INTERVIEW

〈FESTIVAL/TOKYO14 フェスティバル/トーキョー14〉より、〈春の祭典〉に注目―白神ももこ×宮内康乃のいるリハーサル会場へ

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  • 2014.10.30
(C)Masumi Kawamura

 

 だんだんと秋から冬へと移り変わってゆく時期、東京では、スクリーンに世界の映像が投射される〈東京国際映画祭〉がある一方で、生の身体を間近に観ることができる〈FESTIVAL/TOKYO〉がある。

 非西洋圏への視点が浮上してきているのが、ひとつのポイントとなる今年の〈FESTIVAL/TOKYO14 フェスティバル/トーキョー14〉。今回クローズアップされているのは、アジア・シリーズのVol.1にあたる韓国。ほかにミャンマーやパレスチナの作品も登場する。また地域だけではなく、年齢層の拡大も図られており、高校生が、そして高齢者が舞台で演じる作品があるのだ。身体があるかぎり、それは存在を持ち、現前する。声を発し、動く。

 キャッチコピーとして掲げられているテーマは〈境界線上で、遊ぶ〉。なるほど。普通に使われる〈演劇〉はもちろん、〈ダンス〉もあるし、そのダンスのなかでさえ、ちょっと領域侵犯的なところがあったりもする。それが以下の〈春の祭典〉だ。

 


 

今年もやってきた! 演劇×ダンス×美術×音楽のフュージョン・フェスティバル。30日にわたり、東京芸術劇場、あうるすぽっと、にしすがも創造舎、シアターグリーン、アサヒ・アートスクエアなどで開催される。今回注目したのは、若手女性アーティストのコラボレーションにより新たな視点と感性で描き出す、現代日本の『春の祭典』。振付家、演出家、ダンサー、モモンガ・コンプレックス主宰の白神ももこさんと、作曲家、つむぎね主宰の宮内康乃さんのいるリハーサル会場へ。

 

 《春の祭典》の新しい公演がある。またか、などと言わないように。今回は「作曲家」がかかわっての舞台なのだ。

 昨2013年はこのバレエ=音楽が初演されてちょうど100年、世界中で新旧さまざまな演出があり演奏があった。101年目の今年、「フェスティバル/トーキョー14」でおこなわれるのは、ただストラヴィンスキーの音楽で踊るというだけではない。

 なぜ作曲家が? インタヴューは稽古場で、ダンサーたちが輪になって声をだしている(!)リハーサルの「あいだ」の休憩時間におこなわれた。

 

――ストラヴィンスキーの《春の祭典》があり、通常はその音楽をひとつのコンテクストとしながらダンサーが踊るというものですよね。でも、今回は、ダンサーにわざと発声させることによって、音に対しての感覚を呼びさます、というような、逆方向のことがおこなわれているようにみえます。

白神(以下S):《春の祭典》を聴いたときは、日本の義太夫など、ああいう息遣いとでもいうのでしょうか、人間の自然というか、「あっ」とか「よっ」に近いのかなと思っていたんです。そしてコロコロ拍子が変わるのが、「気」が変わったみたいに変わる感じがもしかしたら近いのかな、と。そういうものはたしかに楽譜化したら複雑になるけれど、感覚としては近いものなのかもしれないなと思って、宮内さんに入っていただき、本来の息遣いを楽しみながらというやり方を試しています。

――どういう経緯で「春の祭典」をやることになったのでしょう?

S:最初は美術家と振付家と作家で、作家さんにエピソードというか物語というか、違う解釈で文章にしてもらうことを考えていました。私は《春の祭典》をやるような振付家ではないんですけれども、お話を伺って、美術家の毛利悠子さんが決まって、文章を考えて…と(進んで)いったとき、せっかくだから、音楽の方、たとえば生演奏とかを考えてみたのです。でも、オーケストラの音源に、また生の西洋楽器で挑むというは、自分のテーマとも違う。そして、もっと原始的な、ということで宮内さんに声をかけたわけです。

――そういう話が投げかけられて、どう感じられました? ましてや《春の祭典》で。

宮内(以下M): 名曲中の名曲ですからね。私も学部時代とか、さんざんスゴイ!とスコアを見ながらも、聴いてきたわけです。とはいえ、原始的なものとか人間の根源的ないとなみ、まつり、儀式というのは、わたしのテーマと共通するものがあったので、ストラヴィンスキーに怖気づかず、自分なりに思うものをぶつけてみて、おもしろい化学変化がおきたらなと強く思っているのです。

――ダンサーに声を出させるのは、どうですか?

M:おもしろいですね。やっぱり、みんな元々ひらいているんです。最近よくワークショップをやっているのですけれども、はるかにONになるのが早いし、今(稽古を)やっていても、流れをちゃんとそれぞれがみて、それにつられない。自分は自分のスタイルでやってゆく。でも全体像をつかむのは早い。リズム感がすごくあるんですね。ビートのあるものなどでも、そんなにすぐ把握してくれるとは思っていなかったので、刺激的です。私たち「つむぎね」は基本的に「静」、というか、「静の状態」で、そのなかにうごめきや揺らぎをつくっていくという感じなんです。だけど、ダンサーたちは、「動」というかんじがあります。ひらいているので、そのアプローチがまた違うし、おもしろいですね。とても繊細な音とかも出てきますし。

――舞台にむけて、ワークショップのように、準備がされ、作品がかたちづくられてゆくというのはおもしろいですね。

M:ええ、今それに目覚めたというかんじですね。固定メンバーではなく、毎回新しい出会いがある。やっていることはすごくシンプルなので、結構誰にでもできる。それでいて毎回あたらしいひびきができるのが、すごく感じるものがあります。

【参考動画】白神ももこらによる〈FESTIVAL/TOKYO 2012〉でのパフォーマンス

 

――通常、何かを観に行く、聴きに行くと、客席とステージが分かれています。それが、こういう稽古場のような空間だと、もっとフラットで、みんなが輪になっていたりする。そうするとひびき方など、まるっきり違ってきます。で、今回、ステージはどのように構成されるのか、どう空間配置をするのかな、気になっています。

S:客席と舞台上をつなぐのが声かな、と思っています。踊りはやっぱり、踊りをすると、どうしても、「やります、ダンスしてます」って分けちゃうことになりますよね。ところが、声になると、客席と舞台上をつなぐ役割が声になる。声だと自分が出せてしまうから、踊れないけど出せる、みたいなところがいいな、と。そういう使い方ができたらいいなとは思っているのですけれど。

M:気づいたらお客さんもね、参加していてもいいよ、ってね、

S:うん、参加できちゃうのかな、って。

M:祭りってもともと演じ手と参加者に、あまり境界線がないものでしょう。盆踊りの輪だって、入ってもいいし観ていてもいいしみたいな、そういうあり方に近いかもしれない。みんなで同じひとつの祭りをともに体験する、というような。

――今回の音源は、1910年代の楽器と演奏の再現を試みているグザヴィエ・ロト指揮、レ・シエクルの演奏を用いられています。

S:あの演奏は、これまで聴いてきた演奏ではよくわからなかった、聞こえなかった音が聴けるのです。色々聴いてみましたが、一番、間(ま)とかが好きなかんじで。

M:今まで聴いたなかではベストだなと思っています。仰々しくヴィブラートがあるわけでもなく、割と淡々としている。とはいえ、質感はすごく丁寧で、その、メリハリと音の質感とがハッキリ見えてきて、「あ、こんな音が入っていたんだ」と、あらためて気づいたりしました。「まだ発見があるんだ」というような気がしたのです。打楽器なんかも、色々面白い楽器を使っていたりして、これは絶対いい!と(笑)。

――美術はどうなる予定ですか?

S:毛利さんのオブジェがあって、床面は、さらっとした感じになると思うのです。オブジェとしては、本当にゴツっとした、毛利さんなりの、いつもの、廃材のスピーカーとかを組み合わせたもので。わたしのなかでは、結構カワイイ気はするのですけれども(笑)。テーマとしては、「エコ」、うーん……「エコロジー」というよりも「再生」「リサイクル」みたいなもの、「リサイクルされる前の状態」の素材とかというものが共通のアイテムみたいなかんじになっています。リサイクルされる前の状態の素材……「均一化される前のごつっとした状態から、均一化していく」みたいな、ね。美術が音を出しているっていう、ヒトみたいな音が出ている美術っていうのが、意図しないところで動いたりとか鳴ったりっていう、そういうのが楽しめれば、と。

――最後に一言を。

M:100年前にあれだけセンセーショナルで何か新しい、切り拓いた《春の祭典》を今やるうえで、ちょうど皆、おなじ世代の女性アーティストが揃った、ということもあるので、新しい、わたしたちの世代の、次の表現みたいなものを、かたちにできたらというのが、一番のテーマかな、と思っています。

 

※〈FESTIVAL/TOKYO 2014〉のトピックス記事はこちら

 

EVENT INFORMATION

演劇×ダンス×美術×音楽…に出会う30日間 
FESTIVAL/TOKYO14 フェスティバル/トーキョー14 「境界線上で、あそぶ」

11/1(土)~11/30(日)
www.festival-tokyo.jp

 

□池袋西口公園

撮影:地引雄一

 

フェスティバルFUKUSHIMA!@池袋西口公園
11/1(土)15:00~20:00 11/2(日)11:00~18:00 *雨天決行、荒天中止
総合ディレクション:大友良英・プロジェクトFUKUSHIMA!

 

 

□東京芸術劇場 プレイハウス

 

驚愕の谷
11/3(月・祝)18:00開演 11/4(火)19:30開演 11/5(水)、11/6(木)15:00開演
作・演出:ピーター・ブルックマリー=エレーヌ・エティエンヌ [フランス]

 

 

□あうるすぽっと

 

羅生門 │ 藪の中
11/5(水)~11/7(金)19:30開演 11/8(土)、11/9(日)15:00開演
アーティスティック・ディレクター:ジョージ・イブラヒム 他

 

 

□東京芸術劇場 プレイハウス

(C)Masumi Kawamura

 

春の祭典
11/12(水)~11/14(金)19:30開演 11/15(土)、11/16(日)15:00開演
白神ももこ(演出・振付)×毛利悠子(美術)×宮内康乃(音楽)

 

 

□アサヒ・アートスクエア

(C)Atsushi Miyata

 

透明な隣人 ~8 -エイト-によせて~
11/13(木)19:00開演 11/14(金)15:00開演 11/15(土)15:00/19:00開演 11/16(日)15:00開演
演出:西尾佳織

 

 

□にしすがも創造舎

 

桜の園 
11/13(木)、11/14(金)19:30開演 11/15(土)~11/17(月)16:00/19:30開演 *雨天決行、荒天中止
ミクニヤナイハラプロジェクト
作・演出:矢内原美邦

 

 

□シアターグリーン BOX inBOX THEATER

 (C)Takaki Sudo

 

動物紳士
11/15(土)~11/21(金)19:30開演 11/20(木)休演日 11/22(土)~11/24(月・祝)15:00開演
森川弘和(振付・出演)×杉山至(美術・衣装デザイン)

 

 

□アサヒ・アートスクエア

 

彼は言った/彼女は言った
11/19(水)、11/20(木)19:30開演 11/21(金)休演日 11/22(土)~11/24(月・祝)12:30開演
構成・出演:モ・サ[ミャンマー]

 

 

□東京芸術劇場 シアターイースト

(C)薪伝実験劇団

 

ゴースト2.0~イプセン「幽霊」より 
11/22(土)、11/23(日)17:00開演 11/24(月・祝)13:00開演
薪伝実験劇団[中国]
演出:ワン・チョン

 

 

□にしすがも創造舎

 

鴉よ、おれたちは弾丸をこめる
11/23(日)、11/24(月・祝)18:00開演 11/25(火)19:30開演 11/26(水)14:00開演
さいたまゴールド・シアター
作:清水邦夫 演出:蜷川幸雄

 

 

□にしすがも創造者

クリエーション:山下昇平

 

さらば! 原子力ロボむつ~愛・戦士編~ 
11/28(金)、11/29(土)14:30/19:30開演 11/30(日)11:00開演
渡辺源史郎商店
作・演出:畑澤聖悟

 

 

□にしすがも創造者

 

もしイタ~もし高校野球の女子マネージャーが青森の「イタコ」を呼んだら
11/28(金)、11/29(土)17:30開演
作・演出:畑澤聖悟

 

 

□品川区某所(京急沿線)

 

アジアシリーズvol.1 韓国特集 多元(ダウォン)芸術 「From the Sea」
11/3(月・祝)~ 7(金)
コンセプト・演出:ソ・ヒョンソク

 

 

□東京芸術劇場 シアターイースト

(C)Kyungsung Lee

 

アジアシリーズvol.1 韓国特集 多元(ダウォン)芸術 「いくつかの方式の会話」11/13(木)17:00開演 11/14(金)19:00開演 11/15(土)16:00開演 11/16(日)17:00開演
クリエイティブ・ヴァキ
構成・演出:イ・キョンソン

 

 

□東京芸術劇場 シアターウエスト

(C)Karin Dürr

 

アジアシリーズvol.1 韓国特集 多元(ダウォン)芸術 「1分の中の10年」
11/13(木)17:00開演 11/14(金)19:00開演 11/15(土)16:00開演 11/16(日)17:00開演
構成・振付:イム・ジエ

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