COLUMN

アメリカーナ・シーンの才媛リアノン・ギデンズが訴える自由とは? USの根強い社会問題に斬り込む新作『Freedom Highway』

(C)John Peets

 

今、響く“フリーダム・ハイウェイ” 自由について

 グラミーも受賞した人気ストリングバンド、キャロライナ・チョコレート・ドロップスのシンガー、フィドル、バンジョー奏者として活躍し、2015年に発表した初ソロ作で一気にアメリカーナ・シーンの最前線に躍り出た才媛リアノン・ギデンズ。前作以上の信念に基づいたコンセプトが貫かれた今作、その溢れ出る意志の強さは鬼気迫るものがある。テーマは1800年代からの奴隷制度にまつわる物語から1960年代の公民権運動。遡ることおよそ90年、ミシシッピ・ジョン・ハートが聞いた殺人の噂、あるいはジョーン・バエズが歌った1963年9月15日の悲劇。ルイ・コリンズという男は誰に何故撃たれ、バーミングハムの教会で4人の少女は何故爆死しなければならなかったのか? そしてそれは当然、現在に繋がる。ファーガソン、ボルチモアでの暴力は何故起きてしまったのか?

RHIANNON GIDDENS Freedom Highway Nonesuch(2017)

 彼女が歌い奏でるカントリー、フォーク、ブルースそしてソウル、彼女が生まれ育った「アメリカ」という土地が生み出し、別け隔てなくその身に着けてきたもの。そして、それをともに作り上げた仲間も多種多様。例えばCCDのメンバーでもあったレイラ・マッカラはハイチに、堂々たるデュオを披露するシンガー、ビー・ビーマンはスリランカにルーツを持つが、彼らは紛れもなく「アメリカ人」であり彼らが奏でるのもやはり紛れもない「アメリカの音楽」なのだ。その「アメリカ」が今直面していること。タイトル曲でもありソウルフルにアルバムを締め括るステイプル・シンガーズの《フリーダム・ハイウェイ》、キング牧師の率いたデモ行進への賛辞を送ったこの歌について、憎悪や無知、欲望が我々を別け隔てすることを許さない、我々から「アメリカ」を奪うことはできないと彼女は語る。“フリーダム・ハイウェイ”を共に行こう、と。そして奴隷売買について書かれた冒頭曲では静かに、しかし力強く、こう歌われる「魂までは奪えまい」と。

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