モーゼルDecca移籍第1弾。廉価版の雄、Brilliant Classicsでの3枚のアルバムで、ハイドン~近代作品を演奏、(ジャケ買いしそうな見た目とは裏腹に)技巧派の演奏を繰り広げ、各音楽雑誌で「顕著な音楽と流麗なメロディ」などと絶賛された経緯を持つ才女である。今回の録音も技巧を中心とした曲を集めている点が注目。シュトックハウゼンでは時計の秒針を思わせる正確なテンポの打鍵。ベッファの組曲では艶めかしい音の響きを存分に生かし、そして最後のストラヴィンスキーは彼女の独壇場。難曲ペトルーシュカを圧倒的技巧でサラリと弾ききってしまう。今後が楽しみなアーティストの登場だ。