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カニエやドレイクも惚れ込むUKのラッパー、スケプタの新作『Konnichiwa』はファレルら参加したピュア・グライム全開盤

カニエやドレイクも惚れ込むUKのラッパー、スケプタの新作『Konnichiwa』はファレルら参加したピュア・グライム全開盤

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グライムの国からこんにちは! いまやカニエやドレイクも惚れ込むUK指折りのラッパーとなったスケプタ! GQのベスト・ドレッサーに選ばれ、グラストンベリーのメイン・ステージ出演も決めたこの男、待望のニュー・アルバムでどこまで大きくなるのだろう?

 “It Ain't Safe”(2014年)にヤング・ロードエイサップ・バリ)を迎えたり、エース・フッドのミックステープに招かれたり、さらに遡れば『Doin' It Again』(2011年)にてディディ・ダーティ・マネー“Hello Good Morning”をグライム・リミックスするなど、元よりUSシーンとのリンクも見せていたスケプタメリディアン・クルーを経てロール・ディープに加入した後、弟のJMEボーイ・ベター・ノウBBK)を設立したのが2006年のことで、その間もコンスタントに地上と地下でヒットを生んできた人だから、本国UKではすでに一定のビッグ・ネームと言っていい存在ではあったはずだが、その名を広くヒップホップ・リスナー間で有名にしたのは、彼の“That's Not Me”(2014年)をリル・ウェインとの“Used To”でドレイクが引用した昨年初頭あたりからの流れだろう。

 その気運に乗じてカニエ・ウェストのステージにも登場したスケプタは、今度はドレイクをネタ使い返しした自身の“Shutdown”を発表、この一連の流れで一気に世界的な旬の名前となったのだから痛快だとも言えるし、ややシニカルな気分になりつつダイナスティのパワーを痛感せざるを得なかったりもする。以降もウィズキッド“Ojuelegba”のリミックスに揃って参加するなど関係が強化されてきた結果、今年に入ってドレイクがBBK入りを宣言したのも記憶に新しい。

 いずれにせよ、件の“Shutdown”は各方面に波及するビッグ・チューン(YouTubeでの公式MV再生回数は1700万回超え!)となり、フラットブッシュ・ゾンビーズ“RedEye To Paris”やデヴリン“50 Grand”などの印象的なコラボも相まって、ニュー・アルバムへの待望感をどんどん膨らませる原動力となったわけである。

SKEPTA Konnichiwa Boy Better Know/BEAT(2016)

 そして、オリジナル作としては5年も空いた今回の『Konnichiwa』だ。噂されていたドレイクやウィズキッド、アール・スウェットシャツの参加はなく、毎度のセルフ・プロデュース中心による作りは従来と何ら変わらぬピュア・グライム全開。クイーンズ・オブ・ストーン・エイジ(!)ネタの最新カット“Man”を筆頭に近年のヒット群も配し、XL所属の新星ノヴェリストを手合わせした“Lyrics”、チップワイリー師匠とクールに滑り抜ける“Corn On The Curb”、ジャマーフリスコらBBK仲間とのポッセ・カット“Detox”の連なるいつも通りの豪快な豪華さもその印象を強くする。一方、エイサップ・ナストDダブルEを従えての“Ladies Hit Squad”ではサグいパープルに浸ったUS作法で振る舞い、ファレルと共演/共作した“Numbers”はグライムとハイフィーの間にあるパーカッシヴなノリが新鮮でいい。

 思うに、多くの先達がUSシーンを注視してきた慣例に倣うことなく独自性を育んできたからこそ、近年のグライムやユーロ新世代が却って北米シーンの気を惹くトレンディーな刺激となりえたのだろう。だからこそ、いつも通りのエッジーな足回りと激しいスピットで駆けるスケプタのラン・ザ・ロードは正しいと思うし、そうじゃなくても単純にカッコ良すぎる。今回もバッチリの快作ですよ。天辺をレディオヘッドにこそ譲ったものの……全英チャートで初登場2位とはめでたい!

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