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梅雨明けを夢想するリイシュー

SPYDER TURNER Is It Love You're After: The Whitfield Records Years(1978-1980) BBR(2017)

 ……ってことで、まずはPファンクとの因縁がなくもないノーマン・ホイットフィールド絡みの一枚、いずれも初CD化となるスパイダー・ターナーの『Music Web』(78年)と『Only Love』(80年)を2in1収録した『Is It Love You're After: The Whitfield Records Years(1978-1980)』(BBR)を推薦します。デトロイト育ちのスパイダーは60年代にヒットを飛ばして低迷した後、ローズ・ロイスに書いた曲が評価されてホイットフィールド入りした人。包容力のある野太い歌声と洗練されたディスコのマイルドな享楽性が麗しいです。

 

VARIOUS ARTISTS Nothing But A House Party: Birth Of The Philly Sound 1967-1971 Kent/Pヴァイン(2017)

 で、洗練されたソウル・エレガンスの源流はやはりフィラデルフィア、ってことで、ナイスな編集盤『Nothing But A House Party: Birth Of The Philly Sound 1967-1971』(Kent/Pヴァイン)もマスト。PIRの躍進によっていわゆる〈フィリー・サウンド〉像が出来るまでの同地産ソウルをまとめ、その進化のステップをも確認できる内容……っていうかどの曲も単純に最高なのでして。

 

MAJOR LANCE Ain't No Soul(In These Old Shoes)The Complete Okeh Recordings 1963-67 RPM(2017)

 最後にメイジャー・ランスのオーケー音源を完全網羅した『Ain't No Soul(In These Old Shoes)The Complete Okeh Recordings 1963-67』(RPM)をジャケだけ載せつつ、下では第4弾リイシューの実現したTK産ダンス・ミュージックの6品を紹介しておきます! *出嶌

 

ROCKY MIZELL AND THE SUGAR ROCK BAND Rocky Mizell And The Sugar Rock Band Drive/Solid(1977)

かつての正規CD化は故ヘンリー・ストーンによる粗悪なものだった気がするけど……ともかく日本盤としてはこれが初のCD化。TKディスコに音源を残していたロバート“ロッキー”ミゼルがウィリー・クラークのプロデュースで放った唯一のアルバム。包容力のあるメロウ曲“Never Never Girl”から骨太なダンサーまで最高!

 

GYPSY LANE Predictions Drive/Solid(1978)

ヴィレッジ・ピープルやリッチー・ファミリーのバックを務めたディスコ・ファンク・バンドがドライヴに残した唯一のアルバム。NYのシグマ・サウンド・スタジオで録音され、イロモノっぽい佇まいに反してしっかりした演奏力で聴かせるディスコ・ブギーやAORタッチのクルージング・チューンなどは当然いまこそ聴きたいもの。掘り出し物となりそうな世界初CD化です。

 

THE JIMMY CASTOR BUNCH Let It Out Drive/Solid(1978)

かの『It's Just Begun』を筆頭にRCAやアトランティックに残してきた諸作が著名な、ジミー・キャスター率いるファンク・バンド。これにて世界初CD化となった本作はTK傘下に一枚だけ残していたレアなアルバムで、得意のアッパーなファンクや洒落たメロウ・チューンが並ぶ佳曲集。時代を踏まえたディスコ・ムードの小気味良い導入も流石のキマリっぷり。

 

SPECIAL DELIVERY Special Delivery Shield/Solid(1978)

今回のリイシュー中ではもっともよく知られているはずの作品。テリー・ハフを看板にしたメインストリーム録音の『The Lonely One』(76年)が日本でも人気のワシントンDC出身グループで、これはハフ脱退後にTK系列のシールドで作り上げたアルバムとなります。メンバーのジョージ・パーカーがプロデュースを手掛け、メロウ・チューンの数々ですでに中身も折り紙付きの名品。

 

LAURA TAYLOR Dancin' In My Feet Good Sounds/Solid(1979)

中身のわからないジャケながら、コネチカット出身の白人女性シンガーが発表したアーバンなエレガント・ディスコ・アルバム。ジム・バージェスがリミックスしたタイトル曲を筆頭に、軽快なトラックと可憐な歌声が実にしなやか。馬肉ディスコに収録された“Some Love”など、イメージ以上の良曲が揃っています。この機会にチェックしておきたい日本初CD化。

 

WILD HONEY Untamed Drive/Solid(1979)

こちらの激レア作品も世界初CD化です。P&P制作の“I've Been Working”でも知られたテキサスのガールズ・グループ、ワイルド・ハニーがドライヴに吹き込んだ唯一のアルバムで、プロデュースを手掛けたのはTKの伝統性も弁えたマイアミの重鎮、クラレンス・リード。“You Danced Your Way Into My Life”など、この時代らしいポップなディスコ・ナンバーが光っています。