ロトとレ・シエクルの“オルガン付き”の録音は色鮮やかな名演だった。この交響詩は作品としては地味な存在だが、煌めく音色や畳み掛けるドラマに驚かされる。“ファエトン”は終盤でワーグナーを聴くような迫力を感じさせ、“ヘラクレスの青年時代”はピアニシモからフォルテまでスピード感に満ちた弦楽が縦横無尽に鳴らされる。“死の舞踏”“バッカナール”は熱気をはらみながら緻密さを兼ね備えている。そして滅法面白い“動物の謝肉祭”! 本当に獣が唸るようなサウンドから、白鳥の刹那さ、ユーモアが表現されて、あっという間に大円団の終曲になってしまうことだろう。