何者にも屈せず、ひたすら自由を求めて前進するのみ! デジタル・ハードコアという名のサウンド・テロリズムはますます激しさを増すばかりだ! 革命の時は来た! 戦う準備はできているか?

世界に警鐘を鳴らせ!

 アタリ・ティーンエイジ・ライオット(以下ATR)が5枚目となるニュー・アルバム『Reset』を完成した。2001年に一度解散し、9年の歳月を経てリユニオン。今作はその再結成後の第2弾にあたる。

ATARI TEENAGE RIOT 『Reset』 DHR/BEAT(2014)

 手前味噌で恐縮だけど、筆者がATRと出会ったのはいまから15〜16年前。2作目『The Future Of War』が出た後のことだ。攻撃的なアティテュードをモロ出しした先鋭的なサウンドでもってブイブイ言わせ、単独来日公演時には1,000人キャパの東京会場を瞬く間にソールドアウト。正直言うと、ATRの名や音楽を教えてくれたのは知り合いの女子音楽ファンだった。〈絶対気に入るから〉と背中を押され、『The Future Of War』を聴いたところ、不意に往復ビンタを喰らったような強い衝撃を受けた。90年代中盤に流行ったインダストリアル・メタルとも、USで猛威を振るったグランジ/オルタナティヴ・ロックともまったく異なるそれは、〈デジタル・ハードコア〉と呼ばれていた。デジタル・ビートが四方八方に跳びまくり、駆けずり回り、その上で鋭利なギター・リフと男女デュアル・ヴォーカルとがガップリ四つに組んで畳み掛けてくるスタイルは、他に類を見ない完全に独自のもの。世界に警鐘を鳴らすかの如きポリティカルなメッセージも特徴であり、彼らの大きな武器である。

 アレック・エンパイア(プログラミング/プロデュース/スクリーム)に初めて会ったのは2002年初頭。小誌GrindHouseの企画で上田剛士(当時はTHE MAD CAPSULE MARKETSに在籍し、現在はAA=として活動)と対談してもらった時だ。そのサウンド同様、アレックは尖ったオーラを放ち、〈ヘタなことは言えんわな〉と思ったことをいまも覚えている。あれから10年以上経っただけに、流石の彼もずいぶん性格が丸くなったと最近会うたびに感じるが、どっこい、音楽的な先鋭性は寸分も変わらないどころか、より磨きを掛けているようにすら思う。2011年作『Is This Hyperreal?』を聴いた際にそれを強く感じたのだけど、今回のアルバムも同じ。あの〈ATR節〉が大炸裂した力作に仕上がっている。前作のリリース・タイミングに実現した電話取材で、アレックはATRのあり方についてこう語ってくれた。

 「活動を再開するにあたり、いくつか意識したことがある。いまは90年代後半じゃなく2010年代だということ。そして、『Is This Hyperreal?』の内容がATRであることからあまり離れることなく、それでいてしっかりと新たな成長・進化を感じてもらえるものにしたかったこと。この2点をとても大切にしたんだよね」。