20世紀バレエ音楽の傑作として看過できないストラヴィンスキー「結婚」の原初的魅力を高精度なまでに明らかにした注目盤。1919年に着手したものの編成の問題で一旦放置した版をテオ・フェルベイが完成。冒頭にロシア民謡を置き、一気に土香る民の〈ハレ〉を祝祭する舞台へと転換。特有の発音や唱法をふまえ、強烈なリズムを乱舞させる合唱の表現力がすさまじい。一切を明解にする録音のよさも特筆。バレエ・リュスで振り付けたのはニジンスキーの妹ニジンスカ。編成を活かした面白い編曲での巻末の“ボレロ”、共に団を離れたイダ・ルビンシテインがラヴェルに委嘱した「ボレロ」初演の振り付けも彼女だった。