新譜と旧譜を隔てなく楽しむというリスニング作法もいまでは特殊なことではないだろうが、そのフラットさがゆっくり一般化してきたのはこの頃だろう。このタランティーノ監督作のサントラに並ぶのは、いわゆるオールディーズの範疇にあるナンバーからサーフ・ロッククラシック・ソウルなど、一定のトーンに添ったもの。ディック・デイルの“Misirlou”など、ここで新たな価値を与えられて再定番化した楽曲も多いはずで、趣味人が大衆文化を更新していった時代ならではのコンピレーションと捉えておきたい。