ESSENTIALS
80年代ソウル/ファンクのニュー・スタンダードとなる復刻作たち!

JAKKY BOY & THE BAD BUNCH Jakky Boy & The Bad Bunch Atlantic/ワーナー(1985)

ジャケの風貌を見てデイム・ファンクか!?と勘違いしそうになるが、実際にエレクトロなブギー・ファンクが登場する快作だ。オハイオ州デイトン出身のケリー・ラトリッジプラティパスの解散をキッカケに結成したユニットが、サルソウル盤に続いて発表した2作目。デイム好きはエムトゥーメイに通じるソリッドなファンク“Teaser”を聴いて驚いてほしい。 *林

 

 

MORRIS DAY Color Of Success Warner Bros./ワーナー(1985)

タイムのフロントマンによるファースト・ソロ。自身によるプロデュースで、移住したLAで名だたるミュージシャンを起用し、ヒットした“The Oak Tree”や表題曲に代表されるミネアポリス流儀を意識したクールなシンセ・ファンク~ポップを披露する意欲作だ。“Don't Wait For Me”は寂しいジゴロ感を滲ませたバラード。彼流のコミカルな味わいも活きている。 *林

 

 

RADIANCE Pick-N-Choose Qwest/ワーナー(1985)

マイケル・ジャクソンの父ジョセフが世話人を務めたオークランド出身の7人組。ファンクの聖地オハイオに送り込まれ、レジー・グリフィンの制作で仕上げた本盤は、ダズ・バンド風の“Electra-Fine Lady”を筆頭に、同時代ファンカーを意識したと思しきミッド80s流のエレクトロニックなファンクが飛び出す。シンセやプログラミングを巧みに使いこなした傑作。 *林

 

 

ALEEM featuring LEROY BURGESS Casually Formal Atlantic/ワーナー(1986)

70年代からブラック・アイヴォリーなどで活躍してきたリロイ・バージェスが、NYのアリーム兄弟と組んだユニット。“Release Yourself”(84年)などエレクトロ古典の実績を引っ提げてアトランティックから放ったこの初作は、ド派手なシンセの装飾と無機質なダンス・ビートでソウルフルな歌唱を盛り上げてくる。これぞ80sアーバンらしいブギー・ファンクの真髄。 *出嶌

 

 

CLUB NOUVEAU Life, Love & Pain Warner Bros./ワーナー(1986)

過日、約20年ぶりの新作を放った、ジェイ・キング率いる西海岸のユニット。フォスター&マッケルロイも参加した本ファーストは、ゴー・ゴー調に仕上げたビル・ウィザーズ“Lean On Me”を筆頭に、母体となるタイメックス・ソーシャル・クラブ流儀を継ぐシンセ・ファンクが主流。無機質なビートにエモーションを込めるサミュエルヴァル・ワトソンの歌もいい。 *林

 

 

CURTIS HAIRSTON Curtis Hairston Atlantic/ワーナー(1986)

TR-808系デジタル・サウンドのアーバン・ファンク盤として知られるBB&Qバンドの同年作『Genie』で逞しいヴォーカルを聴かせていたシンガーのソロ作……といえば内容は推して知るべし。グレッグ・ラドフォードケイ・ウィリアムズJrの制作で、表題曲のほか、“Let's Make Love Tonight”や“Take Charge”といった突進力のあるダンサーが秀逸だ。 *林

 

 

ALEEM featuring LEROY BURGESS Shock! Atlantic/ワーナー(1987)

前作に続いてダンサブルなシンセ・ファンクを中心に据えたセカンド・アルバムは、ニュー・ジャック・スウィングの台頭を促すような勢い溢れる力作。ヒップホップに立ち向かうような“Love Shock”から鮮烈で、“Genuine Love Affair”などは後にリロイ・バージェスを起用したクール・ミリオンの曲にヒントを与えた気がしなくもない。ヴォーカルはキース・スウェット似? *林

 

 

MASON Livin' On The Edge Elektra/ワーナー(1987)

ギャップ・バンドと同じオクラホマ州タルサ発の3兄弟が残した唯一のアルバムにして隠れた佳曲集だ。元ブレイクウォーターケイ・ウィリアムズJrがプロデュースを手掛け、エレクトロ感を備えたシンセファンク“Pour It On”などで時流にアプローチ。ミネアポリスっぽくキメた“Livin' On The Edge”や甘いEW&F風のスロウなど、いろんな意味での器用さも微笑ましい。 *出嶌

 

 

MODERNIQUE Modernique Sire/ワーナー(1987)

トム・モウルトンTJMなどで活躍してきたラリー“ウー”ウェッジワースを軸とした男女ユニットのオンリーワンな傑作。後にラリーとの裏方コンビで名を馳せるゴードン“メガバックス”ワーシーがアタックの強い打ち込みで個性を見せたアップ中心の作りで、キレのあるラリーのヴォーカルがとにかく強力すぎる。結びのミッド“You Can Call On Me”もアーバンの極み! *出嶌

 

 

MORRIS DAY Daydreaming Warner Bros./ワーナー(1987)

新婚ホヤホヤの妻ジュディスとの共同作業が中心となり、演奏陣も一新したソロ2作目。タイム再編企画が進むなかで制作されたこともあり、ジャム&ルイスが制作に手を貸し、演奏には元同僚も駆けつけた結果、ヒットした脚フェチ御用達ソング“Fishnet”のような真正ミネアポリス・ファンクがふたたび誕生した。ブルーノ・マーズにも通じるポップ・ファンク快作。 *林

 

 

MAZE,FRANKIE BEVERLY Silky Soul Warner Bros./ワーナー(1989)

US黒人コミュニティーで圧倒的支持を得るソウル・バンドのワーナー移籍作。目玉は恩師マーヴィン・ゲイに捧げた表題曲やジョーがカヴァーした“Can't Get Over You”となるが、“Love's On The Run”やインストの“Midnight”など、フランキーによるシンセやドラム・プログラミングが効いた打ち込みファンクも現代視点で評価できる。マンデラ釈放も支援した名盤。 *林

 

 

THE TIME Pandemonium Paisley Park/ワーナー(1990)

プリンス主演映画「グラフィティ・ブリッジ」に合わせて復活したタイムの4作目は、メンバー個々も初めて曲作りや制作に関与。ジャネット仕事で天下を取ったジャム&ルイスの手捌きが殿下マナーを呑み込む“Jerk Out”や表題曲は、80年代のミネアポリス神話を総括するような至高の出来映え。ジェシー・ジョンソン主導のギター・サウンドはディアンジェロ好きもどうぞ。 *出嶌

 

※デイム・ファンクから考える80年代特集の記事一覧はこちら