金)静岡・ROXY 共演:マカロニえんぴつ
7月3日(水)東京・六本木 EX THEATER ROPPONGI 共演:SPECIAL OTHERS
7月5日(金)福島・郡山 CLUB #9 共演:FIVE NEW OLD
7月6日(土)宮城・長町 RIPPLE
7月8日(月)岩手・盛岡 CLUB CHANGE WAVE
7月9日(火)青森 Quarter
7月11日(木)秋田 LIVESPOT2000
7月12日(金)山形・酒田 hope
7月14日(日)群馬・高崎 club FLEEZ
7月18日(木)島根・松江 AZTiC canova 共演:マカロニえんぴつ
7月19日(金)鳥取・米子 AZTiC laughs 共演:マカロニえんぴつ
7月22日(月)福井 CHOP
7月23日(火)石川・金沢 AZ
8月1日(木)京都 KYOTO MUSE 共演:夜の本気ダンス
8月2日(金)大阪 味園ユニバース
8月7日(水)栃木 HEAVEN'S ROCK UTSUNOMIYA VJ-2 共演:ドラマストア
8月9日(金)埼玉・西川口 Hearts 共演:感覚ピエロ
8月15日(木)奈良 NEVERLAND 共演:THREE1989
8月16日(金)和歌山 SHELTER 共演:Sunrise In My Attache Case
8月22日(木)神奈川・横浜 F.A.D yokohama 共演:TENDOUJI
8月26日(月)三重・松坂 M'AXA 共演:FIVE NEW OLD
8月27日(火)岐阜 CLUB ROOTS 共演:FIVE NEW OLD
8月30日(金)山梨・甲府 KAZOO HALL
9月6日(金)富山 SOUL POWER 共演:the band apart
9月7日(土)長野・松本 ALECX  共演:the band apart
9月16日(月)沖縄・桜坂 セントラル 共演:きいやま商店
9月26日(木)新潟 LOTS

各公演チケット先行販売受付:
http://bradio.jp/show/list/4?range=future_event_end_time&sort=asc

 

『O・TE・A・GE・DA!』リリース記念 ミニ・ライヴ・イヴェント
4月25日(木)東京 タワーレコード渋谷店 B1F CUTUP STUDIO
集合:19:00(集合場所:タワーレコード渋谷店1F階段前)
開演:19:30
https://wmg.jp/bradio/news/83293/

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