各所で“ボレロ”推しで紹介されているロトの新録音。しかし当欄では歌劇“スペインの時”をおすすめしたい。CDを手に取った方はオーケストラ好きが多いかもしれないが、そのような方にも身構えなくても楽しめる50分弱の喜劇。ロトはスペイン風のリズムと言葉を融合させ構築し、ナチュラルで時に妖艶な音楽を引き出している。浮気したい時計屋の美人女房のコンセプシオンを歌うイザベル・ドリュエは、レナード・スラットキン指揮でこのオペラを録音していて、当盤はより練られた歌いっぷり。オペラ終幕のハバネラ風の音楽による大円団から“ボレロ”へ移る演出も心憎い。