INTERVIEW

内田勘太郎 『DES'E MY BLUES』(1)

感情の赴くまま、自由にぶっ飛べ! 憂歌団のギタリストが初めてブルースと正面から向き合い、ギター一本で自信たっぷりに表現した『DES'E MY BLUES』!

内田勘太郎 『DES'E MY BLUES』(1)

 3月に木村充揮とのユニット、憂歌兄弟による初作『憂歌兄弟』が聴けたばかりだというのに、早くも内田勘太郎のソロ・アルバム『DES'E MY BLUES』が届いてしまうなんて。しかも全編インスト・ソロによる高純度のブルース・アルバムに仕上がっていたのだから、小躍りしたくなるような気分である。聞けばこの5年ぶりの新作を制作するにあたり、〈圧倒的なアルバムを作れ!〉という厳命があったそう。

内田勘太郎 DES'E MY BLUES TOWER RECORDS(2014)

 「そうは言われたけど、いったい何をやればいいだろう?って。結果、ヨダレ垂らしつつ白目むきながらブルースをやるようなことだろうと思って、ギター一本で自由にブルースを弾くってことに繋がったんだよ。50年ぐらいギターを弾いてきたわけだし、このあたりでブルースに真っ向から向き合ってみてもいいんじゃないかなと」。

  〈自由に〉って感覚こそ本作の要点だということは、曲展開などお構いなしにエルモア・ジェイムス風のフレーズが突如飛び出すデルタ・ブルース調の“モーガンフィールド”(マディ・ウォーターズの本名ですね)などを聴けばすぐに理解可能だ。どの演奏も、自分のなかで流れるリズムを自然に放出したかのような印象を抱かせるところが素晴らしい。

「ブルースを型ではなくて、まずはぶっ飛ぶための最小単位の約束事として捉えて。12小節で動いてなかったりもするんだけど、そこはひとりだからどんな方向にでも行けるわけで、若干のテーマだけ決めて気持ちの赴くままに進めていった。だから赴かないと大変。ま、すぐに赴いちゃうんだけどね、いつもやってるからさ(笑)」。

 相棒は、彼の愛機である〈チャキP-1〉と〈K.YAIRI〉。チャキを使っての切れ味鋭いスライドも良いが、憂歌団でもお馴染みの“渚のボードウォーク”で聴けるYAIRIの渋くて味わい深い音色にとろける。ゆったりとしたテンポでファンキーにキメるスタンダード曲“Too Young”もグレイトだ(このカヴァーは故・ジョニー吉長といっしょにやる予定があったそう)。

「〈ディーズ・マイ・ブルース〉って黒人のスラングで、〈これが俺のブルースだ〉って意味だけど、まさにそう言い切れる作品ができた。こんな感覚はいままでなかったかな。というのも、ブルースのみに焦点を絞ることをしてこなかったから。でもどうしたって俺のバックグラウンドはブルースなんだよね。昔、マディ・ウォーターズの前座をやったとき、敬意を表して彼の“Rollin' And Tumblin'”をやったんです。チラッとそでを見たら、マディが僕らを見ててね。ピカピカの革靴でステップ踏みながら。彼は日本にも俺の息子たちがいるな、って気持ちだったんじゃないかな。そういう人たちからスゴいものを与えられてきたんだよ。それのお返しができたらって思いから、俺なりのブルースをやっている意識はありますね」。

 現在彼はソロだけでなく、憂歌兄弟や憂歌団の活動もあり、気持ちの赴くままに自身の表現方法を自由に選択できる状態だと思うのだが。

「木村くんと楽しくやりつつ、俺は俺でいまの自分をガッツリ出せた作品を作れたりする。それはすごくラッキーだね。木村はすこし悔しいと思っているかも(笑)。エンジニアの鈴木智雄さんに言ってたみたいよ、〈コイツ、アルバム作るみたいですなぁ。なんか調子乗ってるみたいやけど、よろしゅう頼んますわぁ〉って(笑)」。

 最後に聞かせてもらおう。これからの目標は?

「より尖っていきたいと思ってる。ある時期、自分の魅力はトーンにあると気付いて、それで勝負してきたんですけど、いまはそこに勢いを加えて、ぶっ飛ばしていきたいと思っていて。マディ・ウォーターズらみたいに自由な音楽がやれることを常にめざします」。

 熟練のワザに加えて、ガツンとくるパワーに満ち満ちた『DES'E MY BLUES』。あなたの耳を気持ち良くぶっ飛ばしてくれると思う。

 

▼関連作品

左から、エルモア・ジェイムスの60年作『Blues After Hours』(Hoo Doo)、マディ・ウォーターズの65年作『The Real Folk Blues』(Chess)、“Too Young”を収めたナット・キング・コールのベスト盤『The Best Of Nat King Cole L-O-V-E』(ユニバーサル)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ

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