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『生欲』を育むための関連作品

 バンドとソロの活動を並行しつつ他方面にもマルチな才能を見せる松永天馬だが、その多才さが輝かせるのはやはり音楽家としての本分だ。ページ内にジャケを掲載しただけの作品もありつつ、塚本舞の“カクテルガール”のような全国流通のないものも含めて、活躍の舞台は広がっている。ここではアルバムに参加した面々の作品も含め、『生欲』への入口をいくつか紹介しておきたい。 *轟ひろみ

 

じゅじゅ 非実在聖少女 箱レコォズ(2019)

いわゆるアイドルの範疇ではPASSPO☆やバンドじゃないもん!に曲提供してきた経歴もある松永。そのレイテスト・ワークとなるのは〈呪い〉をテーマにした4人組のシングル表題曲。〈少女〉を題材とする彼一流の詞作と不安な仰々しさを歌謡性たっぷりにまとめている

 

URBAN DANCE U-DNA Solid(2016)

今回“生欲”を編曲したのは、アーバンギャルド“くちびるデモクラシー”でも組んだ鬼才・成田忍。80年代にノンスタンダードからデビューしたこのユニットでの30年ぶりの新作には、石井秀仁や森岡賢、砂原良徳らと並んでアーバンから浜崎容子も駆けつけていた。

 

VARIOUS ARTISTS FUTURETRON RECYCLER LAZY ART(2019)

日本の80s曲をテクノ・ポップ~ニューウェイヴ精神でカヴァーすべく企画されるも延期していたというコンピが15年越しについに完成!? 松永はアーバンギャルド仲間のおおくぼけいと組み、いとうせいこう& TINNIE PUNXの“東京ブロンクス”を披露している。

 

BARBEE BOYS BARBEE BOYS IN TOKYO DOME 1988.08.22 ソニー(2018)

近年は松永と絡みの多いいまみちともたかは、盟友の杏子や椎名林檎らの作品に関与しつつソロやヒトサライで活動し、今年の〈ARABAKI ROCK Fest.〉など時折BARBEE BOYSとしても活動中。その伝説的な勇姿は日本人アクトで初の東京ドーム単独公演を収めたこのBDで確認を。

 

逢瀬アキラ Vandalism:red カナメイシレコード(2019)

〈2.5次元ロックアーティスト〉を称するシンガー・ソングライターが交友関係を活かしたアルバム。いまみちともたかのイヴェントを通じて交流の生まれた松永も妖しげな“VALERY:NA”にいまみちと共に客演し、デュエット調に歌唱を重ねたりラップしたり濃い存在感を見せる。