メンバーは左から、木元みずき(オレンジ・96年9月15日生)、
藤本結衣(白・95年1月22日生:キャプテン)、中野佑美(緑・98年8月4日生)、
武田紗季(水色・96年1月18日生)、君島光輝(赤・94年8月10日生)、
平口みゆき(ピンク・95年2月5日生)、井草里桜菜(紫・98年3月28日生)

 

最上級のアルバムに綴られた、7人の新しい運命!!

 アルバムを聴き倒して、その恐るべき充実ぶりに感動を覚えているところです。paletのメジャー・ファースト・アルバムとなる『LOVE n' ROLL !!』。あらかじめ言っておくと、いわゆる〈シングル全部入り〉のベスト盤的な役割も担う構成ながら、逆にここから彼女たちを知る人にとっては親切な入門編として機能するはずですし、むしろ新規リスナーの人たちにこそ、これを機会にチェックして七色のフレッシュな輝きに驚いていただきたい、それほどの良曲集なのであります。

palet LOVE n' ROLL!! コロムビア(2015)

 改めて紹介しておくと、このpaletはそもそもPASSPO☆の新メンバー候補生だったメンバーを中心に、2012年6月にお披露目された7人組グループであります。それぞれカラーの明確なPASSPO☆やprediaといった姉貴分たちに対するpaletの持ち味は、デビュー時に掲げられたキャッチコピーによれば〈王道ピュアアイドルの究極形〉というもの。初舞台の2か月後には〈TOKYO IDOL FESTIVAL〉に出演を果たし、さらにその2か月後には初作『Hello, palet』をリリース……と、トントン拍子で活動を推移してきました。が、結成1周年を控えて2作目『SEVEN DESTINY』もリリースした翌年3月、単独ライヴ〈SEVEN DESTINY~光の道へ~〉を以てメンバーが1名卒業。それでも結成1周年の節目に6人でのメジャー・デビューを発表し、11月には初のシングル“Believe in Yourself !”にて堂々のTOP10入りを果たしています。

 インディー時代の彼女たちは全曲のアレンジを佐久間誠が手掛けていたこともあって、伊秩弘将Gajin林田健司ら多様な作家を起用しつつアイドル・ポップの〈王道〉感を意識した統一感を醸していたものですが、ここではPASSPO☆との仕事で知られる阿久津健太郎を作編曲に迎え、リスナーを優しく後押しする伊秩の詞も相まって、さらにチアフルな王道マナーを更新。その伊秩×阿久津の布陣は、大らかなサウンドのスケール感が心地良い翌2014年4月のセカンド・シングル“Keep on Lovin' You”でも続投されました。

 そして、2周年記念ライヴにて新メンバーに最年少の中野佑美を迎え、ふたたび七色の編成になって送り出したのが8月のサード・シングル“VICTORY”! ここでは“ピンクのハートの雲”などで組んできた林田健司を作曲に起用し、中野の力強い歌声もガッチリ活かすファンキーでダイナミックな勝利の名曲をモノにしています。往年のSPEEDの勢いも思い出させる伊秩作曲のユーロ系ダンス・ポップ“Glory Days”、Gajin作のラヴリーな“サマホリ~Summer Holic~”と、ここではカップリングもそれぞれ舌を巻くほど素晴らしく、一曲ごとの色調もさらにカラフルに。そんな好調を受けて12月に発表した切ないウィンター・シングル“SNOW DISTANCE”は過去最高のウィークリー5位を記録――以上のように文句ナシのディスコグラフィーを踏まえ、盛りだくさんな6つの新曲と共に完成されたのが、今回の『LOVE n' ROLL !!』ということになります。

 アルバムのオープニングを飾るのは、タイトル通りの小気味良いポップンロールに浮き立つ表題曲“LOVE n' ROLL !!”。バンド・サウンドと7人の好相性は、“SNOW DISTANCE”のカップリングで流田Projectのエモい演奏に乗った“Shake My Soul”でも証明済みでしたが、こちらではLM.CAijiが作曲を担っています。アルバム中の新曲でもロック感やバンド感は新鮮なキーになっていて、すぅ×クボナオキというSilent Sirenチームの提供による“キミノコト”はより等身大に近い女子力高めのロック・チューンと言えるでしょう。

 また、今回は多彩な制作陣の起用そのものも大きなトピックで、小室哲哉の作編曲に伊秩が作詞するという豪華なリード曲の“Run to the New Wind”は小室らしいメロディー展開も絶妙なフューチャー・ダンス・トラックで最高。THE イナズマ戦隊上中丈弥(作詞)×馬飼野康二(作曲)×DANCE☆MAN(編曲)というこれまた凄いチームでの“Wonderful Girl”は陽気でいなせなお祭りディスコで、こちらのはっちゃけぶりも抜群に楽しい! また、ラストの真摯なバラード“恋桜”はLINDBERGの渡瀬マキ&平川達也によるもの。シンプルな歌唱の美を味わえる出来映えでしょう。

 とはいえ、そうしたネームの豪華さ以上に惹かれるのは、参加クリエイターの幅広さに伴う曲調の豊かさを彼女たちがしっかりpaletのカラーにしていること。曲や歌の良さをハートフルに響かせるこの実力はまさに王道……とにかく心を掴まれるポップ・チューンだらけなので、まずは聴いて確かめてみてほしいです!